第3節 行為能力

民法の同意権とは?誰が何をできる権利なのか?代理権との違いも解説

2022年4月30日

伊藤かずま

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国際行政書士(第21190957号)
宅地建物取引士合格(未登録)
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初学者&独学&4ヶ月&一発合格(202点)で行政書士試験に合格しました。
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ウリム

民法の制限行為能力者分野で『同意権』ってありますよね?

いきなり“後見人には同意権がない”とか言われても,よくわからないんですけど…。

同意権って,誰が何をできる権利なの? 代理権と何がちがうの?

本記事は,以上のような疑問に対して解説をしています。

 

記事の信頼性

本記事は,4ヶ月の独学で試験に一発合格した当ブログ管理人の伊藤かずまが記載しています。
現在は,現役行政書士として法律に携わる仕事をしています。

参考:独学・働きながら・4ヶ月・一発(202点)で行政書士試験に合格した勉強法
参考:筆者を4ヶ月で合格に導いた超厳選の良書たち

 

読者さんへの前置き

赤文字は,試験対策として絶対に知っておくべき単語・用語・概念・考え方,その他重要ポイントです
太文字は,解説中で大切なポイントです
※本記事は,2020年4月1日施行の民法改正に対応しています

 

結論:同意権と代理権は似ているけど,不完全な法律行為を完全化する効果としては同じ

同意権とは,保護者が,制限行為能力者が行った法律行為に同意することで,当該法律行為を完全なものとすることができる保護者の持つ権限です。(保護者=親権者・後見人・保佐人・補助人)

一方の代理権とは,保護者が,制限行為能力者の代わりに法律行為を行う権限のことです。

 

解説:『保護者のサインを貰ってきてください』をイメージしましょう

制限行為能力者は,行為能力を失っている行為については,ひとりでは不完全な法律行為しかできません

“不完全な法律行為”とは,制限行為能力者が取り消すことができる法律行為という意味です。

 

制限行為能力者の法律行為の相手方からすると,不完全な法律行為は避けたいものです。

なぜなら,相手方からすると,成立したと思っていた契約(法律行為)が,いつ取り消されるかわからないためです。

 

しかし,制限行為能力者との間での契約(法律行為)でも,当人たちが完全な法律行為を結びたい場面は存在します。

 

たとえば,制限行為能力者である未成年者の高校生がアルバイトをしたいときに,アルバイト先と結ぶ雇用契約などです。

アルバイト先からすると,採用したと思っていたのに,いきなり未成年者を理由に,雇用契約を取り消されるリスクは避けたいでしょう。

一方の,高校生側も,面接応募をしているのですから,雇用契約を取り消すつもりは全くなく,しっかりと有効な契約を結ぶことでアルバイト先を安心させ,憧れのバイト生活を送りたいはずです。

(『絶対急にやめたりしないから,憧れのスタバでアルバイトしたい!』と思っている,高校生をイメージしてみてください。)

 

しかしながら,制限行為能力者である未成年者は,自分ひとりでは完全な契約ができないのです。

制限行為能力者が行為能力を持たない法律行為(契約)は,必ず,取消しが可能という,不完全な契約をすることになるのです。

 

そこで活躍する権利のひとつが,保護者が持つ代理権です。

代理権は,保護者が制限行為能力者の代わりに,完全な法律行為を行うことができる権限のことです。

上記のアルバイトの例で言えば,アルバイト先に保護者が出向いて,保護者が高校生の代わりに,アルバイト先と雇用契約を代理で結ぶイメージです。

 

ところが,代理権にも不便な側面があります。

それは,代理権は,制限行為能力者の代わりに,“保護者が”法律行為を行う必要がある点です。

アルバイト先が遠方地だったり,保護者が日中仕事でアルバイト先の営業時間中に訪問できないこともあるはずです。

保護者が代理権しか持たないとするなら,保護者は,未成年者が法律行為をする度に,代理として,色々なところに出向かなければならないのです。

 

いくらなんでも,それはダルすぎますよね。

ここで活躍するのが,保護者が持つ,もうひとつの権利である同意権です。

 

同意権とは,あくまでも法律行為を行うのは制限行為能力者であるが,その法律行為に保護者が同意をしているのなら,当該法律行為は完全な(取消しできない)ものとすることができる権限です。

上記の事例のアルバイト先と雇用契約を結ぶ場合や,高価なスマートフォンを購入する際に,『保護者の方からサインをもらって来てください』と同意書へのサインを要求された経験がある読者の方も多いのではないでしょうか?

この同意書が,保護者に同意権を行使させ,その同意権の行使の証明するものです。

保護者の同意を確認することで,アルバイト先などは,雇用契約を結んだ当事者が,未成年であることを理由に雇用契約を取り消されないようにしているのです。

 

参考文献など

この記事は以下の書籍を参考にして執筆しています。 より深く理解したい方は以下の基本書を利用して勉強してみてください。 必要な知識が体系的に整理されている良著なので,とてもオススメです。

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最後まで読んでくださりありがとうございました!

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