第7章 留置権

【民法300条:留置権の行使≠担保権の実行】留置権と消滅時効の関係を一発理解

伊藤かずま

国際行政書士(第21190957号)
宅地建物取引士合格(未登録)
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ウリム

留置権が消滅時効の進行を妨げないことはテキストとか読んで知ってるけど...

そもそもなんで留置権のところでいきなり消滅時効の話が出てくるの?

本記事は,民法300条の留置権の行使と債権の消滅時効の関係をわかりやすく解説しています。

留置権→担保物権→被担保債権→消滅時効という流れでそれぞれが繋がり,留置権と消滅時効が結びつくことがポイントです。

 

本記事を読むことで,以下を達成できるように執筆しています。

  • 留置権と消滅時効がなぜ関連するのかの流れがわかる
  • 留置権で消滅時効の進行が止まらない理由がわかる

 

記事の信頼性

本記事は,4ヶ月の独学で行政書士2週間の独学で宅建に一発合格した当ブログの管理人の伊藤かずまが記載しています。
現在は,現役行政書士として法律に携わる仕事をしています。

参考:独学・働きながら・4ヶ月・一発(202点)で行政書士試験に合格した勉強法
参考:筆者を4ヶ月で合格に導いた超厳選の良書たち

 

読者さんへの前置き

赤文字は,試験対策として絶対に知っておくべき単語・用語・概念・考え方,その他重要ポイントです
太文字は,解説中で大切なポイントです
※本記事は,2020年4月1日施行の民法改正に対応しています

 

※本ブログでは,記事内容を要約したものを先に【結論】としてまとめ,その後【解説】で詳細に説明をしていますので,読者さまの用途に合わせて柔軟にご利用ください!!

【結論】『留置権の行使』≠『担保権の実行』

民法300条 【留置権の行使と債権の消滅時効】

留置権の行使は,債権の消滅時効の進行を妨げない

民法148条 【強制執行等による時効の完成猶予及び更新】

1 次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(申立ての取下げ又は法律の規定に従わないことによる取消しによってその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から6箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない
一 強制執行
二 担保権の実行
三 民事執行法第195条に規定する担保権の実行としての競売の例による競売
四 民事執行法第196条に規定する財産開示手続又は同法第204条に規定する第三者からの情報取得手続

2 (略)

本条文は,『留置権の行使』(本条民法300条)は,『担保権の実行』(民法148条)とは評価されず,留置権によって被担保債権の消滅時効の進行は止まらないと規定したものです。

 

【解説】留置権→担保物権→被担保債権→消滅時効の流れをおさえよう!

留置権→担保物権→被担保債権→消滅時効

ウリム

そもそも,なんでいきなり留置権分野なのに,消滅時効うんぬんの話が出てくるの?

それは,留置権→担保物権→被担保債権→消滅時効の流れで繋がるからだよ!

くーぴぃ

留置権は法定担保物権であり,”担保”物権であることから,必ず担保される対象である被”担保”債権が存在します

これにより,①留置権→担保物権→被担保債権というかたちで繋がりました。

 

次に,債権は消滅時効にかかりますので,当然,被担保債権も消滅時効にかかることになります

よって,②被担保債権→消滅時効と繋がります。

 

整理すると,以下のとおりです。

  • ①留置権→担保物権→被担保債権
  • ②被担保債権→消滅時効

以上の①と②をくっつけると,留置権→担保物権→被担保債権→消滅時効と繋がり,留置権の分野で消滅時効が顔をのぞかせることになるのです

 

時効進行をストップする3つの方法

ここで,少し時効の話に触れておきます。

時効の進行をストップし,完成猶予又は更新をするためには,以下の3つの手段のいずれかを行う必要があります。

【時効の進行を妨げる(完成猶予又は更新)3手段】

  • Ⅰ:民法147条 (裁判手続き上での)催告
  • Ⅱ:民法148条 強制執行等(強制執行・担保権の実行・担保権の実行による競売・財産開示手続)
  • Ⅲ:民法152条 承認

 

『留置権の行使』は『担保権の実行』と言えるのか?

留置権の成立を主張することを,『留置権の行使』と言います。

留置権は担保(物)権なわけですから,『留置権の行使』は『担保権の実行』と言えそうです

それであれば,留置権を主張することは,担保権の実行となり,完成猶予又は更新の効果が発生し,時効の進行を止める効力を有すると考えることもできそうです。

 

しかし,この点について民法は,本条民法300条にて,留置権(の行使)によっては被担保債権の消滅時効の進行は止まらないとしています。

理由は,留置権は,手元に物を人質としてキープできる効力を持つに留まるものとして設計されて誕生した権利であるため,時効の進行を止めるほどの効力を認めるべきではないからとされています。

 

すなわち,法的効果の側面で考えたとき,『留置権の行使』≠『担保権の実行』となるのです。

 

解説はここまでです。 読んで頂きありがとうございました!

ウリム

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※前条の解説はこちらです。

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※次条の解説はこちらです。

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参考文献など

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