日常生活でも「弁済」という言葉はよく聞きます。
借金を弁済をしたら,借金から解放される!ってイメージはありますが,法学的には弁済をするとどのような効果が発生するのでしょうか?
本記事では,弁済という行為によって発生する効果について解説しています。
本記事を読むことで,以下を達成できるように執筆しています。
- 弁済という行為の内容がわかる
- 弁済をすると,何がどうなるのかがわかる
記事の信頼性
本記事は,4ヶ月の独学で試験に一発合格した当ブログの管理人の伊藤かずまが記載しています。
現在は,現役行政書士として法律に携わる仕事をしています。
参考:独学・働きながら・4ヶ月・一発(202点)で行政書士試験に合格した勉強法
参考:筆者を4ヶ月で合格に導いた超厳選の良書たち
読者さんへの前置き
※赤文字は,試験対策として絶対に知っておくべき単語・用語・概念・考え方,その他重要ポイントです
※太文字は,解説中で大切なポイントです
※本記事は,2020年4月1日施行の民法改正に対応しています
※本ブログでは,記事内容を要約したものを先に”結論”としてまとめ,その後”解説”で詳細に説明をしています。 ”結論”のみ読んで知識の再確認,”結論”+”解説”で詳細を理解...など,読者さまの用途に合わせてご利用ください!!
結論:弁済は,債務者を責任・義務から解放する
民法473条 【弁済】
債務者が債権者に対して債務の弁済をしたときは,その債権は,消滅する。
弁済とは,債務者が債務の本旨に沿った給付をすることで債権を消滅させることをいいます。
代表的な弁済の効力は以下の4つです。
- ①債務者は負担していた債務という義務から解放される
- ②消滅した債務に設定されていた担保(権)も実行されることがなくなる
- ③債権者からの履行遅滞を理由とした債務不履行責任を負うことはなくなり,損害賠償請求権や解除権が発生しなくなる
- ④遅延損害金が発生しなくなる
解説:弁済は,債権を消滅させる
債権にも生と死がある
私たちが生を受けてこの世に産まれ落ちて,今この文章を読んでいるわけですが,人は生まれたら必ず死ぬときが来ます。
民法には,私たちの身の周りのあらゆる出来事について法的処理をするためのルールが揃っており,私たち人間が必ず経験する「死」についても相続という規定が存在します。
対して,債権という権利も,その発生要因として,契約・事務管理・不当利得・不法行為の大きく4つの「生」の規定が存在します。
債権の「生」についての規定が存在する一方,債権もその内容(=債権の目的)が実現された場合,その生涯を終えて,眠りにつきます。
つまり債権にも「死」(というか「天命」?)という終わりが来るのです。
では,債権の終わり,債権の死とはどのような場合でしょうか?
まず,もっとも代表的なのは,債権の目的が達成されて,債権がその生涯を終える弁済が存在します。
その他に,民法では相殺・更改・混同・免除が,債権の消失ルールとして定められていますが,これらの解説は別の記事に委ねます。
【債権の消滅の各解説】
今回は,まずは債権がその本来の生涯を全うして消失する王道ケースである,弁済を学びましょう。
弁済とは
弁済とは,債務者が債務の本旨に沿った給付をすることで債権を消滅させることをいいます。
これは,弁済の効力側から説明する(『弁済したとき→〇〇する』)かたちで,民法473条に規定されています。
民法473条 【弁済】
債務者が債権者に対して債務の弁済をしたときは,その債権は,消滅する。
弁済の効力
弁済がされると債権が消滅するわけですが,債権が消滅するとどのような効果が発生するのでしょうか?
まず,債権が消滅しましたのでそれに対応する債務も消滅し,①債務者は負担していた債務という義務から解放されることになります。
また,債権が弁済により満足したため,②消滅した債務に設定されていた担保(権)も実行されることはなくなります。
弁済は,“債務の本旨に沿った給付”ですので,弁済がされたことで債権は満足に履行されたわけですから,③債権者からの履行遅滞を理由とした債務不履行責任を負うことはなくなり,損害賠償請求権や解除権が発生しなくなります。
さらに,弁済をした時点以降については債権が満足した状況が完成しますので,当該時点以降の④遅延損害金も発生しません。
整理すると…
- ①債務者は負担していた債務という義務から解放される
- ②消滅した債務に設定されていた担保(権)も実行されることがなくなる
- ③債権者からの履行遅滞を理由とした債務不履行責任を負うことはなくなり,損害賠償請求権や解除権が発生しなくなる
- ④遅延損害金が発生しなくなる
となります。
つまり,(完全な)弁済は,債務者を負っている義務や責任からの完全な解放を意味します。
解説はここまでです。 読んで頂きありがとうございました!
本記事で解説した民法473条は,弁済の提供の民法492条と親密な関係がありますので,ぜひこのまま以下の記事で学習をして,学習効率をUPするようにしてください!
※前条の解説はこちらです。
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※次条の解説はこちらです。
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参考文献など
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最後まで読んでくださり,ありがとうございました。