地役権って,地上権と名前似てるけど,どんな権利なの?
本記事は,地役権の基礎と,地役権を理解するためのポイント2つを解説しています。
記事の信頼性
本記事は,4ヶ月の独学で試験に一発合格した当ブログ管理人の伊藤かずまが記載しています。
現在は,現役行政書士として法律に携わる仕事をしています。
参考:独学・働きながら・4ヶ月・一発合格(202点)した勉強法
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読者さんへの前置き
※赤文字は,行政書士・宅建・公務員試験対策として絶対に知っておくべき単語・用語・概念・考え方です
※太文字は,解説中で大切なポイントです
※本記事は,2020年4月1日施行の民法改正に対応しています
結論:地役権は,要役地のために,承役地上の負担のもとに成立する権利
地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有する。ただし、第3章第1節(所有権の限界)の規定(公の秩序に関するものに限る。)に違反しないものでなければならない。
民法280条 【地役権の内容】
地役権とは,一定の目的で,他人の土地を使用できる権利です。
地役権は,以下の2つのスタンスが存在します。
【地役権の2つのスタンス】
- スタンス①:地役権は,要役地の利用価値向上のため,承役地の負担の上に,土地全体の上に存在する権利である
- スタンス②:民法は,地役権を可能な限り存続させようとする
※用益物権について勉強する際は,こちらの記事を読んでから勉強してみてください。 用益物権のバックグラウンドを解説しています。
解説:地役権を理解するポイントは,地役権のスタンス2つを知る
地役権は,“要役地の利便性向上の目的のために”,設定した利用方法の範囲で,承役地を使用できる権利です。
地役権には,大きなスタンス(権利の方向性)が2つ存在します。
【地役権の2つのスタンス】
- スタンス①:地役権は,要役地の利用価値向上のため,承役地の負担の上に,土地全体の上に存在する権利である
- スタンス②:民法は,地役権を可能な限り存続させようとする
地役権の不可分性や,共有と時効の関係などは,上記のスタンス①と②を理解するだけで,見通しが大変良くなりますので,この記事で押さえておきましょう。
スタンス①:地役権は,要役地の利用価値向上のため,承役地の負担の上に,土地全体の上に存在する権利である
用益物権に属する地上権・永小作権・地役権たちは,各用益物権を持つ権利者たちが,他人の土地を利用できる,という点は同じです。
地上権者・永小作権者は,特にこのような理解でOKです。
ただ,地役権だけは,“地役権者(権利者)が他人の土地を利用できる”という側面に加えて,“要役地と承役地が結びつき,承役地の負担の上に,地役権が成立している”という側面があります。
地役権者は,承役地を設定目的の中で,承役地を自由に使えるという側面は,他の用益物権と同じように存在します。
それに加えて,”各土地の所有者という人と人でなく,要役地と承役地という土地同士も密接に連携し合っている”という側面も,地役権は有するのです。
地役権という権利が,要役地と承役地の結びつきの上に存在しているというのは,要役地の所有権とは別に地役権のみ譲渡できない(民法281条2項)や,共有地役権者の一人が自身の持分として地役権を処分できない(民法282条)という性質に繋がっていきます。
スタンス②:民法は,地役権を可能な限り存続させようとする
民法は,用益物権の,土地の価値を向上し,日本経済の発展を促進する側面を,高く評価しています。
※上記の用益物権の側面については,こちらで解説しています。 用益物権の理解を大きく助ける知識を解説していますので,是非目を通してみてください。
よって,民法は地役権を厚く保護しており,出来るだけ地役権が成立するように,かつ,成立している地役権が存続するように,という方向性で条文を規定しています。
これは,共有者のうち,誰かひとりでも時効完成で,地役権の取得時効効果が共有者全員に認められる(民法284条1項)などのルールに繋がります。
細かいルールは各条文の記事で解説
地役権の細かいルールたちは,各記事で解説します。
(※2022年6月 民法『第6章 地役権』の全ての条文の記事を公開完了しました! 本記事最後の次条リンクから是非確認してみてください!)
地役権の各ルールは,この記事で記載した“2つのスタンス”を基にして構築されています。
もし,(試験中などに)分からなくなり,こんがらがってしまったら,必ず2つのスタンスに立ち返ってみましょう。
【地役権の2つのスタンス】
- スタンス①:地役権は,要役地の利用価値向上のため,承役地の負担の上に,土地全体の上に存在する権利である
- スタンス②:民法は,地役権を可能な限り存続させようとする
解説はここまでです。 読んで頂きありがとうございました!
※次条の解説はこちらです。
参考文献など
この記事は以下の書籍を参考にして執筆しています。 より深く理解したい方は以下の基本書を利用して勉強してみてください。 必要な知識が体系的に整理されている良著なので,とてもオススメです。
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最後まで読んでくださりありがとうございました!