この記事は,行政書士試験合格を目指している方に向けて,行政書士試験に4ヶ月の独学で合格した筆者が実践した計画・対策・勉強をまとめたものです。
行政書士試験に短期間で合格する人が,どのように準備し,計画を立てて試験に臨んでいるのか,がわかると思います。
参考になる点は是非参考にして,パクっちゃってください。 パクリOKです。
筆者が使った書籍紹介を含めると,約2万文字ほどになりました。
おそらく有料note級の情報量だと思いますので,是非ご一読ください。
- 法律学習経験無し
- 社会人で働きながらの独学
- 学習期間4ヶ月
- 本試験202点で一発合格をした現役行政書士
この記事はこんな人にオススメ
- 行政書士試験を目指そうと思うけど,どんな試験か知りたい方
- なかなか努力が合格に結びつかない方
- 合格に必要なマインドセットをしたい方
- 一般知識対策って必要なの?って迷っている,足切りが心配な方
※本記事では,令和3年度までの直近の試験傾向を基準に試験対策を論じています。
はじめに
私は,一発で合格するために,以下の方針で試験対策を講じました。
”運要素が,全て下振れた最悪の出題だったとしても,合格できるように準備する”
自分の得意な範囲で出題された,一般知識で知っているものが出た,適当にマークしたのが正解していた…など,試験には上振れ下振れが存在します。
合格したいなら,試験対策においては,運要素は全て下振れたとして計画を立てることを推奨します。
本記事に記載する,実際に私を短期合格に導いた計画は,全ての運要素は最悪だったパターンでも限りなく高い確率で合格ラインを越えられようになっています。
たとえば…
- 記述式は3問とも知らない問題が出題された,誤字をしてしまったとして0点
- 一般知識は政治・経済・社会の全てが知らない問題で,足切りギリギリの24点
- 一般知識で適当にマークした問題が全て間違っていた
というように,下振れた場合で計画を立てました。
これだけ用意したうえで,もしも本試験で運が上振れた場合は,試験日当日に「これなら合格確実だ!」と心を落ち着かせる,精神安定剤としてのみ考慮すればよいのです。
完全下振れでも合格を目指した私の計画は,これから試験に挑戦する方のプラスになるはずです。
(2024/7/7追記) ちょっと告知だよ!
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行政書士試験の分析
行政書士試験の科目・配点
行政書士の試験は,大きく分けて法令科目と一般知識の2つに分かれます。
各配点と出題範囲は以下のとおりです。
- 法令科目:配点244点
- 一般知識:配点56点
満点は300点です。
法律系国家資格試験なので当然ですが,全体の配点の約81%は法律の知識が問われます。
行政書士試験の合格点
行政書士試験は300点満点中の180点,すなわち正答率60%以上で合格です。
「え?6割正解でいいってことは,10問中半分と,あと1問正解レベルで合格なの?簡単じゃん!」と思うかもしれませんが,この認識で計画を立てると,ほぼ間違いなく爆死するので注意してください。
あくまで体感ですが,安定して確実に合格を狙う計画にするには,体感ですが正答率85%は無いと不合格になる可能性が高いです。
なぜ,そんなにビビらせるのかというと,以下の2つの理由からです。
- 出題範囲が実質無限の一般知識に足切りが存在する
- 採点基準がブラックボックスな,1問20点という大きい配点割合を占める記述式が3問出題される
以下で細かく見ていきます。
出題範囲が実質無限の一般知識に足切りが存在する
前述のとおり,行政書士試験は法令科目と一般知識の大きく2つの出題が有り,総合で180点を取れれば合格です。
実は,総合で180点を取れば合格というのは,半分正解で半分不正解です。
正確には,以下の1.~3.の全てを満たす必要が有ります。
(※3.を満たすには,必ず1.を達成しないといけないので,1.は実質無意味な条件です)
- 法令科目で122点以上であること
- 一般知識で24点以上であること
- 総合で180点以上であること
行政書士試験で厄介なのが,2.の『一般知識』です。
細かい対策は後述しますが,一般知識は一部の出題範囲が実質無限なので,法令科目がかなり自信のある人でも一般知識の足切りにならないか,結構内心ビビってます。
一般知識は対策も立てにくいため,一般知識の獲得点は,足切りをクリアするギリギリの24点を取ったとして,法令科目の勉強計画を立てるべきです。
この時点で勉強計画からは,安定獲得が困難な32点(一般知識の総得点の56点中から獲得前提の24点を引いた残り)は,試験の総得点から差し引かざるを得ません。
つまり,行政書士試験は300点満点ではなく,300点から32点を差し引いた,268点満点の試験であると考えましょう。
採点基準がブラックボックス1問20点という大きい配点割合を占める記述式が3問出題される
行政書士試験は,マークシート式だけでなく記述式も出題されます。
この記述式が曲者で,行政書士試験全体300点のうちの20%に相当する配点60点もあります。
さらに,出題数はたった3問なので,1問落とすだけで20点が吹き飛びます。
記述式の採点は, 0点又は20点のようなオールオアナッシングではなく,部分点があるので,そんなに萎縮する必要はありません。
しかし,部分点の配点基準が非公開なので,どこまで・どのように書ければ何点もらえるのか,合格発表日にならないとわからないです。
さらに,行政書士試験センターは公式に何も言っていないので注意してほしいのですが,その年のマーク式の全体の出来栄えにあわせて採点基準を変えて,合格者数を調整している説なんかもささやかれています。
採点基準が不明瞭なことに不満を持つ気持ちはわかりますが,試験を受けている全員が同じ問題文で知識を問われ,回答しているのですから,そこに文句を言っても合格には近づきません。
出題数がたったの3問と少ないため,たまたま苦手な3問が出題されてしまう可能性があること,採点基準もよくわからないことから,オススメの記述対策計画は『記述式が0点だったとしても合格する点数をマークシート式で獲得する』です。
したがって,勉強計画からは記述式の60点も差し引いて考えておきましょう。
行政書士試験は60%を取って合格する試験ではなく,記述抜きで86.5%以上を取る試験
たしかに行政書士試験は300満点中180点を取れれば合格なのです。
しかしながら,前述の差し引いて考えるべき点数を考慮すると,行政書士試験は,実質は以下のとおり,208点満点中180点を取る試験です。
形式上の満点300点 - 32点(※①) - 60点(※②) = 実質の満点208点
※①:安定しない一般知識を足切りギリギリの24点でクリアした場合の失点の32点
※②:記述式で出題運が悪くて爆死した場合の失点の60点
したがって,本記事で推奨する全て下振れでも合格計画では,行政書士試験というものを合格しようとするには,208点満点の試験で180点を獲得する,すなわち正答率86.5%が要求される試験であると考えます。
行政書士試験は,本気で合格を目指す人は,これだけ準備して臨んでくる試験なのです。
それを理解せずに,『記述は少なくとも20点は取れるだろう。 じゃあ,マークシート式で160点取って,6割越えで合格だ!』という心積もりで準備していると,容赦なく落ちます。
このような,甘い計画を立てるので,勉強が追い付かなくて,地方自治法や商法・会社法を捨てようか...なんて発想が出てきてしまうです。
行政書士試験の合格率は約10%です。
1名の合格の裏に9名の不合格者がいることから目を背けてはいけないのです。
合格のイスに座ることのできる10人中1人は,地方自治法も商法・会社法も当たり前のように勉強してきます。
記念受験組もいるから実質の合格率はもっと高いなんて言う人もいますが,合格していく人の中には行政書士試験よりもはるかに難関の司法試験,司法書士試験や国家試験受験組もいるのです。
彼らが合格者の一部を占めていることを考えても,結局の合格率は数字どおりの10%,10人いたら1人しか合格しない試験であることを改めて認識しておきましょう。
記述抜きで180点を取るために
記述抜きで180点を取るための各科目の目標(正当数/出題数)は以下が目安になります。
【法令科目】
基礎法学 :1/2問 (50%)
憲法 :4/5問 (80%)
行政法 :17/19問 (89.4%)
民法 :8/9問 (88.8%)
多肢選択式 :20/24点 (83.3%)
商法・会社法 :3/5問 (60%)
記述式 :0/3問 (0%)
【一般知識】
政治・経済・社会 :1/8問 (12.5%)
情報通信・個人情報保護:2/3問 (66.6%)
文章理解 :3/3問 (100%)
以上,合計180点 (※上記の%表記は各科目の正答率)
記述抜きかつ,一般知識24点で180点を越えようと思うと,憲法・民法・行政法で80~90%近い正答率を確保しなければいけないことがわかると思います。
合格していく人は,記述抜き180点を目標に勉強しています。
本気で合格を目指すのなら,上記の点数を得られるだけの勉強をする覚悟が必要です。
下振れ計画がもたらす副次効果
下振れ計画がもたらす効果がいくつかあります。
当日,上振れを感じたときにかなりの精神安定剤になる
試験日,本気で合格を狙っている人は大なり小なり緊張しています。(特に一般知識で足切りにあわないか…)
読者の方は,緊張には強いですか? 私はめちゃくちゃ弱いです。
人間である以上,試験日は少なからず緊張するはずです。
そして,本気で合格を狙っている人は,試験日(+その数日前)に緊張することは,ほぼ確定的な未来です。
試験日当日に緊張することが分かっているのですから,緊張への対策も計画に織り込む方が良いでしょう。
計画において,ありとあらゆる要素を下振れに設定しておくと,試験中に上振れを感じた際に,かなりの精神安定剤的効果を発揮します。
元々,全ての要素を最悪のケースで想定していたのですから,一般知識の政治・経済・社会から,確実に知っている1問が出題されるだけで,計画にプラス4点,足切りから大きく遠ざかります。
記述式においても,0点でも合格をする計画を立てて望んでいるのですから,完答間違いなしの1問が出題されれば+20点,それは,マーク式出題において,予定に反して5問落としても合格できることを意味します。
試験日までの勉強期間で,マーク式で正答率86.5%取らなければいけないところまで学力を手にする厳しい努力を自分に課すことで,試験当日の精神安定を買うというイメージです。
厳しい計画を立てることで,法令科目で捨て問を作れないというマインドセットを行う
マーク式で正答率86.5%を目指す…,これは生半可な勉強では無理です。
この正答率をクリアするには,他の人が落とさない問題を正解するのは当然として,他の人が捨てる問題も落とすわけにはいきません。
地方自治法や商法・会社法を捨てるなんて当然できないですし,民法の先取特権や組合契約のような,ニッチな出題も落とせません。
つまり,全てが下振れた計画では,落として良い問題などなく,捨て問なんて存在しません。
試験本番までの長い勉強期間において,この「捨て問なんて存在しない」という現実は私たちのメンタルに強く働きかけてくれます。
権利質,先取特権,親族・相続…,めったに出題されないから適当な知識でいいやって気持ちで問題を解いたりしていませんか?
科目毎に勉強する優先度は段違い(対勉強時間コスパランキング)
誤解を生まないように,先にお伝えしておくと,全ての範囲を勉強するのが大前提です。
この全ての範囲を勉強する大前提のもと,出題科目ごとに勉強すべき優先度の比重が異なります。
なぜなら,行政書士試験は科目ごとに出題される問題数や配点があらかじめ決まっているからです。
たとえば,商法・会社法は記述式や多岐選択式には出題されないので,どんなに勉強をしても合格に貢献できるのは配点分の20点のみです。
一方で,憲法は5択式と多岐選択式で28点の配点があります。 それでいて,勉強すべき量は商法・会社法よりも少ないです。
したがって,商法・会社法と憲法を比較した場合,より少ない勉強量で試験合格に貢献してくれる科目は,憲法ということになります。
こういった観点から,全範囲を網羅する勉強をするというのは当たり前なんですが,それでもより効率よく勉強を当日の獲得点に変換するには,各科目の優先順位を把握しておく必要があります。
私が考える優先順位は以下のとおりです。
最優先←ランクS>A>B>C>D>E>F>G>H→後回し
S:民法(総則・物権・債権編)/行政法総論/行政手続法/行政不服審査法/行政事件訴訟法
A:憲法
B:行政代執行法/国家賠償法/個人情報保護法
C:地方自治法
D:文章理解/情報通信
E:民法(親族・相続編)
F:商法
G:会社法
H:基礎法学/政治・経済・社会
※単位時間あたりの得点効率のランキングです。『勉強する順序』のランキングではありません。
各ランク付けの順位の理由を説明します。
S:民法(総則・物権・債権編)/行政法総論/行政手続法/行政不服審査法/行政事件訴訟法
行政書士試験において最もコアの部分ですので,勉強優先度MAXのSランクです。
Sランクに属する範囲だけで約152点の配点が有り,300点満点中の50.6%を占めます。
(択一式:68点 多岐選択式:24点 記述式:60点)
極論,Sランクの152点に一般知識で28点取れば180点に達するので,Sランクのみの勉強で合格を目指す縛りプレイでも合格できることになります。
それだけ重要な範囲なので,Sランクの勉強が不十分だと絶対に受かりません。
ここを落とすならお話にならないので,心して勉強しましょう。
A:憲法
次に優先すべきは憲法です。 憲法の配点は28点有り,全体の9.3%を占めます。
出題される範囲も配点も分かっていて,全体の約10%の得点を占めている憲法の優先度はかなり高いです。
憲法をBランクたちよりも高めに置いたのは,Bランクたちよりも出題数が確保できているためです。
行政代執行法や国家賠償法は,出題数が一般的法理論の中でいくつ割り振られるかわからないですし,出題数も憲法よりも限られています。
そのため,たしかに憲法は勉強する分量はありますが,勉強すれば最大値で28点の見返りをくれる憲法をAランクとしました。
B:行政代執行法/国家賠償法/個人情報保護法
行政代執行法と国家賠償法は条文も少なく,(国家賠償法は)判例も有名どころが出題されるので得点効率が高いため,Bランクとしました。
また,多岐選択式の3問中2問は行政法から出題されるので,行政代執行法や国家賠償法からの出題も十分にありえます。 したがって,多岐選択式に出題される可能性がかなり低い地方自治法よりも優先度は上です。
すこし意外に思うかもしれないのが個人情報保護法かもしれません。
個人情報保護法は一般知識範囲に属するので,個人情報保護法が一般知識範囲の中では最も優先して勉強すべきということになります。
なぜこんなに上のBランクに一般知識範囲の個人情報保護法が来るか説明しますが,その前に以下のことを肝に銘じておいてください。
『法令科目の4点と,一般知識の4点では,一般知識の4点の方が価値は圧倒的に高い』です。
行政書士試験において,しっかり勉強して記述も50点アッパークラスで,法令科目の知識においては絶対に合格するレベルの人が,試験直前に心配になることは「一般知識で足切りされないか」ということだけです。
万全の準備をして試験に臨む人が不合格になる可能性は,一般知識で足切りされるだけなのです。
そうなると,法令科目が確実に合格点を越える人にとっては,最終的・究極的に行政書士試験は『一般知識で24点を獲得する』という試験に姿を変えるのです。
それはつまり,法令科目の1問4点よりも,一般知識の1問4点の方が,価値が高いことを意味します。
ここまで一般知識の点数の重みを語りましたが,1問の価値が非常に高い一般知識において,どう点数を取るかですが,個人情報保護法が重要なポイントになります。
詳しくは後述しますが,個人情報保護法は数少ない一般知識において出題範囲が分かっている科目です。
例年2問ほど個人情報保護関連から出題されますので,この2問8点は死守したいです。
この2問を確実に抑えるために,個人情報保護法はBランクとしました。
C:地方自治法
地方自治法は,例年確実に3問12点(配点率4%)出題されます。
出題されることが分かっているのですから,落とすわけにはいきません。
しかしながら,地方自治法は行政法に属するのですが,地方自治法の3問が独立して知識を問われることが多く,他の行政法との混成問題などで派生出題されにくい科目なのでCランクとしました。
ちなみに,地方自治法は,条文自体は多いですが,出題される条文・知識はかなり限られています。
なぜか行政書士試験は住民訴訟が大好きで毎年必ず出題されているので,住民訴訟の要件は絶対にチェックしておきましょう。
D:文章理解/情報通信
Dランクは文章理解と情報通信で,両方とも一般知識範囲です。
まず,文章理解は毎年3問出題されますので,3問絶対に正解しなければいけません。
Bランクの個人情報保護法のところで,一般知識の1問4点の価値の高さについて述べましたが,それは当然に文章理解にもあてはまります。
Dランクにはしましたが,もし過去問を解いて文章理解が全問正解できないのなら,もっと上のランクに上げて頂いても構いません。
一般知識の足切り回避まで必要な6問正答のうち,文章理解の3問だけで半分埋められます。
更に,文章理解の3問が,法令科目含めたその他57問と決定的に違うのは,問題文の中に答えが書いてある点です。
そのため,落ち着いて時間をかければ絶対に確信を持って正解できる3問なのです。
これを落とすわけにはいきません。
過去問や模試で文章理解全問正解が安定しないのなら,絶対に商法・会社法の勉強よりも優先してください。 その意味でDランクです。
E:民法(親族・相続編)
民法の親族・相続編は,例年は1問4点の配点です。
しかし,民法(親族・相続編)をEランクとして,商法・会社法以下のFランクより優先しているのは,少ないながらも記述式で出題される可能性があるからです。
過去に1度記述式が親族・相続編から出題されている事実は見逃せないため,Fランクの商法よりは民法の親族・相続編のが学習範囲は広いものの,最高24点配点(マーク式1問+記述式1問)に化ける可能性を持っている民法の親族・相続編をEランクにしました。
個人的には,文章理解や個人情報保護法のように一般知識範囲の科目よりかは優先度が落ちます。
F:商法
商法は,例年1問4点の出題です。
勉強する分量はEランクの民法(親族・相続編)よりかは少ないか,という量です。
商法は,民法の特則的な立場の法律であるので,多くの点で民法との差異を学ぶ部分があります。
一方で,ランクGの会社法は,勉強に多くの時間を割くことになる憲法・民法・行政法と,法律が有する雰囲気が違います。
また,会社法は商法の知識・概念を知った上で取り組む方が良い法律なので,商法と会社法を比した場合,商法を優先すべきです。
G:会社法
会社法は4問16点の配点です。
決して低い配点ではないのですが,会社法は学習しなければならない範囲がかなり広いです。 さらに,憲法・民法・行政法とは違った難しさが会社法にはあります。
したがって,法令科目としてはもっとも学習効率が悪いため,優先度としては最も下になります。
H:基礎法学/政治・経済・社会
基礎法学は2問8点の配点です。 法学に関連する知識として,何が出題されるかはわからないですが,例年を見ていると2問中1問は,普通に行政書士試験を学習していれば答えられる問題のことが多いです。
したがって,基礎法学については,これ専用に勉強する必要はないでしょう。
政治・経済・社会は,実質試験範囲無限なので,対策はかなり困難を極めます。
配点としては8問32点も配点があるので,憲法の28点の配点よりも大きいので,決して小さい配点ではないのですが…。
一般知識科目対策
一般知識対策としては以下の方針でよいと考えます。
- 目標点数は足切り回避ギリギリの6問正解の24点
- 政治・経済・社会で1問,個人情報保護法を2問,文章理解を3問正解
- 9問中1問を運に任せる
目標点数は足切り回避ギリギリの6問正解の24点
一般知識は14問中8問が,試験範囲無限大の政治・経済・社会からの出題で全く安定しません。
したがって,一般知識で得点計画を40点などで立てることは無謀です。 よって,一般知識は,合格に必要な足切り回避ギリギリである6問正解の24点を取れたとして計画しましょう。
一般知識24点の獲得配分
一般知識24点の獲得配分は,政治・経済・社会又は情報通信で1問,個人情報保護法を2問,文章理解を3問の正解計画がオススメです。
個人情報保護を2問正答
まず,個人情報保護は例年2問出題されますので,この2問は確実に正解したいです。
そのため,前述の勉強優先順位でも個人情報保護法はBランクとし,行政代執行法や国家賠償法と並ぶ勉強時間を確保してください。
情報通信からも例年1問出題されますが,正直ITの分野内でも出題傾向はバラバラなので,易問・難問の差が年によって激しいので安定しにくいため,確実に得点する問題とは考えない方が良いです。
文章理解を3問正答
次に,文章理解の3問は,何度も言いますが,これは絶対に全問正答しなければいけません。
文章理解は行政書士試験において唯一,その場の思考で確実に正答にたどり着ける問題です。
文章理解の正答率を100%にするためにできることのひとつに,試験時間の中で,文章理解の問題にかける時間を長めに確保することがあります。
行政書士試験は出題数60問に対し,試験時間は180分です。 つまり,単純計算で1問あたり3分です。
当然,記述式が3分で解けるわけないので,文字数の少ないマークシート式問題は1問1~2分が配分となります。
私は,文章理解には3問で20~24分を用意して試験に臨みました。
仮に文章理解に超難問が出題された場合は,30分かかってでも文章理解の3問は全問正解を確信するまでマークシートを塗らないと決めていました。
それだけ,文章理解の3問は一般知識の足切り回避において大切なのです。
政治・経済・社会又は情報通信で1問正答
個人情報保護で2問,文章理解で3問正答した場合,足切り回避まであと1問です。
これは試験の制度上どうしようもないのですが,この残ったあと1問は運頼みが計画としては限界だと,私は見切りました。
とは言っても,勝算は高い運頼みです。
一般知識全14問の内,5問(個人情報保護法2問と文章理解3問)を除くと,残るは政治・経済・社会又は情報通信の9問です。
残り9問中1問正解すればよいですが,もし9問全てが全然わからなくて適当にマークした場合に,9問全て不正解を選ぶ確率はどの程度でしょうか?
行政書士試験の選択肢は5択ですから,9問全て不正解になる確率は計算すると13.4%です。
つまり,約87%の確率で,適当にマークしても9問中少なくとも1問は正答になります。
この確率は,9問の出題のすべての選択肢において,「これは絶対あり得ない」として選択肢を絞ることもできなかった前提です。
2択にまで絞ることができた問題が1~2問あっただけでも,1問正答できる確率はかなり上がるでしょう。
あり得ない選択肢を,多少切れたとすれば,1問正答できる確率は90%ほどになるでしょう。
1年に一度しかない試験において,運命を任せる確率として90%が高いか低いかは,読者の方みなさまによって違うと思います。
試験直前になると,最悪の10%が頭をよぎると思います。 しかし,それでも多かれ少なかれ,受験者全員が一般知識足切りは数%~数十%のリスクを抱えています。
一般知識の足切りリスクを,0%にして試験日当日臨んでいる人なんていません。
試験日当日は周りを見渡して,みんながみんなリスクを抱えているんだと認識し,焦ることなく,試験に臨みましょう。
ちなみに,私は一般知識の政治・経済・社会と情報通信については何もやっていきませんでした。
政治・経済・社会は,あまりにも学習効率が悪すぎるからです。
※令和3年度は,情報通信2問・個人情報保護1問という内訳でした。
情報通信の問55がサービス問題レベルに簡単(絶対に間違えてはいけないレベル)でしたので,出題範囲が変わったとしても,一般知識範囲内において,ある程度の問題レベル調整をしているのが見て取れる出題でした。
したがって,多少出題バランスが変わっても『情報通信・個人情報保護』から2問正解は抑えたいのは変わらないです。
試験中の時間配分
文章読解は20~24分を用意し,仮に3問に30分かかっても間違えてはいけない
文章理解は20分を目安とし,30分かかってもいい,という時間配分を確保しましょう。(私は,仮に40分かかったとしてもOKと考えていました。)
記述式に対しては,25分は用意する
記述式には,25分は用意して臨みたいです。
記述式は,出題事例の理解→答案の下書き→35~45文字に調整→解答というステップを踏むため,本番の緊張の中で,5分で解答するのは厳しいです。
記述式はどんなに解答の方向性が合っていても,主語を間違えたり,事例の事実関係を読み間違えたりするだけで,最悪20点が消し飛ぶので,慎重に問題文を読む時間を確保したいです。
そのため,無理に記述式を短い時間配分で解こうとするとリスクが高いので,1問あたり8分は確保し,事例の理解に3~4分は確保して臨みましょう。
130分で,54問(記述式と文章理解以外)で解くために…
文章理解と記述式で約50分配分すると,130分で残りの54問を解く必要があります。
1問あたり2.4分なので,平均して1問あたり2分半以内に解答しつつ,マークシート記入をしていく必要があります。
1問あたり2分半で最後まで解き切るには,以下が有効です。
全ての選択肢を読まない
全ての選択肢を読まずに,確実に正答だと断定できる選択肢が出現したら他の選択肢は読まずに解答しましょう。
もちろん,普段の勉強は全ての選択肢の正誤を,正確に判断する勉強を行いますが,本試験では時間が惜しいので,正答の選択肢が出現したら次に進みます。
全ての選択肢を精査することなく,正答を選択するには,かなり正確な理解・記憶・知識が必要になります。
そして,これを行えるレベルの学力を身に着けることが,法令科目の勉強における到達点です。
ところで,行政書士試験あるあるなんですが,法令科目の試験勉強が進んで,知識と自信がついてくると,足切りされないように一般知識の勉強をしなくていいだろうか?と不安が襲ってくるようになります。
実は,法令科目の勉強を進め,全ての選択肢を読まなくても正答できるレベルになることは,記述式のみならず,一般知識の文章理解を落ち着いて解答する時間の確保にも繋がります。
つまり,法令科目の勉強を頑張ることは,間接的に一般知識対策にもなっているのです。
不安な気持ちはわかりますが,正直,一般知識の政治・経済・社会は,絶望的に得点効率が悪いです。(政治・経済・社会に割いた時間が全く持って役に立たなかった,という結果になる確率の方が高いのでは?と,個人的には思っています。)
それならば,法令科目の勉強を全力で頑張り,文章理解を絶対に間違えることのない思考時間を確保できるように準備することの方が,確実に足切り回避に近づくはずです。
不安な気持ちを押し殺して,法令科目の勉強を頑張りましょう。
選択肢は「5」から読む
試験の問題は「1」の選択肢が正当の確率は低い傾向にあります。
1秒でも早く,少しでも早く,正答の選択肢に出会うために,本試験では「5」から読みましょう。
多少の慣れがいるので,模試や過去問対策で「5」から読む癖を身に着けておくとよいでしょう。
本試験の問題を解く順番
これは個人差があると思いますが,私は以下の順序で解答しました。
一般知識→基礎法学→憲法→民法→行政法→商法・会社法→多岐選択式→記述式
この順序にしたのは以下の理由からです。
- 周りの受験生と違う順序で解答することで,周りの受験生がページをめくる音によって焦ることがないため
- 一般知識の文章理解を試験前半で解答することで焦らずに解答できるため
- 下振れ計画法では最悪の場合,記述式の時間が足りなくなることを覚悟しているので,記述式が最後に来る順序であるため
- 一般知識解答後に先頭の基礎法学に戻る,というシンプルな順序であるので,マークズレやミスが起きにくいため
好きな解答順序があると思いますが,自分は上記の順序で成功していたと考えているので,オススメです。
マークシートを塗るタイミング
行政書士試験試験の解答用紙は,一般知識については14問がひとかたまりになっています。 また,法令科目については解答欄が縦に10問並んで,11問目は上に戻ります。
マークシートを塗るタイミングは,解答用紙の構成に沿って,一般知識の14問全ての解答が完了した時と,基礎法学に戻ってからは,10問解答ごとに塗るようにしましょう。
10問ごとにマーク記入すれば,縦1列がきれいに塗れていればマークズレなどを起こしていないことを確認しやすいので,オススメです。
試験直前の過ごし方 -カンニングペーパーを作ろう-
試験直前期(試験3日前~前日)の過ごし方ですが,僕は与えられた時間ギリギリまで何かしらやっていることをオススメする派です。
しかし,試験直前に勉強したところが頭の中でこんがらがってしまって,それがそのまま試験に悪影響を及ぼしかねないリスクもわかります。
そこで,私は試験直前期には,カンニングペーパーを作成することを推奨しています。(もちろん,試験中に見るのは絶対いけませんよ)
カンニングペーパーは,ルーズリーフ2枚まで(表裏×2枚=4ページ)の分量で作成しましょう。(2枚に収まらない量の未暗記知識があるなら不足です)
試験直前期に自分自身で作成するカンニングペーパーには,もし仮にカンニングペーパーを試験に持ち込んでも良いのなら,試験中の自分に伝えてあげたい,自分の忘れやすい欠点や弱点の知識が盛り込まれることになります。
この試験中の自分に伝えてあげたい知識が詰まったカンニングペーパーは,世界にただひとつの,あなたにとって最高の教材です。
また,このカンニングペーパーを作成するにあたって,全範囲を総復習することになるので,直前期の知識の整理も同時にできます。
カンニングペーパーを試験中の自分が現実に見ることはできませんが,試験開始ギリギリまでは見ることができます。
試験開始の直前まで,用意した最高の教材のカンニングペーパーを読んで,最後の最後まで頭の中に少しでも知識を入れる様にしましょう。
極論,試験終了後の5分後には忘れていてもOK,くらいのつもりで最後は頭に詰め込めばいいのです。
試験直前にすることは,とにかくカンニングペーパーに書いてあることの頭の中での整理です。
なぜなら,カンニングペーパーに書いてないことは,カンニングペーパーを作るときに『これは書かなくて大丈夫だ』と判断したのですから,憶えている知識なのですから。
知識の整理,試験開始直前まで使える弱点だけ復習ツール,精神安定剤的なお守りたちを兼ねるカンニングペーパー作戦は,私のイチ押しです。
※注意! 実際の試験中では絶対に使わないように!
ケアレスミスを防ぐために
行政書士試験では,『正しいもの』『誤っているもの』『妥当なもの』『妥当でないもの』はどれか・いくつあるか,という形で大半の問題が出題されます。
本番の緊張の中,問題を解いていると,『正しいもの』と『誤っているもの』のどっちを解答すべきだったか混乱することがあります。
私も,問題を適当に読んで,『正しいもの』を解答する問題で『誤っているもの』を間違えて選んで解答するというのを,模試で1問やらかしたことがあります。
そこで,本番の自分のやった,ケアレスミス対策を以下に書いておきます。
- ①問題文が何を聞いているのか〇か×をつける
- ②問題が何を聞いていても,選択肢の内容が妥当なら〇,妥当でないなら×をつける
- ③マークシートに塗る選択肢番号を問題文の上(又は横)に書く
上記の①~③の手順で解いた,実際の問題用紙を参考に貼っておきます。
①で,問題が何を聞いているのかを間違えて読んでしまうことを防ぎます。
②で,選択肢の内容の正誤を視認しやすいようにマークルールを決めておきます。
③で,マークシートに塗る選択肢番号を問題文の上に書くのは,解答すべき選択肢を絶対に間違えないようにするためです。
上記の方法,特に③を行うのは,『問題文が×の選択肢を答えろ,といっているのに,まとめて塗るときに(×の選択肢を答えるべきなのに)間違って〇をつけた選択肢を解答してしまう』のを防ぐためです。
また,選択肢が目に入りながらマークシートを塗っていくと『あれ?やっぱりこっちが正解かな?』と,余計なことを考えてしまうリスクがあるので,私は問題文の上側だけ見てマークシートを塗りました。
マークシートを塗るときに余計なことを考えると,マークミスする可能性が上がるため,マークするときはマークすることのみに集中しましょう。
万が一,解答の変更や再考査する可能性があるのなら,それは見直しの時にやればいいのです。
試験の前日,どこにいるか
試験の前日ですが,自分の精神状態や会場までの遠近を加味して,自分がどこにいるべきか,早めに決めておきましょう。
私は愛知県で受験したのですが,会場に向かうにはあおなみ線というローカル線を使うしかない場所でした。
試験が中止にはならないが,あおなみ線は運休するような事態(強風・地震・大雨etc)となったら,1年間の努力が不確定要素のせいで水の泡になります。
また,会場への交通手段があおなみ線しか無いのですから,ほぼすべての受験生があおなみ線を使うことが予想できました。
受験生たちのピリピリムードに飲まれたくなかったことと,運休状態になって焦ったりするのが嫌だったので,私は試験会場から少し離れたホテルに前日から宿泊して,予約したタクシーでのんびり試験会場まで向かいました。
前日はいつも通り過ごしたい,家族・恋人がいて人と話していたいなど,人によって過ごし方は違うと思いますが,リラックスして過ごせる場所・方法を早めに決めておくとよいでしょう。
勉強方法
これから行政書士試験の勉強を始める方は,以下の①~③のStepで勉強することをオススメします。
①できるだけ早く憲法,民法,行政法の全範囲を一周する
まずは私がオススメしている書籍たちを,最初から最後まで,とにかくスピードを最優先に一読することを推奨します。
理解は二の次,憶えようとせず,とにかく行政書士試験の全範囲を駆け抜けてください。
最初に行政書士試験の範囲を一周するのは,試験範囲の全体を俯瞰して,次に行う過去問を解く際に吸収することの質と量を向上させることが目的です。
行政書士試験に合格するという目的地に向かうにあたって,試験全体を最初に把握しておくことは,今後の勉強の質を大きく向上させます。
行政書士試験の範囲であれば,可能であれば1か月,長くても2ヶ月で,筆者オススメの書籍たちを一周することを推奨します。
たまに,一番初めに過去問を解いてみることをオススメする方がいますが,個人的に法律についての予備知識が全くない状態で過去問を解いてもサッパリパーになる方が大半ではないかと思います。(少なくとも私はサッパリパーでした)
しかし,早めに過去問に着手することの有効性は,私も認めているので,とにかく理解しなくていいから,全範囲を一周して,試験範囲を見渡すステップを短期間で行うのが良いと考えています。
②過去問を解いてみる
①で全範囲を一周したら,次に過去問を解いてみてください。
ここでの正答率は1ミリも気にしないでください。 下手に気にすると,『こんな難しい問題が解けるようになるんだろうか…?』と,自信を失いかねないからです。
テキストを一周しただけで解けるわけないのですから,解けなくて当たり前です。
ここで過去問を解く目的は,学習達成度や理解度の確認ではありません。
どんな問題が行政書士試験では出題されるのか,どの程度の深度の知識が要求されるのかを,なんとなく把握することが目的です。
③テキスト2周目以降を読み進めながら,過去問と練習問題を反復演習
テキストでのインプットと,過去問・練習問題のアウトプットを,反復横跳びするイメージで両立しながら学習を進めていきましょう。
問題演習は,全ての選択肢が,なぜ正しいのか,なぜ間違いなのか,説明できるようになるまで延々と繰り返していきます。
これを試験日まで行うのが,行政書士試験における勉強です。
基本書,テキストは手を拡げない
基本書やテキストは,下手に新しいものに手を拡げないようにしてください。
新しい書籍を購入しても,それだけでは学力は上がりません。
新しい書籍を購入すると,少なくとも1冊数百ページありますが,新しく数百ページ勉強することが増えます。
持っている書籍の説明などで理解できないときのオススメ勉強法はGoogle検索です。
最近はGoogleのどこかに,かなり詳しい解説が落ちています。 わざわざ別の言い回しの解説を求めて,新しい書籍を買う必要はないと個人的に思います。
可能な限り条文の趣旨に言及する逐条型の解説ブログを,私も運営しているので,よければ勉強のお供に使ってください。
たぶんコレだ!で正解した選択肢や,問題と解答自体を暗記してしまった問題はどうするのか
問題演習をしていると,多分コレだ!と選んだたまたま当たっていた,いわゆる△解答が現れると思います。
まず,△解答は不正解だと考えてください。
△解答が正解扱いになるのは,本試験の日の解答でのみです。
全ての選択肢の正誤判定ができず,その理由が答えられないなら,試験当日も正答の判断に迷うでしょう。
全て下振れ計画では,文章理解(と記述式)に長めの解答時間を確保するために,正解の選択肢に出会った瞬間に,残りの選択肢を読まずに次の問題へ進む学力を身に着けていくことを目標としています。
△解答をする時点で,自信の無い選択肢が1~2個は少なくともあるのですから,それは本番の試験において,正解の選択肢を発見次第,次へ進む能力が無いことを意味するのですから,不正解扱いとしてください。
また,同じ問題を何度も演習していると,問題と正答の選択肢を憶えてしまったがために解答ができる,という状況が訪れます。
その場合でも,その正解の選択肢がなぜ正解なのか,そして他の選択肢がなぜ不正解なのか,説明できるのなら,その問題はクリアです。
出来ないのなら,少し表現を変えられたりしただけで本番に間違える可能性があるので,不正解扱いとしてください。
過去問を使い切ってしまうと,力試し用の問題が無くなって困る?
過去問を解き切ってしまうと,直前期の実力チェックや解答スピード確認用の問題が無くなってしまって困るのではないか?という心配をする方がたまにいらっしゃいます。
そんなの模試でやれ,と回答いたします。
過去問は,直前期の実力チェックのためにあるのではありません。
過去問は,合格に必要な勉強の方向性を確認するために存在します。
勉強する順序
前述のS~Hランクの,試験範囲ごとの対勉強時間コスパランキングは,あくまでの単位時間当たりの効率の順序であって,勉強していく順序とイコールではありません。
勉強する順序は,色々あるのは承知ですが,私は以下をオススメします。
憲法→民法→行政法→個人情報保護法→商法・会社法
よく提唱される民法が最初説を否定するのは,以下の理由からです。
- 三権分立や統治は義務教育で多少なりとも聞き覚えがあるため
- 憲法の表現はかなり抽象的なので,条文拒否反応が出にくいため
- 民法からはじめると序盤の制限行為能力者の壁に打ちのめされるから
憲法は法の頂点に位置し,私たちの生活の根底を律していることもあり,実は義務教育でそれなりに触れています。
そのため,いざ行政書士試験に立ち向かうと決めたスタートにおいて,ぼんやりとでも概念に触れたことがある憲法が相応しいと私は考えています。
三権分立・法の下の平等・表現の自由・プライバシー権・基本的人権の尊重・参政権…などなど,聞き馴染みのある概念たちが多いので,登場する概念を理解しやすいです。
また,憲法の条文も非常に馴染みのある言葉で構成されているので,拒否反応が出にくいため,民法や行政法の固い表現にいきなり触れるよりも良い側面もあります。
一方で,民法は序盤から,制限行為能力者・心裡留保・錯誤などから始まり,無権代理(と相続)・即時取得・債権者代位権・詐害行為取消権など,間髪入れずに難しい&馴染みのない概念たちが初学者を殺しにかかってきます。
私が思うに,民法は,法律に触れる最初の法律としては相応しくないと思っています。
そのため,(行政法から始める物好きは置いといて)民法よりも,憲法からスタートを切ることを強く推奨します。
私が使用した著書たちの紹介でもオススメしていますが,『よくわかる憲法』が非常に優しい表現が用いられて書かれていますので,これから法を学ぶ人は『よくわかる憲法』の通読から始めるのが,精神的負担の面からも良いと思います。
最後に -唯一無二の計画・対策・勉強法なんて存在しない-
以上が,私が4ヶ月の独学で行政書士試験を突破するために計画・対策・勉強法たちでした。
当たり前なんですが,この計画・対策・勉強法が,唯一無二の最善の方法であり,他の方法はクソ!なんてことはありません。
ここまでで述べた方法で絶対にやれ,とも思ってません。
野球を極めたプロ野球選手が,全員が違ったフォームで打ち,練習メニューで練習をし,バラバラの道具を使っているように,計画・対策・勉強法は人によって違うのです。
たとえば,文章理解が安定して満点取れるなら,その人は文章理解を個別に対策する必要はありません。 その逆で,文章理解が安定しないのなら,勉強時間の一部を文章理解対策に割くべきでしょう。
それでも,行政書士試験において,単位勉強時間あたりの得点効率に関して言えば,民法・行政法>商法・会社法であることは,100%間違っていない真理でしょう。
足切りを回避するという観点では,商法・会社法で12点獲得するよりも,文章理解の12点を獲得することの方が,価値が高いことも自明でしょう。
このように『(ほぼ)全員に当てはまる行政書士試験の傾向』をもとに立てた計画・対策・勉強法を,本記事では書かせて頂いたつもりでいます。
本記事を参考に,行政書士試験において絶対に正である事実を抽出し,みなさんでアレンジを加え,オリジナルの計画・対策・勉強法に昇華すれば,合格は大きく近づくはずです。
本記事に書いたことが,皆さまの合格に少しでも資することができたのであれば,この上なく嬉しく思います。
※本記事では4ヶ月独学時に使用した基本書・テキストについては言及できませんでしたので,こちらで詳しく解説しておりますので本記事と併せて是非お読みください。
以上,最後まで読んでいただきありがとうございました!