本記事では,4ヶ月(134日)の独学で,筆者を行政書士試験合格に導いた基本書とサービスを紹介します。
筆者は,行政書士試験受験を決めてから試験日まで,あまりにも時間が無かったので,テキストは絞りに絞りました。
どの書籍もキチンと最後まで付き合えば,読者の方を間違いなく合格まで導いてくれる選りすぐりたちです。
ただ,いくら書籍の完成度が高くても,それらを使い潰す前に別の書籍に浮気をしたり,使い込みが足りないと,書籍たちの持つポテンシャルは最大限に発揮されません。
また,テキストや書籍はあくまでも合格に向けて学力・知識を向上させる道具のひとつであって,道具の使い方を間違えたり,そもそもの勉強計画が正しくないと,努力の方向を間違えます。
筆者が4ヶ月で,独学で合格を目指した勉強法と,試験対策は以下の記事に書いているので,読んでない方は先に読んでから,各書籍紹介に進むと良いと思います。
2万文字近い,有料note級の情報量がある記事です。
短期で一発合格する人が,どれだけの準備・対策をし,どのように試験に臨んでいるかわかると思います。
早速,私が使用した書籍を5冊紹介します。
この5冊が,合格に必要なミニマムの書籍量なのではないかと思っています。
これ以上減らすと,合格に必要な情報が欠落する可能性が高いのでやめた方がいいです。
また,全員が全員,ミニマムが最適解ではないと思いますので,(後述しますが特に民法で)足りないと感じる部分は適宜買い足した方がよいと思います。
ただし,むやみやたらに買い足すと合格が遠のくので,そこは細心の注意を払いましょう。
インプット用
1冊目:うかる!行政書士 総合テキスト 2022年度版 (伊藤塾)
1冊目は,伊藤塾から出ている『うかる!行政書士 総合テキスト』です。
資格試験の予備校最大手の伊藤塾が出しているテキストで,使用している受験生も多い信頼ある書籍です。
このテキストの良い点は以下の2つです。
- 解説が簡潔ではあるが,行政書士試験のほぼ全範囲を網羅している
- 解説が簡潔なので,最後の最後の見返しや追い込み期に最適
本書は,行政書士試験に必要な知識をほぼ全範囲,簡潔にまとめあげています。
この『全範囲網羅している』という点を,筆者はすごく評価して選びました。
この本を信じれば,少なくとも試験範囲漏れは無いという安心感があるため,勉強を進めるうえで精神を安定させてくれます。
また,試験範囲を網羅しているため,他の受験生が知っているのに,自分が知らないという事態を防止することができます。
一方で,行政書士試験に必要な知識を1冊に頑張って収めようとしているので,条文適用の結果や,概念の説明のみの言及が目立つので,条文の趣旨などは意識的に本書以外から吸収する意識が必要です。
本書が簡潔にまとめられていることはデメリットとも言えますが,簡潔にまとめられているのは直前期になります。
試験直前の1週間前になると,条文の趣旨がどうのこうのよりも,試験日の頭の中にどれだけ知識を入れていけるかの追い込み対策が必要になります。
試験直前の追い込み期において,本書を通読して総復習すると解説が簡潔なのでサクサク進むため,絶大な効果を発揮します。
まとめると,本書は全範囲を簡潔に網羅しているため,勉強初期のスタートアップから最後の総仕上げまで,最初から最後まで受験生をサポートしてくれる存在です。
2冊目:国家試験のためのよくわかる憲法 (中谷彰吾 著)
2冊目は,憲法対策として,国家公務員試験対策として絶大な支持を集める『国家試験のためのよくわかる憲法』です。
”国家試験のため”とありますが,行政書士試験にも対応しています。
わかりやすい事例を多彩に用いて,憲法とは何なのか,私たちの日常生活・権利をどのように守ってくれているのか,を基礎の基礎からわかりやすく解説してくれています。
伊藤塾の総合テキストの憲法の記述では,かなりざっくりとした説明が続くので,憲法概念を基礎から固めたい方にオススメです。
筆者は,行政書士試験の勉強を始めたとき,恥ずかしながら「憲法」と「法律」の違いすら知りませんでした。
そんな状態から憲法の全体概要を掴み,問題演習を行うレベルまでの架け橋的な役割を本書が担ってくれます。
3冊目:行政法 (櫻井敬子・橋本博之 著)
行政書士試験の最重要科目である行政法は,伊藤塾の総合テキスト以外にもしっかりした基本書を用意すべきです。
私は,櫻井先生・橋本先生の共著である『行政法』,俗に言う『サクハシ本』を強く推します。
本書推薦理由は以下のとおりです。
- 本書に書いてあることを理解・記憶しているなら,行政書士試験に落ちるはずがないから
- 行政書士試験のために書かれている?というレベルで行政書士試験にリンクしているから
- 『行政判例ノート』とシナジーしているから
本書には,行政書士試験に合格するために必要な,行政法の知識の全てが書いてあります。
もしもこの本を行政書士試験に持ち込んで良いと言われたら,時間が有れば誰でも行政法範囲は満点を狙えるはずです。
つまり,現実に持ち込みはできないまでも,本書を頭の中に丸々インプットして試験に臨んだのなら,行政法は満点狙えるわけです。
そんな本があるのなら,その本をパートナーに選ばない理由がないだろうという判断で,私は本書に行政法を任せて,現実に成功しました。
また,著者の櫻井先生と橋本先生が,どの程度,行政書士試験を意識されて本著を書かれたのかは存じ上げませんが,かなり行政書士試験を意識して書かれたのかな?というレベルで,行政書士試験に必要な知識が整理されています。
記載分量はそんなに多くありませんが,一般知識の個人情報保護対策にもなる記述がある点も本書の評価ポイントです。
さらに,行政書士試験において,行政法は条文知識だけでは不十分で,判例もしっかり学習する必要があります。
本書は,後述の『行政判例ノート』とリンクするように作られています。 『行政判例ノート』の判例解説が,本書のどこに書かれているのかが 『行政判例ノート』 上に記載されています。
『行政判例ノート』で判例学習の時に,概念・条文知識を本書で参照する作業をスムーズに行えるため,本書を選んだのなら,『行政判例ノート』はセット購入必須です。
4冊目:行政判例ノート (橋本博之 著)
4冊目は,前述のサクハシ本の著者のひとりである橋本先生が書かれている『行政判例ノート』です。
著者が同じこともあり,『行政法』と『行政判例ノート』はシナジーするように作られています。 そのため,『行政法』と『行政判例ノート』は,原則として両方セットで使用するようにしましょう。
片方だけ購入して勉強するのは非常に非効率です。
本著は,行政書士試験に必要な重要判例を全て網羅するだけでなく,サクハシ本の解説に沿って,概念別に判例を整理して丁寧な解説が附されています。
判例本文もしっかり重要部分が引用されています。
また,前述のとおり,サクハシ本とシナジーしているため,本著で判例について言及している箇所が,サクハシ本のどこに載っているのか記載がされています。
そのため,本著の判例学習の際に,サクハシ本での条文・概念の確認をスムーズに行えるため,判例⇔条文・概念の反復横跳び学習を可能にしてくれます。
判例⇔条文・概念の反復横跳び学習は,知識の横断的習得にかなり効果があるので,『行政法』と『行政判例ノート』はセット購入必須です。
5冊目:判例六法 -有斐閣-
5冊目は,『判例六法』です。
行政書士試験において,私が本書をオススメする理由は以下のとおりです。
まず,コンパクトなので,持ち運びが多少楽です。(それでも重いですが…)
次に,条文の近くにその条文に関連する重要な判例の重要ポイントが載っているので,条文の確認をする度に,判例学習ができるのがオススメポイントです。
憲法,民法の条文を引くたびに,判例に目を通すようにすると,重要判例との接触機会が多く確保できるので暗記効率が大きく向上します。(行政法の判例学習は『行政判例ノート』をメインに用いましょう)
少し話は逸れますが,「行政書士試験に六法は必要か?」問題をたまに耳にします。
答えは「必要です」。
ネットを見ると,必要ないと言及している記事を目にすることがありますが,正気か?というのが筆者の感想です。
六法は,野球で言うグローブのようなものと筆者は考えています。
たしかに,グローブは無くても,素手で球はキャッチできるでしょう。
でもグローブという便利なものが有れば,素手ではこぼれ落ちやすい球も,おさまりよくキャッチできるのです。
行政書士試験に六法無しで挑むのは,グローブも持たずに草野球に来て,「素手でも取れるよ!ほらー!」と要領の悪いことをしているように私には見えます。
本当に合格したいのなら,六法にかける数千円をケチっている場合ではないです。
民法の基本書は…?
実は,筆者は行政書士試験に対して,基本書は使いませんでした。
というか,正確には試験日までの時間が無さすぎて,民法の基本書まで用意して,読み込んで使い潰す時間がありませんでした。
そのため,伊藤塾の総合テキストの民法部分を読んだ後,過去問・練習問題演習をして,わからないことや条文・制度趣旨はGoogleで調べる形で勉強しました。
試験後,佐久間先生の『民法の基礎 1・2』を読んで,その分かりやすさに感動しました。
オススメなのは確かなのですが,行政書士試験という範囲で考えると,『民法の基礎 1・2』は少しオーバースペックな気がしています。
本ブログは,「知らないことには言及しない」を信条として運営していますので,無責任に読んだこと無い書籍をオススメすることはしないため,行政書士試験に向けた民法の基本書を現時点(2022年1月)においては,特に指定しないことにしました。
アウトプット
行政書士試験!合格道場
筆者は,問題演習はこのサービスを利用した以外は全くやってません。
ひと目見た瞬間に,このサービスだけで問題演習の量としては十分だと判断できたからです。
行政書士合格道場の良い点は以下のとおりです。
- 一問一答→過去問→練習問題と,ステップアップしながら問題演習ができる
- 各問題に解説がちゃんとついている
- スマホで問題演習ができるので,スキマ時間を有効活用できる
- 料金がとにかく安い
- 一問一答→過去問→練習問題と,ステップアップしながら問題演習ができる
問題演習の量もさることながら,ステップアップしながら問題演習ができるようにデザインされている点が優れています。
伊藤塾の総合テキストなどで,その日学習した範囲を一問一答で確認し,全範囲を駆け抜けたら過去問演習に移る,という理想的な動きを自然できるようになっています。
各問題に解説がちゃんとついている
各問題に解答すると,ちゃんとした分量の解説が表示されるようになっています。
その解説も全てがそうではないですが,単純なテキストに書いてあることのコピペでは無い親切な解説のものも数多く存在します。
スマホで問題演習ができるので,スキマ時間を有効活用できる
筆者が一番魅力を感じたポイントですが,スマホで問題演習ができるので,とにかくどこでも気が向いたら,1問からでも問題演習が行うことができます。
筆者は,信号待ちやお風呂や寝る前の布団の中で,隙あらば,このサービスで問題演習を繰り返しました。
紙の問題演習本を全否定することはしませんが,やはり持ち運びがネックなので,寝っ転がってても,満員電車でも心理的障害無くサッと学習モードに入れるスマホでの問題演習環境は用意しておくといいです。
料金がとにかく安い
行政書士試験道場は,とにかく料金が安いです。
もっとも料金の高い時期に入会しても7,500円ほどなので,予備校に比べるとかなり安いです。
キチンと使いこなせば,コスパ最強なので,登録して損はないと思います。
最高の書籍やサービスを最大限に活用する方法
以上で,筆者が4ヶ月の独学で行政書士試験を突破した際に使用した5冊と1サービスを紹介しました。
冒頭でも述べましたが,紹介した5冊と1サービスは,あくまでも合格に必要な知識を身に着けるための道具にすぎません。
購入して机に放置しておけば勝手に頭の中に知識が定着するなんてことはありません。
「オススメの書籍たちはわかったけど,どうやって勉強すればいいの?」という方は,以下の記事から努力の方向性を確認することをオススメします。
私が紹介した書籍とサービスを使って,4ヶ月の独学で行政書士試験に合格した計画・対策・方法を有料note級の情報量でまとめています。
みなさまの努力が合格にかたちで実を結ぶことを心から応援しております。