民法の134条の随意条件の定義である『その条件が単に債務者の意思のみに係るとき』って,一体どういう意味や?
そして,なぜ随意条件は停止条件付の場合は無効なのに,解除条件付は有効なの?
本記事は,民法の随意条件についての上記の疑問について解説しています。
記事の信頼性
本記事は,4ヶ月の独学で試験に一発合格した当ブログ管理人の伊藤かずまが記載しています。
現在は,現役行政書士として法律に携わる仕事をしています。
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読者さんへの前置き
※赤文字は,試験対策として絶対に知っておくべき単語・用語・概念・考え方,その他重要ポイントです
※太文字は,解説中で大切なポイントです
※本記事は,2020年4月1日施行の民法改正に対応しています
結論:随意条件とは,債務者に生殺与奪の権を握られている状態
停止条件付法律行為は、その条件が単に債務者の意思のみに係るときは、無効とする。
民法134条 【随意条件】
随意条件とは,“気が向いたら貸してあげる”というような,債務者(貸す債務を負う)側の一存で決まる条件のこと。
停止条件付随意条件は,無効とされており,解除条件付き随意条件は有効とされています。
解説:停止条件は,条件成就まで,現状について何も変化が起こっていない
随意条件に,停止条件を付した場合は,無効となります。
一方で,随意条件に,解除条件を付した場合は,有効です。
この反対の結論に至る点について,理解・暗記するポイントは,“停止条件は,条件が成就するまで,現状に何も変化がない”ということを理解しておくことです。
停止条件付随意条件
停止条件は,条件が成就したときになって初めて法律行為が発動するという条件です。
したがって,停止条件が成就するまでは,何も法律効果は生まれないことになり,これは,停止条件成就まで,現状が何も変化を起こさないことを意味します。
※停止条件についてはこちらで確認してください。 停止条件・解除条件がごっちゃになる方におすすめの人気記事です。
この停止条件に, “その条件が単に債務者の意思のみに係るとき”という随意条件を加え,債務者の一存で法律効果が発生するかしないかを委ねるとどうなるでしょうか?
その場合,相手方が非常に不安定な状況に置かれることになります。
例えば,「気が向いたらこの本を貸してあげるね」というような,本を貸す(債務者)側の,一存で貸すか貸さないかを決められる,停止条件付随意条件をもって契約をしたとします。
そうすると,契約時点では,相手方はまだ本を借りることができていません。(停止条件は,現状に何も変化を起こさないからです。)
そして,貸してくれるかどうかは債務者の気分次第なので,いまだ本を借りられていない相手方は,本がどうしても欲しくなったときに,自分で買ってしまうと,その後に貸してもらえた場合には,本の代金を損してしまいます。
また,貸してくれるかもと期待して,本を買わずに待っていたら,結局貸してくれなくて,待ちぼうけをさせられてしまう可能性もあります。
このように,停止条件付随意条件は,相手方を不安定な立場にすることから,無効として扱われています。
解除条件付随意条件
一方で,解除条件付随意条件はどうでしょうか。
条文を見てみると,『停止条件付随意条件は無効』としか書いていないため,反対解釈により,解除条件付随意条件は有効であると考えられています。
解除条件の場合,条件成就によって法律効果が失われます。
したがって,停止条件の時とは違い,解除条件では,“今現在の時点で,すでに法律効果が発動しているため,法律効果の恩恵を受けられている”ことになります。
よって,解除条件付随意条件によって,「この本貸すね。でも気が向いたら返してね」という契約が行われた場合でも,少なくとも本を貸してくれた人の“気が向く”までは,本を借りることができます。
その借りられる期間が長いか短いかは,本を貸す(債務者)側の気分次第ではありますが,それでも借りる側としては,一定期間本を借りることができるため,解除条件付随意条件にはメリット・存在価値があるといえます。
以上から,解除条件付随意条件は有効と解されています。
※前条の解説はこちらです。
※次条の解説はこちらです。
参考文献など
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