第3節 代理

民法104条:任意代理人による復代理人の選任【原則,復代理人NG!】

2021年11月30日

伊藤かずま

【告知】夏コミC104出展します!

国際行政書士(第21190957号)
宅地建物取引士合格(未登録)
事務所HPはこちら

初学者&独学&4ヶ月&一発合格(202点)で行政書士試験に合格しました。
読者さまからのコメントにあった『本当の意味での初学者にとっての解説書』を完成させるべく,本サイトを運営中。

今回は民法104条を3分でわかりやすく解説します。

※当シリーズは条文が持つ効力を個性として捉えた表現で解説しています
赤文字は,試験対策として絶対に知っておくべき単語・用語です
太文字は,解説中で大切なポイントです

委任による代理人は、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復代理人を選任することができない

民法 第104条【任意代理人による復代理人の選任】

 

条文の性格

代理は,法律効果を本人が受けるにも関わらず,その法律効果を発生させる法律行為を他人である代理人に委ね任せるものです。

そのため代理制度は,本人の代理人に対する信頼を基礎として成立しています。

知人に購入代金を預けて車の代理購入をお願いするようなときには,「Aはたまに借りパクしたりするから信用できないなぁ」「Bは信用できるけど車には興味ないって言ってたな」「Cは車に詳しいし,絶対にお金も持ち逃げしないだろう。 よしCにお願いしよう!」というように誰を代理人にするかについて『信用・信頼』を基準にして代理人を選ぶケースが多いでしょう。

特に,本人自身が代理人を選んでいる任意代理人においては,法定代理人と比較して,より一層本人と代理人との間を繋ぎとめるのは信頼関係です。

そのため,民法104条は,任意代理人には原則自分自身で代理を遂行することを要求します。

任意代理人は本人の信頼のもとで選任されているのですから,代理を引き受けた以上,最後まで自分で代理を行うべきだからです。 (前述の車の代理購入において,Cはその知識と人柄を評価されて代理人に選ばれているのですから,勝手に代理人の立場をAに譲るなどはできないのです。)

しかしながら,この任意代理人が最後まで代理を完遂するべきだという姿勢を常に貫くとそれはそれで委託者本人にとっても望ましくない状況が有り得ます。

前述の車の代理購入を任されたCが交通事故に遭ってしまった結果,全治半年の半年間は病院のベッドから動けない状況になってしまった場合,委託者が早く車を欲しいと願っているけれども,Cは常に他の代わりの代理人を選ぶこともできないとなると,回復を待つしかなくなります。

これは委託者にとって酷ですし,Cとしても自分自身で代理を任せてくれた委託者の期待に応える手段が無いのも望ましくありません。

そのため,民法104条は代理人が代理を完遂することを原則としつつも,本人のOKがある時か,やむを得ない理由があるときであれば復代理人という新たな代理人を選定することを認めました

筆者は,民法104条は理想の上司像に近いなって思っています。

いつもは「任された代理はちゃんとやりきるんだぞ!」と厳しいのに,やむを得ない事態に陥ったら「たまには人に頼っていいんだぞ?」という優しい一面を持つからです。

 

条文の能力

前提:任意代理人は原則として最後まで自分自身で代理を行う

上で述べた通り,任意代理人はその人のスキル・知識・経験・人柄などを信頼されて選任されているので,代理人の立場を他人に譲るなどすることは,委託者の信頼を裏切ることになり,勝手にできません

 

例外:本人の許諾を得ている又はやむを得ない事由があるなら復代理人を認める

上記の,任意代理人の自身での代理完遂の原則は『委託者の信頼』によって導かれるものでした。

それであるならば,委託者の信頼の保護よりも優先すべき状況が存在するならば,例外を認めても良いはずです。

そこで,104条は次の2つ例外を認めました。

  1. 本人の許諾がある
  2. やむを得ない事由がある

 

①本人の許諾がある

代理を委託した当の本人が「別の代理人を選任する?君が連れてきた人なら大丈夫だろうしええよ。」と言っているのなら,『委託者の信頼』の保護要請度は下がるため,任意代理人は復代理人を選任することができます。

 

②やむを得ない事由がある

復代理人を選任しないといけないようなやむを得ない事由がある場合も,復代理人の選任が認められます

(※以下の要件1.~3.は,行政書士試験レベルでは暗記しなくてよいと思います)

どのような状況が「やむを得ない事由がある」になるかというと,以下の①~③を全て満たす場合と言われています。

  1. 代理人自身が代理行為をすることに支障が存在すること
  2. 復代理人を選任しなければ本人の利益が害されること
  3. 本人の許諾を得るのを待てない状況にあること

上記の要件が全て満たされるのであれば,『委託者の信頼』を保護するには,実質的に復代理人の選任しかないため,例外が許容されると解されます。

 

コメント

今回は任意代理人による復代理人の選任要件の解説でした。

法定代理人による復代理人の選任要件については105条が定めています。

ところで102条で,代理人が制限行為能力者だったときに,制限行為能力者であることを理由とする取消可否も,任意代理人か法定代理人かで結論が異なりましたね。

代理制度において,任意代理と法定代理によって結論が異なる場合の理由は大体以下のどれかから導かれますので,頭の片隅に入れておきましょう。

・任意代理は,委託者と任意代理人間の信頼で成り立っていること

・法定代理人は,本人の意思とは別に法律などによって勝手に選任されているため,代理人の質については担保されていないこと

 

最後まで読んでくださりありがとうございました。

※代理の基礎については,こちらで解説しています。

解説はここまでです。 読んで頂きありがとうございました!

※前条の解説はこちらです。

※次条の解説はこちらです。

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

伊藤かずま

【告知】夏コミC104出展します!

国際行政書士(第21190957号)
宅地建物取引士合格(未登録)
事務所HPはこちら

初学者&独学&4ヶ月&一発合格(202点)で行政書士試験に合格しました。
読者さまからのコメントにあった『本当の意味での初学者にとっての解説書』を完成させるべく,本サイトを運営中。

-第3節 代理
-,