第1節 債権の目的

【民法406条:選択権は債務者Start!】選択債権とは?わかりやすく解説

2023年7月19日

伊藤かずま

国際行政書士(第21190957号)
宅地建物取引士合格(未登録)
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ウリム

選択債権において,最初に選択権を持っているのが債務者(給付する側)とのことなんですが...

なんででしょうか?

勝手なイメージとして,給付してもらう債権者側が選べる方が自然ではないですか?

本記事は,民法406条の選択債権という概念・選択権が最初は債務者にある理由を,わかりやすく説明しています。

 

本記事を読むことで,以下を達成できるように執筆しています。

  • 選択債権という概念を知ることができる
  • 選択権が最初は債務者側にあることの理由を基礎から理解できる

 

記事の信頼性

本記事は,4ヶ月の独学で試験に一発合格した当ブログの管理人の伊藤かずまが記載しています。
現在は,現役行政書士として法律に携わる仕事をしています。

参考:独学・働きながら・4ヶ月・一発(202点)で行政書士試験に合格した勉強法
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読者さんへの前置き

赤文字は,試験対策として絶対に知っておくべき単語・用語・概念・考え方,その他重要ポイントです
太文字は,解説中で大切なポイントです
※本記事は,2020年4月1日施行の民法改正に対応しています

 

※本ブログでは,記事内容を要約したものを先に【結論】としてまとめ,その後【解説】で詳細に説明をしていますので,読者さまの用途に合わせて柔軟にご利用ください!!

【結論】

民法406条 【選択債権における選択権の帰属】

債権の目的が数個の給付の中から選択によって定まるときは、その選択権は、債務者に属する

 

【選択債権とは?】

選択債権とは、債権の目的(渡す物・行うこと)が、いくつかの選択肢の中から選択権者が選ぶことで決定される債権のことをいいます。

 

【選択権が最初に帰属するのは?】

選択債権において、どの給付にするか選択できるのは、債務者です

 

【選択権が最初に債務者に帰属する理由】

選択権が債務者にあるのは以下の2つの理由からです。

  • ①:いずれの給付か債務者が選ぶことを含めて債権者が了承しているのが選択債権だから
  • ②:債権者が選択して給付するのなら、それは特定物債権だから

 

【解説】

選択債権とは

選択債権とは、債権の目的(渡す物・行うこと)が、いくつかの選択肢の中から選択権者が選ぶことで決定される債権のことをいいます。

たとえば、誕生日プレゼントとして、バッグ・時計・ネックレスの中からいずれかを買ってもらえる、というような債権が選択債権となります。

選択債権の例:誕生日プレゼント編
選択債権の例:誕生日プレゼント編
贈与契約の成立
贈与契約の成立
選択債権の事例
選択債権の事例

 

選択権が債務者に属するとは?

民法406条 【選択債権における選択権の帰属】

債権の目的が数個の給付の中から選択によって定まるとき選択債権は、その選択権は、債務者に属する。
 ↓
選択債権は、その選択権は、債務者に属する

選択債権において、どの給付にするか選択できるのは、債務者です

ここでいう『債務者』とは、給付をする側です。

先ほどの誕生日プレゼントの例では、誕生日プレゼントを渡す側、つまり彼氏側に選択権があります。

選択権は最初は債務者側にある
選択権は最初は債務者側にある

 

なぜ最初は選択権が債務者に帰属するのか?

ウリム

う〜ん…選択肢のどれかが給付されるのなら、それを選べるのって債権者(給付してもらえる)側な方が自然な気がするんですが…?

なんだろう?

選択権が債務者にあるのやめてもらっていいですか?

 

選択権が債務者にあるのは以下の2つの理由からです。

  • ①:いずれの給付か債務者が選ぶことを含めて債権者が了承しているのが選択債権だから
  • ②:債権者が選択して給付するのなら、それは特定物債権だから

 

①:いずれの給付か債務者が選ぶことを含めて債権者が了承しているのが選択債権だから

選択債権というのは「いくつかの候補の中から選ばれた物が給付される」ということ自体を債権者が了承している前提が存在します

誕生日プレゼント事例であれば、彼女さんは貰える候補内での多少の金額差は了解しています。

"その候補の中から債務者(彼氏)が選んでプレゼントしてくれる"という事情をも取り込んで成立しているのが選択債権というものなのです。

 

②:債権者が選択して給付するのなら、それは特定物債権だから

もし仮に、最初から債権者側に選択権があるとします。

もしも選択権が最初から債権者だったら...?

その場合、給付する前に、債権者が選択するというステップが必要となります。

債権者が選択権を行使しないと、債務者側としては選択肢中の何を給付すればよいかわからず、選択債権を給付しようがないからです。

 

給付前に債権者が選択権を行使することで、債権者と債務者との間で給付内容の合意がされたこととなり、それは選択された物、つまり特定物の引渡しを要求する特定物債権となります

債権者が給付前に選択権を行使すると?
債権者が給付前に選択権を行使すると?
債権の内容が確定する!
債権の内容が確定する!
債権の内容が確定し,特定物債権となってしまう
債権の内容が確定し,特定物債権となってしまう

それならば最初から選択債権なんて概念を考える必要は無いことになります

したがって、選択債権というのは、給付を何にするかの選択権を最初は債務者に委ね、”選択肢中のいずれかを給付してくれればいいよ”という幅を持たせてこそ存在価値があるのです。

 

解説はここまでです。 読んで頂きありがとうございました!

ウリム

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※前条の解説はこちらです。

(絶賛準備中です。 もう少々お待ちください!!)

※次条の解説はこちらです。

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