債権者交替の更改って,法的効果は債権譲渡と同じらしいやん?
どういうこと?
本記事は,民法515条の債権者交替の更改について,わかりやすく解説しています。
本記事を読むことで,以下を達成できるように執筆しています。
- 債権者交替の更改の要件を理解できる
記事の信頼性
本記事は,4ヶ月の独学で試験に一発合格した当ブログの管理人の伊藤かずまが記載しています。
現在は,現役行政書士として法律に携わる仕事をしています。
参考:独学・働きながら・4ヶ月・一発(202点)で行政書士試験に合格した勉強法
参考:筆者を4ヶ月で合格に導いた超厳選の良書たち
読者さんへの前置き
※赤文字は,試験対策として絶対に知っておくべき単語・用語・概念・考え方,その他重要ポイントです
※太文字は,解説中で大切なポイントです
※本記事は,2020年4月1日施行の民法改正に対応しています
※本ブログでは,記事内容を要約したものを先に【結論】としてまとめ,その後【解説】で詳細に説明をしていますので,読者さまの用途に合わせて柔軟にご利用ください!!
【結論】債権者交替の更改は,三面契約が必須
民法515条 【債権者の交替による更改】
1 債権者の交替による更改は、更改前の債権者、更改後に債権者となる者及び債務者の契約によってすることができる。
2 債権者の交替による更改は、確定日付のある証書によってしなければ、第三者に対抗することができない。
本条1項により,債権者交替の更改においては,三面契約が要求されます。
旧債権者と新債権者との間での二者間での契約で債権者変更を許してしまうと,債務者の全く知らないうち債権者が変わっており,債務者が無権利者に対して弁済をしてしまい,債務者が不利益を被る危険があるためです。
本条2項により,三面契約は確定日付のある証書で行わなければいけません。
第三者が債権者を見誤らないためのルールです。
債権者交替の更改は,法的効果は債権譲渡と同じです。(そのため,更改の制度は過去に削除が検討された歴史があります。)
【解説】債権者交替の更改は,契約を確定日付のある証書で行わなければいけない
513条と514条と515条はセットで確認
本条515条は,民法513条【更改】と,民法514条【債務者の交替による更改】とで協力をして更改制度を定めている条文です。
以下のとおりで各条文が役割分担をしています。
- 民法513条→更改制度全体のルールを担当
- 民法514条→債務者が交替する更改ルールを担当
- 民法515条→債権者が交替する更改ルールを担当
更改制度を理解するためには,民法513条→民法514条→民法515条の順で素読して学習してください。
以下にリンクを置いておきますので,それぞれに目を通してから,是非この記事に戻ってきてください。
債権者が交替する更改では三面契約が必要(515条1項)
本条515条(1項)では,民法513条3号に定められている債権者交替の更改について,三面契約を要求しています。
民法513条 【更改】
当事者が従前の債務に代えて、新たな債務であって次に掲げるものを発生させる契約をしたときは、従前の債務は、更改によって消滅する。
一 (略)
二 (略)
三 従前の債権者が第三者と交替するもの
民法515条1項 【債権者の交替による更改】
1 債権者の交替による更改は、更改前の債権者、更改後に債権者となる者及び債務者の契約によってすることができる。
三面契約とは,当事者三者間で行う契約のことです。
債権者交替の更改で三面契約が必要とされる理由は,旧債権者と新債権者の二者間での契約で債権者交替の更改の成立を許してしまうと,債務者としては全く知らないところで債権者が交替してしまっていて,債務者が弁済相手をミスることで不利益を被る危険があるためです。
対して,債務者が交替する更改(民法514条)では,債務者が債権者を見誤る危険がないので,債権者と新債務者との二者間契約でOKです。 対比して理解しておきましょう。
債務者が交替する更改(民法514条)で,債務者が債権者を見誤る危険がないのは「【民法514条:法的効果は免責的債務引受と同じ】債務者変更の更改をわかりやすく解説」で詳しく解説していますので,まだ読んでいない方は一度確認しておいてください。
債権者交替の更改(515条)=債権譲渡(464条・467条)
債権者交替の更改は,法的効果としては債権譲渡(464条・467条)と同じです。
あくまで個人的にですが,試験対策としては,債権者交替の更改の出題はあまりされないのではないかと思います。
債権譲渡という制度の方が主流ですし,過去問でも債権譲渡の方が,出題率が高い重要論点とされているからです。
また,債権譲渡をしたうえで債権者交替の公開を出題すると同じ内容の出題となってしまうからです。
債権者交替の更改の第三者対抗要件(515条2項)
民法515条2項 【債権者の交替による更改】
2 債権者の交替による更改は、確定日付のある証書によってしなければ、第三者に対抗することができない。
債権者交替の更改において,第三者に債権者が交替した事実を対抗するためには,契約を確定日付のある証書で行わなければいけません。
第三者が債権者を見誤らないためのルールです。
なぜ第三者対抗要件に確定日付のある証書が必要とされるかについての理由は,「【民法467条:確定日付のある証書はなぜ必要?】債権譲渡とは?対抗要件含め世界一わかりやすく解説!」で詳細に解説しています。 非常に人気の記事ですので,是非併せて確認してください。
解説はここまでです。 読んで頂きありがとうございました!
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※前条の解説はこちらです。
※次条の解説はこちらです。
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参考文献など
参考文献
この記事は以下の書籍を参考にして執筆しています。 より深く理解したい方は以下の基本書を利用して勉強してみてください。 必要な知識が体系的に整理されている良著なので,とてもオススメです。
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最後まで読んでくださり,ありがとうございました。