本記事は,なぜ地役権には物権的返還請求権が認められないのかについて解説しています。
- ※赤文字は,行政書士・宅建・公務員試験対策として絶対に知っておくべき単語・用語・概念・考え方です
- ※太文字は,解説中で大切なポイントです
- ※本記事は2020年4月1日施行の民法改正に対応しています
結論:地役権は物を排他的に占有できる権利ではないから
物権には,物権の性質(※①)から導かれる3つの物権的請求権が認められています。
用益物権の地上権・永小作権・地役権にも,物権的請求権は認められていますが,以下のとおり,地役権のみ物権的返還請求権が認められていません。
これは,地役権は,承役地を要役地の便益のために認められた範囲で使用する権利であり,他人の土地を占有することができる権利ではないからです。
※①:物権の性質,物権とは何か?については以下の記事を確認してください。
解説:地役権は,他人の不動産の占有を正当化する権利ではない
地役権とは,他人の土地を,自分の土地の便益のために,認められた用法用量を守ってた正しく使用できる権利です。
地役権の中でも代表的なのは,通行地役権と言われる,要役地への効率的な出入りのために,承役地を通行させてもらう権利です。
地役権は,承役地を自由に使用できる権利ではなく,あくまでも地役権を設定した目的の範囲内で認められた使用ができるに留まります。
通行地役権ならば,通行以外に承役地を使うことはできません。 地役権を根拠に,承役地でゲートボールをしたり,ミニ四駆を走らせたり,BBQをしたり,鬼滅の刃ごっこをしてはいけないのです。
このように,地役権は地上権や永小作権とは違い,承役地を占有することを認めていません。 出来ることは,地役権の目的の範囲内における便益的行動のみです。
したがって,地役権を根拠にして,承役地の占有を正当化することができないため,承役地を不法占有している者に対して,物権的返還請求権を行使して,自分に占有を引き渡すことを請求できません。
つまり,通行地役権者の通行を,不審者が承役地上の道を塞いで通行を妨害していた場合,「ここを立ち去って,承役地を私によこせ」(返還請求権)と,要求することはできません。
「ここを立ち去って,道を空けてもらえますか?」(妨害排除請求権)を行使することはできます。
一方で,土地を使用・収益(占有を正当化)できる地上権及び永小作権は,不法占有者に対し,「この土地は地上権・永小作権を持っている私のものだから,返してもらえるかな?」(物権的返還請求権)と要求することができるのです。
まとめると,以下の通り,地役権のみ物権的返還請求権を持ちません。
参考文献など
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