無主物先占(むしゅぶつせんせん)って,なんか音の響きかっこいいよね…!
で,無主物先占ってなに?
本記事は,無主物の帰属ルールを定めている無主物先占制度について,わかりやすく解説しています。
本記事を読むことで,以下を達成できるように執筆しています。
- “無主物”や“無主物先占”の概念が基礎から理解できる
記事の信頼性
本記事は,4ヶ月の独学で試験に一発合格した当ブログの管理人の伊藤かずまが記載しています。
現在は,現役行政書士として法律に携わる仕事をしています。
参考:独学・働きながら・4ヶ月・一発(202点)で行政書士試験に合格した勉強法
参考:筆者を4ヶ月で合格に導いた超厳選の良書たち
読者さんへの前置き
※赤文字は,試験対策として絶対に知っておくべき単語・用語・概念・考え方,その他重要ポイントです
※太文字は,解説中で大切なポイントです
※本記事は,2020年4月1日施行の民法改正に対応しています
※本ブログでは,記事内容を要約したものを先に【結論】としてまとめ,その後【解説】で詳細に説明をしていますので,読者さまの用途に合わせて柔軟にご利用ください!!
【結論】誰の物でもない動産は早い者勝ち!!!
民法239条【無主物の帰属】
1 所有者のない動産は、所有の意思をもって占有することによって、その所有権を取得する。
2 所有者のない不動産は、国庫に帰属する。
誰の物でもない物(無主物)について,所有者が誰になるのかを定めた条文です。
本条は,無主物の所有者が誰になるかについて,以下のとおりルールを定めています。
【無主物が動産の場合(民法239条1項)】
“無主物について真っ先に占有を開始した人が所有者になる”という早い者勝ちルール
【無主物が不動産の場合(民法239条2項)】
”国の物になる”という国最優先ルール
【解説】誰の物でもない不動産は国の物!!!
無主物とは?
まず,無主物とは「主の無い物」,すなわち所有者が存在しない(=誰の物でも無い)物のことです。
たとえば,海や川にいる魚や,山にいる昆虫などが無主物の代表例です。
ちなみに,誰かが落とした財布や,盗人が財布を他人から盗んで中のお金を抜いた後に財布のみ道端に捨てた場合の財布は,元々の所有者がいまだ現存していますので,無主物ではありません。
無主物の持ち主は,対象が動産か不動産かでルールが違う
誰の物でも無い無主物は,そのまま自然の中などに存在しているだけならば,何も権利関係の変化は発生しないため,問題はなにも起こりません。
問題が起こるのは,“その無主物を誰かが占有し始めた時”です。
たとえ無主物だとしても占有を開始すれば占有権は発生します。(民法180条)
民法180条 【占有権の取得】
占有権は、・・・(略)・・・物を所持することによって取得する。
この占有権が発生する点はよいとして,問題は所有権が認められるのか?という点です。
占有権と所有権は全く別物であり,占有権があるから所有権があるとは限らないのです。
(例:盗人でも,盗んだ物について占有権を有しますが,所有権は有しません)
この「無主物を誰かが占有し始めた時に所有権をどうするのか問題」について定めているのが,本条民法239条です。
この問題について,民法239条は①無主物が動産の場合と②無主物が不動産の場合とで,分けてルール決めしています。
ここから,①と②のそれぞれの場合のルールについて,詳しく見ていきましょう。
①無主物が動産の場合:持ち主=早い者勝ち(無主物先占ルール)
次に,無主物が動産の場合ですが,こちらは早い者勝ちのルールになっています。
民法239条【無主物の帰属】
1 所有者のない動産は、所有の意思をもって占有することによって、その所有権を取得する。
2 (略)
つまり,誰の物でもない動産を「持って帰って自分の物にしよ~」と考えながら占有を開始した”その瞬間に”無主物について所有権を取得します。
所有権は,占有権とは違い完全なる本権たる物権ですので,一物一権主義が適用され,誰かが一番最初に所有権を民法239条で成立させてしまえば,重ねて所有権が成立することはありません。
よって,早い者勝ちルールとなるのです。
この,“無主物について真っ先に占有を開始した人が所有者になる”という早い者勝ちルールは,無主物先占(むしゅぶつせんせん)というかっこいい名前が付いていますので憶えておきましょう。
②無主物が不動産の場合:持ち主=国
まず,無主物が不動産の場合,その不動産は国庫に帰属します。
民法239条【無主物の帰属】
1 (略)
2 所有者のない不動産は、国庫に帰属する。
『国庫に帰属する』とは,すなわち所有者のない不動産は国の物とする,ということです。
試験対策としては,この“無主物不動産=国の物”くらいの認識をしていればOKです。
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参考文献など
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