本記事は,無権代理が発生したときに,本人ができることをわかりやすくまとめています。
※赤文字は,試験対策として絶対に知っておくべき単語・用語・概念・考え方です
※太文字は,解説中で大切なポイントです
※本記事は2020年4月1日施行の民法改正に対応しています
まとめ
無権代理が発生したとき,本人は①放置するか②追認するか,好きな方を選べばよい。
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解説
無権代理とは,代理権も無いのに代理行為をしてしまった状況のことを言います。
無権代理の何が問題なのかと言うと,勝手に代理行為をされた本人・勝手に代理行為した無権代理人・相手方の3者の間で,無権代理の効果をどうすればよいのか宙ぶらりんな状態となってしまうことです。
そんな状態になった場合,本人としては何ができるのかですが,本人は①放置か②追認の好きな方を選べばOKです。
その根拠は民法113条1項です。
代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は,本人がその追認をしなければ,本人に対してその効力を生じない。
民法113条1項
これを噛み砕きつつ,追認の部分を消すことによって大原則が見えてきます。
無権代理契約は
,本人がその追認をしなければ,本人に対してその効力を生じない。
つまり,無権代理契約は,本人が何もしなければ,本人がデメリットを負うことはありません。
本人は(表見代理が成立しない限り)完全に巻き込まれた被害者なのですから,「無権代理?めんどくせーな」と思ったのなら①放置しておけばOKです。
さて,ここで上記の条文において,取り消し線で消した部分を復活させると,以下の通りになります。
無権代理契約は,本人がその追認をしなければ,本人に対してその効力を生じない。
これは,言い換えれば以下のとおりになります。
無権代理契約は,本人がその追認をしたなら,本人に対して効力を生じる(有効な代理とする)。
つまり,②追認したのなら,無権代理は本人に効力が及ぶ=有効な代理とする,ということです。
本人としては「あれ?この無権代理契約って結構いい内容じゃね?」と思ったのなら,②追認して良いとこ取りしてしまってもよいわけです。
以上をまとめると,無権代理が発生したときは,本人は①放置又は②追認すればよいということが導けました。
最後まで読んでくださりありがとうございました。