本記事は,民法287条の,承役地の所有権放棄による,民法286条の義務からの解放について解説しています。
記事の信頼性
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現在は,現役行政書士として法律に携わる仕事をしています。
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読者さんへの前置き
※赤文字は,試験対策として絶対に知っておくべき単語・用語・概念・考え方,その他重要ポイントです
※太文字は,解説中で大切なポイントです
※本記事は,2020年4月1日施行の民法改正に対応しています
結論:本条の趣旨は,『工作物設置・修繕する義務からの解放手段の確保』
承役地の所有者は、いつでも、地役権に必要な土地の部分の所有権を放棄して地役権者に移転し、これにより前条の義務を免れることができる。
民法287条
設定行為又は設定後の契約により、承役地の所有者が自己の費用で地役権の行使のために工作物を設け、又はその修繕をする義務を負担したときは、承役地の所有者の特定承継人も、その義務を負担する。
民法286条 【承役地の所有者の工作物の設置義務等】
『前条の義務』とは,承役地所有者が負担する,工作物を設置・修繕する義務のことです。
包括承継,特定承継のいずれの場合でも,承継人は,当該義務から逃れることができません。(民法286条)
※前条の286条については,こちらの記事で解説していますので,併せてご確認ください。
隣人のために義務を負うことをわずらわしく思う承継人も,一定数存在します。
しかし,要役地の所有者のOKが無ければ,原則として,隣人のために負う義務を消滅させることはできません。
そこで,民法287条は,原則の例外として,義務から解放される手段を用意しています。
その方法が,本条規定の,地役権に必要な土地の一部分の所有権を放棄し,地役権者に移転することです。
解説:移転した部分の地役権はどうなる?
民法287条に沿って,地役権に必要な土地の一部分の所有権を放棄し,地役権者に移転した場合に,当該移転した部分に存在していた地役権はどうなるのでしょうか?
原則として,混同によって消滅することになります。
1 同一物について所有権及び他の物権が同1人に帰属したときは、当該他の物権は、消滅する。ただし、その物又は当該他の物権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。
2 所有権以外の物権及びこれを目的とする他の権利が同1人に帰属したときは、当該他の権利は、消滅する。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
3 前二項の規定は、占有権については、適用しない。
民法179条 【混同】
解説はここまでです。 読んで頂きありがとうございました!
※前条の解説はこちらです。
※次条の解説はこちらです。
参考文献など
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最後まで読んでくださりありがとうございました!