一身専属権とはなに? 具体的にはどんなもの?
テキストだと生活保護を受ける権利との関係について触れられていた気がするけど…。
本記事は,一身専属権の定義と,一身専属権と生活保護を受ける権利と相続の関係性について解説しています。
記事の信頼性
本記事は,4ヶ月の独学で試験に一発合格した当ブログの管理人が記載しています。
現在は,現役行政書士として法律に携わる仕事をしています。
参考:独学・働きながら・4ヶ月・一発(202点)で行政書士試験に合格した勉強法
参考:筆者を4ヶ月で合格に導いた超厳選の良書たち
読者さんへの前置き
※赤文字は,試験対策として絶対に知っておくべき単語・用語・概念・考え方,その他重要ポイントです
※太文字は,解説中で大切なポイントです
※本記事は,2020年4月1日施行の民法改正に対応しています
結論:一身専属権は,あなただけに認められた権利
一身専属権とは,その人にのみ認められる権利で,他人への譲渡が認められない権利のことです。
つまり,“あなただけの特別な権利“です。 したがって,一身専属権は譲渡ができず,相続によって他人に渡ることもありません。
他人に渡ることがない権利なのですから,差押えをすることもできません。
解説:生活保護を受ける権利は,一身専属権
一身専属権は,主に身分などが関連する権利が多いです。
例えば,年金を受給する権利がそうですし,行政書士・宅建士などの保有資格も一身専属権です。
行政書士・宅建士は,難しい資格試験に合格した者に認められる立場であるため,その立場を他人に渡すことが出来てしまうのなら,資格試験の意味がなくなってしまいます。
どの権利が一身専属権なのか,いちいち暗記する必要はありません。
”この権利って,他人に譲渡されたらおかしいよね?”という感覚で,勉強の中で判断していけばOKです。
ただ,世の中にはたくさんの権利がありますから,「これって一身専属権なの?」という判断の難しい権利もあります。
ここからは,主に行政書士試験対策となりますが,“生活保護を受ける権利=生活保護受給権”が一身専属権なのか,そうでないのかが争われたことがあります。
結論から言うと,生活保護を受ける権利は一身専属権です。
したがって,生活保護受給者が死亡した場合,生活保護を受ける権利は相続で被相続人に引き継がれません。
生活保護を受ける権利が一身専属権であることは,最高裁が最大判昭42.5.24にて認めています。
生活保護法の規定に基づき要保護者または被保護者が国から生活保護を受けるのは、単なる国の恩恵ないし社会政策の実施に伴う反射的利益ではなく、法的権利であつて、保護受給権とも称すべきものと解すべきである。しかし、この権利は、被保護者自身の最低限度の生活を維持するために当該個人に与えられた一身専属の権利であつて、他にこれを譲渡し得ないし、相続の対象ともなり得ないというべきである。
最大判昭42.5.24
当該判例は,憲法・民法・行政法に渡る重要判例ですので,行政書士を受験する方は,必ず以下の点を押さえておきましょう。
- 生活保護を受ける権利は,国策の反射的利益ではなく,法的権利であること
- 生活保護を受ける権利は,被保護者の最低限度の生活を維持するための一身専属権であること
※”権利”とたくさん言及していますが,本記事の権利は”債権”です。 債権についてあやふやな方は,以下の記事を参考にしてみてください。 物権と債権の横断理解ができます。
※最大判昭42.5.24の”反射的利益”については,以下の記事で解説していますので,併せて確認しておきましょう。
参考文献など
この記事は以下の書籍を参考にして執筆しています。 より深く理解したい方は以下の基本書を利用して勉強してみてください。 必要な知識が体系的に整理されている良著なので,とてもオススメです。
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