第1款 所有権の内容及び範囲

民法206条:所有権とは?物権の定義と一緒にわかりやすく解説

2022年5月1日

伊藤かずま

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国際行政書士(第21190957号)
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ウリム

所有権は物権の王』なんて言葉を耳にしました。

どういう意味?

本記事は,民法206条に定められている所有権の定義を,物権の定義とあわせて,わかりやすく解説しています。

 

記事の信頼性

本記事は,4ヶ月の独学で試験に一発合格した当ブログ管理人の伊藤かずまが記載しています。
現在は,現役行政書士として法律に携わる仕事をしています。

参考:独学・働きながら・4ヶ月・一発(202点)で行政書士試験に合格した勉強法
参考:筆者を4ヶ月で合格に導いた超厳選の良書たち

 

読者さんへの前置き

赤文字は,試験対策として絶対に知っておくべき単語・用語・概念・考え方,その他重要ポイントです
太文字は,解説中で大切なポイントです
※本記事は,2020年4月1日施行の民法改正に対応しています

 

条文趣旨:『所有権は物権の王』の理由 所有権の定義≒物権の定義だから

所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する

第206条 【所有権の内容】

所有権の定義は,物を直接的・排他的に支配できる権利です。

嚙み砕いて表現すると,所有権は,物を自分で使う・捨てる・人に貸す・壊すなど,物についての判断を自分で自由にできる権利です。

一方で,物権という概念の定義も,物を直接的・排他的に支配できる権利であり,所有権と同じです。

物権的性質を一部制限されている他の物権とは違い,所有権は物権的性質に制限がかかっていないことから,”所有権の定義”≒”物権という概念の定義”が成り立ちます。

その意味で,他のどの物権よりも,物権という概念そのものに近い所有権が,物権の王と表現されたりします

(物権的性質の一部制限の例:留置権に優先弁済的効力がない・用益物権は不動産にしか成立しない)

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解説:『直接的・排他的に支配できる』の意味

ここまで見てきたように,所有権の定義及び物権という概念の定義は,共に『物を直接的・排他的に支配できる権利』でした。

以下では,所有権や物権の定義内の“直接的”と“排他的”の意味を確認しておきましょう。

 

直接的

“直接的”というのは,他人の作用を必要とすることなく権利を行使できる”という意味です。

所有権を有するものを使うのに,基本的に誰かに許可を貰ったり,協力してもらう必要はありません。 捨てる場合も,自分が捨てると判断すれば,その判断は尊重され,誰からもジャマされません。

 

一方で債権は,『特定の人に,特定の行為をさせる権利』であるため,債務者である“特定の人”の協力がなければ,債権の目的を実現することができません

そのため,債権には直接的支配権能はないことになります。

※物権と債権の違いが怪しい方は,以下の記事を併せて読んで頂ければ理解がより深まります!

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排他的

自分が所有権を有する物について,他人の所有権が成立することはありません。

もし仮に,一つの物に複数の同じ権利(ここでは所有権)が成り立つとするなら,所有者は自分の物を自由に支配できるはずなのに,他人が自由に物を破壊できる権利を行使すると,物が滅失し,所有権が侵害されることになります。

これは,物権という概念を否定する事態であるため,物権という概念が成り立つためには,一つの物には,同じ物権(所有権)は一つしか成立してはいけないことになります。

これを,一物一権主義といいます。

※物権の性質はこちらの記事も参考にしてください。

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ここまで見てきた,一つの物に対して,同じ物権は一つしか成立しないということは,誰かが物権を持っている物には,他人の物権が成立しない,ということを意味します。

つまり,他人の権利を排斥していることから,上記の性質は,物権の“排他的”性質と呼ばれています。

※補足

ウリム

他人と共同で物を所有すれば,同じひとつの物に,自分と他人のふたつの所有権が成立するくね?

たしかに,そのようなケースだと,一つの物に複数の所有権が成立しているように一見は見えます。

が,このようなケースは”自分と他人との共有”という所有権がひとつだけ成立していると考えます。

間違いやすいのでご注意ください。

 

解説はここまでです。 読んで頂きありがとうございました!

 

※前条の解説はこちらです。

(現在準備中!)

※次条の解説はこちらです。

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参考文献など

この記事は以下の書籍を参考にして執筆しています。 より深く理解したい方は以下の基本書を利用して勉強してみてください。 必要な知識が体系的に整理されている良著なので,とてもオススメです。

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最後まで読んでくださりありがとうございました!

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