第1節 債権の目的

【民法411条:ただし書きの事例と不要説】選択の効力の遡及効を解説

伊藤かずま

国際行政書士(第21190957号)
宅地建物取引士合格(未登録)
国際結婚/在留VISA/永住者/定住者/帰化は,是非お気軽にウィステリア国際行政書士事務所までご連絡ください。

事務所HPはこちら

初学者&独学&4ヶ月&一発合格(202点)で行政書士試験に合格しました。
読者さまからのコメントにあった『本当の意味での初学者にとっての解説書』を完成させるべく,本サイトを運営中。

 

ウリム

民法411条ただし書きが適用される事例って,どんなケースがあるの?

全然イメージ湧かないんだけど...。

本記事は,民法411条の選択の効力の遡及効についてと,民法411条ただし書きの適用想定ケースを解説しています。

民法411条ただし書きは,不動産の二重譲渡の場面などを想定して創られたものの,実際は民法177条(登記制度)で解決すべきとされ,民法411条ただし書きが活躍する場面は存在しないのではないかと言われています。

 

本記事を読むことで,以下を達成できるように執筆しています。

  • 選択の効力の遡及効を知ることができる
  • 民法411条ただし書きが活躍すると想定されていた例を知ることができる
  • 民法411条ただし書きが活躍するケースはないのではないかされている理由を知ることができる

 

記事の信頼性

本記事は,4ヶ月の独学で行政書士に,2週間の独学で宅建に一発合格した当ブログの管理人の伊藤かずまが記載しています。
現在は,現役行政書士として法律に携わる仕事をしています。

参考:独学・働きながら・4ヶ月・一発(202点)で行政書士試験に合格した勉強法
参考:筆者を4ヶ月で合格に導いた超厳選の良書たち

 

読者さんへの前置き

赤文字は,試験対策として絶対に知っておくべき単語・用語・概念・考え方,その他重要ポイントです
太文字は,解説中で大切なポイントです
※本記事は,2020年4月1日施行の民法改正に対応しています

 

※本ブログでは,記事内容を要約したものを先に【結論】としてまとめ,その後【解説】で詳細に説明をしていますので,読者さまの用途に合わせて柔軟にご利用ください!!

【結論】 選択の効力は遡及する!

民法411条 【選択の効力】

選択は債権の発生の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。

民法441条 本文

選択債権において,選択を行うと,その選択の効力は債権発生時まで遡り,最初から選択された給付内容の債権だったという扱いをするということを定めた条文です。

 

民法411条 ただし書き

民法411条ただし書きは,不動産の二重譲渡の場面などでの活躍を期待して規定されましたが,適用される場面が存在しないのではないか?と言われています。

 

選択債権リンク集

 

【解説】民法411条ただし書きは不要説が存在する

選択の効力の遡及効

選択債権において,選択を行うと,その選択の効力は債権発生時まで遡ります。

つまり,選択がされると,選択債権は,最初から選択された給付内容の債権だったという扱いになります

 

たとえば,バッグ・腕時計・財布のいずれかを給付する選択債権において,バッグを選択した場合,その債権は最初から“バッグの引渡し債権”であったと扱われるのです。

選択が行われると...
選択が行われると...
最初からバッグ引渡しの債権であったと扱われる!
最初からバッグ引渡しの債権であったと扱われる!

 

民法411条ただし書きの例と不要説

ウリム

民法411条のただし書きが適用される例が思いつかないんだけど,どんなケースなの?

民法411条ただし書きの適用事例が思いつかないのは,仕方のないことなんだ。

このただし書きは適用できるケースが存在しないと主張する学者さんの説があるんだよ。

くーぴぃ

民法411条ただし書き趣旨・意図は,選択の効力が遡及することで第三者が不利益を被ることを防止することです。

たとえば,不動産甲又は不動産乙のいずれかを引渡す選択債権が存在する場面において,第三者が先に不動産甲を購入したとします。

その後,選択債権における選択を行い,不動産甲が給付の目的物となり,その効果が遡及することで第三者の不動産甲に対する権利が侵害されるのを防ぐ…というのが,民法411条ただし書きの想定されている役割です。

 

ウリム

なるほど…! って,あれ?

不動産の二重譲渡って,登記を先に備えた方が勝つんじゃなかったっけ?

そのとおり,不動産取引においては,先に登記をして,自身の所有権を有効に主張できる立場になった方が勝つんだったよね!

くーぴぃ

不動産取引においては,先に登記をして,自身の所有権を有効に主張できる立場になった方が勝つという登記制度が用いられています。

そのため,二重譲渡の場面において,選択が後からされることで給付内容が重複したときというのは,民法411条ただし書きの出番ではなく,民法177条の出番と考えられます。

 

よって,民法411条ただし書きは,活躍を期待された場面で活躍しないこととなり,「そもそも民法411条ただし書きは適用場面がないのではないか?」と言われています。

なので,試験対策としては,条文に書かれているとおりのまま『第三者の権利を害することはできない』と憶えておけば十分すぎるくらいと思います。

※一応,学説の中には民法411条ただし書きが適用される場面があるという説も存在するようです。 しかし,ここの学説の対立に深入りすると試験対策を目的とする本ブログの趣旨を大きく外れてしまいますので,興味のある方は合格後に是非研究してみて下さい!

 

不動産における登記制度・登記の公示力・対抗要件については「【民法177条:登記の公示力・公信力とは?】登記を備えると何ができるのか?」で,基礎の基礎から解説していますので,ぜひ一度目を通してみてください。

また,民法177条の解説では「【図解で一発】民法177条の第三者の範囲がなぜ縮小解釈なのか?をわかりやすく解説」もすごく人気の記事ですので,あわせて学習してみてください。

 

解説はここまでです。 読んで頂きありがとうございました!

ウリム

励みになりますので,もしこの記事がみなさまの学習に少しでも役に立ちましたら,一言でもよいので応援コメント頂けますと大変うれしいです!

 

※前条の解説はこちらです。

あわせて読みたい

※次条の解説はこちらです。

あわせて読みたい

 

※当ブログの超人気記事たちも是非あわせて読んでみてください!

人気記事
人気記事
人気記事
人気記事
人気記事
人気記事

 

参考文献など

参考文献

この記事は以下の書籍を参考にして執筆しています。 より深く理解したい方は以下の基本書を利用して勉強してみてください。 必要な知識が体系的に整理されている良著なので,とてもオススメです。

 

行政書士合格を目指す方必見!

筆者が,行政書士試験に,4ヶ月の独学で・仕事をしながら・202点で一発合格したノウハウや勉強法,使用テキストを無料公開しています。

特にノウハウ集は,有料note級の1万2000文字以上の情報量で大変好評なので,是非読んでみてください!

人気記事
人気記事

最後まで読んでくださり,ありがとうございました。

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

伊藤かずま

国際行政書士(第21190957号)
宅地建物取引士合格(未登録)
国際結婚/在留VISA/永住者/定住者/帰化は,是非お気軽にウィステリア国際行政書士事務所までご連絡ください。

事務所HPはこちら

初学者&独学&4ヶ月&一発合格(202点)で行政書士試験に合格しました。
読者さまからのコメントにあった『本当の意味での初学者にとっての解説書』を完成させるべく,本サイトを運営中。

-第1節 債権の目的
-, ,