第6章 期間の計算

【民法140条:期間に算入すべきは完全なる1日】初日不算入の原則と例外

2022年9月9日

伊藤かずま

国際行政書士(第21190957号)
宅地建物取引士合格(未登録)
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ウリム

民法には初日不算入の原則ってものがあるらしいですね!

しかも例外まであるとか…。 整理して教えてもらえますか?

本記事では,民法140条の初日不算入の原則と,その例外についてわかりやすく解説しています。

 

本記事を読むことで,以下を達成できるように執筆しています。

  • 初日不算入の原則が理解できる
  • 初日不算入の原則の例外がなぜ認められるのかが理解できる

 

記事の信頼性

本記事は,4ヶ月の独学で試験に一発合格した当ブログの管理人の伊藤かずまが記載しています。
現在は,現役行政書士として法律に携わる仕事をしています。

参考:独学・働きながら・4ヶ月・一発(202点)で行政書士試験に合格した勉強法
参考:筆者を4ヶ月で合格に導いた超厳選の良書たち

 

読者さんへの前置き

赤文字は,試験対策として絶対に知っておくべき単語・用語・概念・考え方,その他重要ポイントです
太文字は,解説中で大切なポイントです
※本記事は,2020年4月1日施行の民法改正に対応しています

 

※本ブログでは,記事内容を要約したものを先に【結論】としてまとめ,その後【解説】で詳細に説明をしていますので,読者さまの用途に合わせて柔軟にご利用ください!!

【結論】日、週、月又は年によって期間を定めたときは,初日不算入

民法140条

日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない

民法140条は,初日不算入の原則を定めている条文です。

初日不算入の原則とは,期間を日・週・月又は年によって定めた場合,期間のカウント開始に初日を含まないことです。

 

ただし,例外として,期間のカウント開始点が午前零時の場合は,初日を含みます

1日の始まりである午前零時(夜中の12時)がカウント開始点であるならば,初日は24時間フルに確保できているため,初日を算入しても問題ないとの判断からです。

 

これら原則と例外を理解するポイントは,”期間に算入すべきは,完全なる1日でなければならない”です。

 

【解説】期間に算入すべきは,完全なる1日でなければならない

『日、週、月又は年によって期間を定めたとき』とは?

民法140条

日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない

民法140条の『日、週、月又は年によって期間を定めたとき』というのは,たとえば,「1週間以内に返事します」とか「契約から1年後まで有効です」といったような,日・週・月・年によって期間を区切る場合です。

 

初日不算入の原則

前述した『日、週、月又は年によって期間を定めたとき』に該当する場合には,その定めた期間に初日を含みません。

つまり,令和4年9月9日午前2時に「1週間以内に返事します」と相手方に伝えて了承を得た場合,初日(9月9日)を含めず,1週間のカウント開始点は令和4年9月10日午前零時になります。

その結果,令和4年9月9日午前2時に「1週間以内に返事します」と相手方に伝えた場合のタイムリミットは令和4年9月16日が終了する瞬間です。

初日不算入の原則・事例
初日不算入の原則・図解

すなわち,令和4年9月9日午前2時~午後11時59分59秒まで(上図の青点線)は,“1週間”という期間には含まれないということです。

 

初日不算入の原則の例外

初日不算入の原則は前述のとおりでしたが,この原則には例外が存在します。

すなわち,例外として,初日を算入する場合が存在するということです。

 

例外が発生するパターンは,条文に規定されているとおり,期間のカウント開始点が午前零時であるときです。

民法140条

日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない

初日不算入の原則を説明したときは“令和4年9月9日午前2時に「1週間以内に返事します」”でしたが,これを“令和4年9月9日午前零時に「1週間以内に返事します」”に変更してみましょう。

午前零時に期間が開始しているため,初日を算入することになり,この場合の1週間以内のタイムリミットは令和4年9月15日が終了する瞬間です。

初日不算入・例外
初日不算入・例外事例

 

※初日不算入だった場合には令和4年9月16日が終了する瞬間に,初日算入の場合には令和4年9月15日が終了する瞬間に,期間のタイムリミットを迎えるのを見比べて比較しておきましょう。 例外時は,初日を算入する分,タイムリミットの到来が1日早くなっています。

 

初日不算入の原則の例外が認められるのはなぜ?

そもそもですが,初日を算入しない初日不算入の原則が認められている理由は,1日目(初日)が24時間フルに確保できていないのならば, 期間中に含める“1日”としてはふさわしくないためです

よって,逆に,期間のカウント開始点が午前零時で,1日目(初日)が24時間完全に確保できているのなら,期間中の“1日”に含めてよいと言えます

すなわち,”期間中に算入すべき1日は,完全なる1日でなければならない”と憶えておきましょう。

 

ビジネス上でも“期間”には気をつけよう

ここからは,民法とは関係ありません。

筆者はエンジニアとしてIT業界で働いていたことがあるのもあって,「複数通りに解釈できてしまう表現」を出来る限りしないようにしています。

仕事上でも,期間や〆切について「明後日までにご連絡します」みたいな表現を使う方がいますが,個人的には不親切だなって感じます。

「明後日までにご連絡します」は,“明後日が訪れるまで,すなわち明日中”なのか,“明後日が終了するまで,すなわち明後日中”なのか,2通りに解釈出来てしまうからです。

 

解説はここまでです。 読んで頂きありがとうございました!

 

※前条の解説はこちらです。

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※次条の解説はこちらです。

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参考文献など

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