民法テキストを読んでてもあんまり出てこないけど,民法285条の用水地役権ってどんな地役権なの?
本記事は,民法285条の,用水地役権(引水地役権)とは?について解説しています。
記事の信頼性
本記事は,4ヶ月の独学で試験に一発合格した当ブログの管理人が記載しています。
現在は,現役行政書士として法律に携わる仕事をしています。
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読者さんへの前置き
※赤文字は,試験対策として絶対に知っておくべき単語・用語・概念・考え方,その他重要ポイントです
※太文字は,解説中で大切なポイントです
※本記事は,2020年4月1日施行の民法改正に対応しています
結論:用水地役権とは,他人の土地の水を,自分の土地のために利用できる権利
1 用水地役権の承役地(地役権者以外の者の土地であって、要役地の便益に供されるものをいう。以下同じ。)において、水が要役地及び承役地の需要に比して不足するときは、その各土地の需要に応じて、まずこれを生活用に供し、その残余を他の用途に供するものとする。ただし、設定行為に別段の定めがあるときは、この限りでない。
2 同一の承役地について数個の用水地役権を設定したときは、後の地役権者は、前の地役権者の水の使用を妨げてはならない。
民法285条 【用水地役権】
民法の条文の中で,固有名が唯一つけられているのが用水地役権です。
用水地役権とは,他人の土地の水を,自分の土地のために利用できる権利のことです。
民法285条1項は,要役地の水の供給(湧水・井戸水)が,需要よりも下回る場合は,要役地・承役地の需要割合で生活用水を分け合い,それでもなお余分な水があれば,その残余分を他の用途に使用しても良い,という用水地役権を設定した際の原則を定めました。
ただし書きが存在することから,民法285条1項は,当事者間の設定で別の定めができるため,任意規定とされています。
また,民法285条2項は,同一の承役地に複数の用水地役権を設定することを前提として認めています。
ここでも紛争回避のために,水の利用優先順は用水地役権の設定の先後で決します。
解説:生活に必須である水の紛争を回避するための条文
水は,人間の生命維持に必須であるため,その確保を巡っての紛争に発展しやすいものです。
民法が制定されたころの明治時代は,現代ほど上下水道が整備されていなかったため,生活用水の需要は現代よりも高く,確保することも不安定な世の中でした。
そこで,水が湧き出る要役地と,それを利用する承役地間での利害関係を整理しておかないと,トラブルになりやすいため,紛争が起こらないようにするための調整弁として,民法285条が制定されました。
今現在の日本は,上下水道のインフラ整備が世界トップクラスに進んでいるので,用水地役権を利用する機会はほぼ無いと思います。
蛇口をひねれば,きれいなお水が手に入りますからね。
さて,ここまで解説しておいて恐縮なのですが,民法285条は行政書士試験・宅建試験では,おそらく,出題される可能性はほぼ無いと思います。
なので,「ふぅ~ん,こんな条文もあるんだ」くらいの記憶で良いと思います。
時代の流れ・インフラの整備により,相対的に条文の重要度は低下しておりますが,それでも今現在の民法に残っていますので,本記事で一読はしておいて,以下のポイントだけ,頭の片隅に留めておいてください。
- 民法285条1項は任意規定である
- 民法285条2項により,同一の承役地に,複数の用水地役権を設定できる
解説はここまでです。 読んで頂きありがとうございました!
※前条の解説はこちらです。
※次条の解説はこちらです。
参考文献など
この記事は以下の書籍を参考にして執筆しています。 より深く理解したい方は以下の基本書を利用して勉強してみてください。 必要な知識が体系的に整理されている良著なので,とてもオススメです。
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最後まで読んでくださりありがとうございました。