地役権って消滅時効で消滅することあるんだっけ?
本記事は,地役権の消滅時効について,わかりやすく解説しています。
記事の信頼性
本記事は,4ヶ月の独学で試験に一発合格した当ブログ管理人の伊藤かずまが記載しています。
現在は,現役行政書士として法律に携わる仕事をしています。
参考:独学・働きながら・4ヶ月・一発合格(202点)した勉強法
参考:4ヶ月で筆者を合格に導いた超厳選の良書たち
読者さんへの前置き
※赤文字は,行政書士・宅建・公務員試験対策として絶対に知っておくべき単語・用語・概念・考え方です
※太文字は,解説中で大切なポイントです
※本記事は,2020年4月1日施行の民法改正に対応しています
結論:地役権は20年間権利未行使だと消滅時効により権利消失
第166条第2項に規定する消滅時効の期間は、継続的でなく行使される地役権については最後の行使の時から起算し、継続的に行使される地役権についてはその行使を妨げる事実が生じた時から起算する。
民法291条 【地役権の消滅時効】
本条291条が参照している民法166条2項は以下のとおりです。
2 債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から20年間行使しないときは、時効によって消滅する。
民法166条2項 【債権等の消滅時効】
地役権は,“債権又は所有権以外の財産権”であるため,166条2項が適用され,20年間の権利未行使によって,消滅時効が完成します。
これを踏まえ,上記2つの条文をガッチャンコすると,以下のとおりになります。
債権又は所有権以外である地役権は、20年間権利を行使しないと消滅時効が完成するが、その期間は、継続的でなく行使される地役権については最後の行使の時から起算し、継続的に行使される地役権についてはその行使を妨げる事実が生じた時から起算する。
※消滅時効のベースとなる条文,民法166条はこちらで解説しています。併せて確認しておきましょう!
解説:『継続的』の意味
地役権の消滅時効の期間は20年であることは,前述のとおりですが,行使される地役権が“継続的であるかないか”で,起算点が以下のとおり区別されています。
- 継続的でなく行使される地役権の起算点:最後の行使の時
- 継続的に行使される地役権の起算点:行使を妨げる事実が生じた時
継続的に行使される地役権の『継続的』とは,“繰り返し通行している”という意味ではなく,“通路を開設している”という意味です。(試験対策としては,この理解で十分OKです)
つまり,通路を開設している通行地役権ならば,ただ単に通行していないだけでは消滅時効にはかかりません。
では,継続的に行使される(=通路を開設している)地役権が消滅時効にかかるのが,一体どのようなときかと言うと,大地震や洪水などで開設した通路が破壊されて通行不能になったのに,そのまま放置した時などです。
この場合,20年が経過すると,消滅時効で通行地役権が消滅することになります。
継続的でなく行使される地役権は,民法285条の仲間である汲水地役権(必要な時に,承役地の湧水を汲むことができる地役権)が代表例です。
継続的に行使される地役権は,通路を開設した通行地役権が代表的な例となります。
※本条と同様に『継続的』という用語が出てくる民法283条は以下で解説しています。 併せて確認しておきましょう!
※地役権が共有されている場合の消滅時効においての,地役権の不可分性はこちらで解説しています。
参考文献など
この記事は以下の書籍を参考にして執筆しています。 より深く理解したい方は以下の基本書を利用して勉強してみてください。 必要な知識が体系的に整理されている良著なので,とてもオススメです。
行政書士合格を目指す方必見!
筆者が,行政書士試験に,4ヶ月の独学で・仕事をしながら・202点で一発合格したノウハウや勉強法,使用書籍を無料公開しています。
特にノウハウ集は,有料note級の1万2000文字以上の情報量で大変好評なので,是非読んでみてください!
最後まで読んでくださりありがとうございました!