第1節 債権の目的

【民法408条:選ばないなら私が選ぶ!】選択権の移転をわかりやすく解説

2023年7月26日

伊藤かずま

国際行政書士(第21190957号)
宅地建物取引士合格(未登録)
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ウリム

民法406条によって,選択債権の選択権が債務者にあるのは理解しました。

でも,債務者がいつまで経っても選択権を行使しない場合はどうなるの?

本記事は,民法408条の選択権の移転をわかりやすく解説しています。

 

本記事を読むことで,以下を達成できるように執筆しています。

  • イラストで選択権の移転という概念を理解できる
  • 選択権の移転の要件を整理できる

 

記事の信頼性

本記事は,4ヶ月の独学で試験に一発合格した当ブログの管理人の伊藤かずまが記載しています。
現在は,現役行政書士として法律に携わる仕事をしています。

参考:独学・働きながら・4ヶ月・一発(202点)で行政書士試験に合格した勉強法
参考:筆者を4ヶ月で合格に導いた超厳選の良書たち

 

読者さんへの前置き

赤文字は,試験対策として絶対に知っておくべき単語・用語・概念・考え方,その他重要ポイントです
太文字は,解説中で大切なポイントです
※本記事は,2020年4月1日施行の民法改正に対応しています

 

※本ブログでは,記事内容を要約したものを先に【結論】としてまとめ,その後【解説】で詳細に説明をしていますので,読者さまの用途に合わせて柔軟にご利用ください!!

【結論】選ばないのなら,選択権は相手に移転

民法408条 【選択権の移転】

債権が弁済期にある場合において、相手方から相当の期間を定めて催告をしても、選択権を有する当事者がその期間内に選択をしないときは、その選択権は、相手方に移転する

選択権者がいつまで経っても選択権を行使しないとき,相手方としては債権の目的すら確定していないため債権の履行請求ができません。

そこで,以下の要件を満たしたとき,選択権が相手方へ移転するようにして,債権の目的確定と履行請求を確実に行えるようにしたものです。

【選択権の移転の要件】

  • ①:選択債権が弁済期を迎えている
  • ②:相手方から相当の期間を定めて催告をした
  • ③:選択権者が相当の期間内に選択をしない

 

【解説】権利の上に眠る者は保護されない

選択権の移転とは?

選択債権における選択権は,最初は債務者にあります。(民法406条)

給付をするより前のどこかのタイミングで選択権の行使(民法407条)が行われることによって,債権の目的(内容)が確定し,選択債権の債務の履行が可能となります。

 

しかし,もし選択権者がいつまで経っても選択権を行使しないとどうなるのでしょうか?

相手方は,選択権者が選択権を行使するまで,おとなしく待つしかないのでしょうか?

この問題を解決するのが,本条民法408条です。

 

どのように解決をするのか,さっそく条文を確認してみましょう。

民法408条 【選択権の移転】

債権が弁済期にある場合において、相手方から相当の期間を定めて催告をしても、選択権を有する当事者がその期間内に選択をしないときは、その選択権は、相手方に移転する

結論,民法が選択した解決方法は,選択権が相手方に移転するというものです。

 

つまり,「お前がいつまで経っても選ばないなら,私が選んだるわーーー!!!怒」ということです。

 

選択権の移転の要件

選択権も立派な権利のひとつですので,そう簡単に権利者から奪い取るわけにはいきません

相手方が「どれにする?」と聞いて,選択権者が10秒悩んだだけで選択権が移転してしまうようでは,選択権の帰属が非常に不安定になります。

 

そこで,選択権が移転するためには,いくつかの条件を満たすことを民法は求めます。

具体的には,以下の条件すべてを満たす必要があります。

【選択権の移転の要件】

  • ①:選択債権が弁済期を迎えている
  • ②:相手方から相当の期間を定めて催告をした
  • ③:選択権者が相当の期間内に選択をしない

 

民法408条 【選択権の移転】

①債権が弁済期にある場合において、②相手方から相当の期間を定めて催告をしても、③選択権を有する当事者がその期間内に選択をしないときは、その選択権は、相手方に移転する。

 

つまり,選択権を行使しないまま弁済期を迎え(①),履行遅滞に陥っており…,

選択権を行使しないまま弁済期到来(①)
選択権を行使しないまま弁済期到来(①)

 

相手方から催告をした(②)のに…,

相手方から催告(②)
相手方から催告(②)

それでも選択をしない(③)とき…,

それでも選択をしないとき…(③)
それでも選択をしないとき…(③)

選択権が移転します。

選択権が移転する!
選択権が移転する!
選択権が移転した結果...
選択権が移転した結果...

民法は,時効のときもそうでしたが,権利の上に眠る者は保護しません

選択権があっても,いつまでもその権利を行使しなけば保護されず,その権利を失うこととなります。

 

解説はここまでです。 読んで頂きありがとうございました!

ウリム

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※前条の解説はこちらです。

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※次条の解説はこちらです。

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参考文献など

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