第1款 所有権の内容及び範囲

民法207条:土地の所有権が上下に及ぶことと,ドローン飛行との関係

2022年5月14日

伊藤かずま

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国際行政書士(第21190957号)
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ウリム

民法207条は,土地の所有権が土地の上空・地下に及ぶことを定めていることは,条文を読めばわかります。

最近流行っているドローンはどうなるの? 他人の土地の上空を飛行させると所有権侵害になるの? そうなると公道の上空しかドローンは飛ばせないの?

本記事は,民法207条の内容と,それに関連するドローン飛行との関係について解説しています。

 

記事の信頼性

本記事は,4ヶ月の独学で試験に一発合格した当ブログの管理人が記載しています。
現在は,現役行政書士として法律に携わる仕事をしています。

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読者さんへの前置き

赤文字は,試験対策として絶対に知っておくべき単語・用語・概念・考え方,その他重要ポイントです
太文字は,解説中で大切なポイントです
※本記事は,2020年4月1日施行の民法改正に対応しています

 

結論:政府より,公式見解が発表されている

土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ

民法207条 【土地所有権の範囲】

土地所有権が,その土地の上空にも及ぶ点と,ドローン飛行の可否は,政府により“その土地所有権の利益の存する限度の外ならば飛行可能”と,公式見解が出されています。

令和3年6月28日に内閣官房小型無人機等対策推進室により発表された公式見解は以下のとおりです。

民法においては、「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ。」(第 207 条)と規定されているが、その所有権が及ぶ土地上の空間の範囲は、一般に、当該土地を所有する者の「利益の存する限度」とされている

このため、第三者の土地の上空において無人航空機を飛行させるに当たって、常に土地所有者の同意を得る必要がある訳ではないものと解される。

この場合の土地所有者の「利益の存する限度」の具体的範囲については、一律に設定することは困難であり、当該土地上の建築物や工作物の設置状況など具体的な使用態様に照らして、事案ごとに判断されることになる。

引用元:無人航空機の飛行と土地所有権の関係について

リンクも貼っておきます。(無人航空機の飛行と土地所有権の関係について

 

解説:土地の所有権は,上空・地下にも及ぶ

民法207条の言っていること自体は非常に簡単と思います。

土地を所有していれば,その地表面だけでなく,その土地の空高く・地下深くまで,所有権効果が及ぶ,と規定しています。

従来は,地下鉄を通す場合に,土地所有権の地下効力との衝突が話題になりました。

地下鉄のような公共性の高いライフラインは,その需要や経済的効果から,民法以外の法律で民法207条の効力を調整することで建築を可能としています。

 

令和に入り,日々の技術の進歩により,今度は民法207条とドローン飛行とが衝突することになりました

土地所有権は,その上空にも効力が及ぶことから,ドローン飛行を他人の土地の上空でした場合,所有権の侵害に該当するのではないか?ということです。

たしかに,民法207条を文字どおり読めば,他人の土地の上空でのドローン飛行は不法行為となりそうです。

また,2022年5月現在では,ドローンは地下鉄と同等のライフラインを構築しているかと言われれば,疑問なところです。

 

ただ,現在のITの技術の進歩はめざましく,時期にドローンによって,生活になくてはならないサービスが展開される日も来るかもしれません。

そこで,政府は以下のとおり,民法207条とドローン飛行との関係について,以下のとおりに公式見解を出しています。

民法においては、「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ。」(第 207 条)と規定されているが、その所有権が及ぶ土地上の空間の範囲は、一般に、当該土地を所有する者の「利益の存する限度」とされている

このため、第三者の土地の上空において無人航空機を飛行させるに当たって、常に土地所有者の同意を得る必要がある訳ではないものと解される。

この場合の土地所有者の「利益の存する限度」の具体的範囲については、一律に設定することは困難であり、当該土地上の建築物や工作物の設置状況など具体的な使用態様に照らして、事案ごとに判断されることになる。

引用元:無人航空機の飛行と土地所有権の関係について

つまり,土地所有権の持つ利益を侵害しない高さなら,飛行してOK”ということです。

どの高さから利益侵害となるかは,ケースバイケースということです。

今回は,条文の概念自体が非常に簡単なものでしたので,ドローンという時事ネタとの関係で解説させて頂きました。

 

解説はここまでです。 読んで頂きありがとうございました!

 

※前条の解説はこちらです。

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※次条の解説はこちらです。

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参考文献など

この記事は以下の書籍を参考にして執筆しています。 より深く理解したい方は以下の基本書を利用して勉強してみてください。 必要な知識が体系的に整理されている良著なので,とてもオススメです。

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最後まで読んでくださりありがとうございました!

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