民法の条文の中には『質権の目的とすることができない』『債権の目的とすることができる』のように,権利の“目的”って表現がたくさん出てきますよね?
この“目的”は,日常用語の“目的”が持つ,目標的なニュアンスとは意味合いが違うと聞きましたが,具体的に,どのような意味なのでしょうか?
本記事は,民法に『権利の”目的”』の様に用いられている,法律用語の”目的”の意味について解説しています。
記事の信頼性
本記事は,4ヶ月の独学で試験に一発合格した当ブログ管理人の伊藤かずまが記載しています。
現在は,現役行政書士として法律に携わる仕事をしています。
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読者さんへの前置き
※赤文字は,行政書士・宅建・公務員試験対策として絶対に知っておくべき単語・用語・概念・考え方です
※太文字は,解説中で大切なポイントです
※本記事は,2020年4月1日施行の民法改正に対応しています
結論:『目的』は,権利で達成したい未来のことではなく,権利の設定先のこと
質権は、譲り渡すことができない物をその目的とすることができない。
民法343条 【質権の目的】
債権は、金銭に見積もることができないものであっても、その目的とすることができる。
民法399条 【債権の目的】
上記の様に,物権・債権の“目的”の,“目的”が意味するものは,物権や債権という権利の“設定先のこと”を意味します。
日常用語の“目的”が意味する,物権・債権の権利を利用して”達成したい目標のこと”ではありません。
以下の,質権を設定して,質権者が担保から確実に債権を回収しようとしているイメージ図で違いをおさえておきましょう。
解説:条文中の全ての『目的』が,法律用語の『目的』というわけではない
ちなみに,条文中に現れる全ての『目的』が,法律用語の『目的』というわけではありません。
日常用語の意味合いの『目的』も,当然用いられており,どちらの意味合いで使用されているのかは,ちゃんと条文を素読して憶えておきましょう。
日常用語の意味で使用されている『目的』の一例は,107条の代理権の濫用の条文に用いられている『目的』です。
代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。
民法107条 【代理権の濫用】
107条で用いられている『代理人が自己又は第三者の利益を図る目的』とは,代理人が達成したい“目標”と指しているため,ここの『目的』は日常用語の『目的』です。
参考文献など
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