第6章 地役権

民法284条:地役権の時効取得における,共有者の更新・完成猶予の関係をわかりやすく解説

2022年6月8日

伊藤かずま

国際行政書士(第21190957号)
宅地建物取引士合格(未登録)
国際結婚/在留VISA/永住者/定住者/帰化は,是非お気軽にウィステリア国際行政書士事務所までご連絡ください。

事務所HPはこちら

初学者&独学&4ヶ月&一発合格(202点)で行政書士試験に合格しました。
読者さまからのコメントにあった『本当の意味での初学者にとっての解説書』を完成させるべく,本サイトを運営中。

ウリム

地役権の時効取得について,共有者の更新や完成猶予の効果って他の人に及ぶんだっけ…? なんか,条文に書いてあったような…? なんだっけ?

本記事は,以上のような,あやふやになりやすい地役権の時効取得における,共有者間での時効の更新や完成猶予の関係をわかりやすく解説しています。

 

記事の信頼性

本記事は,4ヶ月の独学で試験に一発合格した当ブログ管理人の伊藤かずまが記載しています。
現在は,現役行政書士として法律に携わる仕事をしています。

参考:独学・働きながら・4ヶ月・一発合格(202点)した勉強法
参考:4ヶ月で筆者を合格に導いた超厳選の良書たち

 

読者さんへの前置き

赤文字は,行政書士・宅建・公務員試験対策として絶対に知っておくべき単語・用語・概念・考え方です
太文字は,解説中で大切なポイントです
※本記事は,2020年4月1日施行の民法改正に対応しています

 

結論:地役権の“スタンス②民法は,地役権を存続させようとする”がポイント

1 土地の共有者の1人が時効によって地役権を取得したときは、他の共有者も、これを取得する

2 共有者に対する時効の更新は、地役権を行使する各共有者に対してしなければ、その効力を生じない

3 地役権を行使する共有者が数人ある場合には、その1人について時効の完成猶予の事由があっても、時効は、各共有者のために進行する

民法284条

条文を,バッキバキにかみ砕くと,以下のとおりです。

  • 1項:共有者の誰かひとりでも時効完成で,全員が地役権GET!
  • 2項:誰かひとりに時効の更新があっても,他の人は止まらない
  • 3項:誰かひとりに時効の完成猶予があっても,他の人は止まらない

 

地役権は,土地の利用価値を向上させ,それが日本経済の発展に資するため,民法は,地役権が可能な限り成立しやすく,そして,存続するように制度設計をしています

したがって,共有者間で誰かひとりでも時効完成すれば,全員地役権をGETできますし,更新・完成猶予が誰かに発生しても,他の人の進行は止まりません。

 

※本記事は,以下の記事を読んでいることを前提に記載している部分があります。 併せてご確認ください。

※地役権の取得時効の要件については,こちらをご確認ください。

 

解説:ポイントは“誰かひとりでも達成すればOK”で考える

各条項ずつ,図でイメージしながら,記憶に定着させていきましょう。

下図のように,地役権の取得時効完成にむけて,共有者たちが突き進んでいるイメージをしてください。

取得時効・共有者の概要図

この図の状況をベースとして,各条項を解説していきます。

 

1項:共有者の誰かひとりでも時効完成で,全員地役権GET!

民法284条1項は,共有者の内で,“誰かひとりでも”時効完成まで辿り着くことができたのなら,共有者全員に地役権の時効取得を認めます

その理由は,地役権は,不便な土地の利用価値を向上させ,それが日本経済の発展に資するため,民法は,地役権が可能な限り成立しやすく,そして,存続するように制度設計をしているためです。

したがって,誰かひとりでも時効完成を達成すればOKにしておき,より地役権の時効取得が達成しやすいようにしているのです。

 

2項:誰かひとりに時効の更新があっても,他の人は止まらない

時効の進行をゼロに戻し,リセットする更新は,全員に対してしなければいけません

これも,地役権の取得時効の完成を目指す共有者側に有利なルールです。

 

理由は同じく,地役権をより成立しやすいものにするためです。

すなわち,他の共有者たちが,時効の更新効果により倒されても,自分の時効進行が更新されていないのなら,取得時効は進行し続けます

 

3項:誰かひとりに時効の完成猶予があっても,他の人は止まらない

では時効の完成猶予の場合はどうなっているのかと言うと,前項と同じく,他の共有者に時効の完成猶予効果が発生しても,他の人の時効進行は影響を受けず,進行し続けます

理由は,前述と同じく,地役権の取得時効の完成を容易にするためです。

 

民法284条と民法292条の総まとめ

共有者間における,地役権の取得時効(民法284条)と,消滅時効(民法292条)のポイントを総まとめします。

結局,取得時効・消滅時効の双方とも,『”誰かひとり”にでも完成猶予・更新が発生すれば,全員がその恩恵を受けることができる』です。

 

民法292条の記事を併せて確認し,頭の中を整理しておきましょう!

 

解説はここまでです。 読んで頂きありがとうございました!

※前条の解説はこちらです。

※次条の解説はこちらです。

参考文献など

この記事は以下の書籍を参考にして執筆しています。 より深く理解したい方は以下の基本書を利用して勉強してみてください。 必要な知識が体系的に整理されている良著なので,とてもオススメです。

行政書士合格を目指す方必見!

筆者が,行政書士試験に,4ヶ月の独学で・仕事をしながら・202点で一発合格したノウハウや勉強法,使用書籍を無料公開しています。

特にノウハウ集は,有料note級の1万2000文字以上の情報量で大変好評なので,是非読んでみてください!

最後まで読んでくださりありがとうございました!

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

伊藤かずま

国際行政書士(第21190957号)
宅地建物取引士合格(未登録)
国際結婚/在留VISA/永住者/定住者/帰化は,是非お気軽にウィステリア国際行政書士事務所までご連絡ください。

事務所HPはこちら

初学者&独学&4ヶ月&一発合格(202点)で行政書士試験に合格しました。
読者さまからのコメントにあった『本当の意味での初学者にとっての解説書』を完成させるべく,本サイトを運営中。

-第6章 地役権
-, , , ,