第5節 条件及び期限

【不正クソ野郎を許さない】民法130条:条件の成就の妨害等をわかりやすく解説

伊藤かずま

国際行政書士(第21190957号)
宅地建物取引士合格(未登録)
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ウリム

条件を不正に成就させたり,妨害したりした場合には,どのように扱うの?

本記事では,民法130条に規定されている,条件が設定されているときに,その条件を不正に成立させたり,達成を妨害したときの,民法の態度について解説しています。

 

本記事を読むことで,以下を達成できるように執筆しています。

  • 条件を不正に成立させた・妨害したさいの取扱いがわかる

 

記事の信頼性

本記事は,4ヶ月の独学で試験に一発合格した当ブログの管理人の伊藤かずまが記載しています。
現在は,現役行政書士として法律に携わる仕事をしています。

参考:独学・働きながら・4ヶ月・一発(202点)で行政書士試験に合格した勉強法
参考:筆者を4ヶ月で合格に導いた超厳選の良書たち

 

読者さんへの前置き

赤文字は,試験対策として絶対に知っておくべき単語・用語・概念・考え方,その他重要ポイントです
太文字は,解説中で大切なポイントです
※本記事は,2020年4月1日施行の民法改正に対応しています

 

結論:民法は不正行為を認めない

1 条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。

2 条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる。

民法130条 【条件の成就の妨害等】

 

民法130条は,ただ単純に,不正行為をしたヤツは許さないよ?という,至極当然のことを言っているにすぎません。

 

条件が成就することで損をする方が達成を妨害したとき,条件が達成されたものとして扱うことができます。(民法130条1項)

 

また,条件が成就することで得をする方が不正に条件を達成したとき,条件が達成されなかったものとして扱うことができます。(民法130条2項)

 

※「条件」という概念・停止条件と解除条件の憶え方は,こちらの記事で詳しく解説しています。

あわせて読みたい

 

解説:民法130条は,常識的なことを言っている

民法130条の内容は,正直,学習するほどのことはありません。

条件達成を妨害したら,条件達成として扱いますし,不正に条件を達成したら,条件未達成として扱います。

 

ウリム

なにこれ,普通に考えて,あたりまえ体操やん。

民法130条が言っていることは,おそらく,多くの読者の方の常識的感覚に一致する内容だと思います。

 

よって,この条文の学習にはそんなに時間をかける必要は無いと思います。

自分の常識に一致しているのなら,試験本番も知識ではなく常識で解けるはずですので,このような部分は暗記に頼らず,脳のメモリを節約するのもコツです。

 

本記事のここからは,民法130条1項と2項のそれぞれについて,具体例で事例を確認しておくことにします。

 

民法130条1項:条件達成を妨害したら,条件達成として扱う

「Aさんが行政書士試験に合格したら,Bさんが100万円をお祝い金としてプレゼントする」という,停止条件付契約が交わされているとします。

停止条件付法律行為
停止条件付法律行為

 

この場合,行政書士試験に合格するという条件が達成された場合に,不利益を受けるのは,100万円を失うBさんです。

この不利益を受けるBさんが,100万円を渡すのが惜しくなり,行政書士試験日にAさんを縛り付けて監禁し,試験を受けさせないという妨害をしたします。

1 条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。

民法130条1項 【条件の成就の妨害等】
民法130条1項・妨害
民法130条1項・妨害

 

ウリム

妨害どころか,犯罪じゃねーか…。 Bさん,やべーヤツやん。

 

この場合,Aさんは試験を受けられなかったので,事実としては不合格ですが,Aさんは「行政書士試験に合格した」とみなし,条件が達成されたと扱うことができます

1 条件が成就することによって不利益を受ける当事者が故意にその条件の成就を妨げたときは、相手方は、その条件が成就したものとみなすことができる。

民法130条 【条件の成就の妨害等】

すなわち,Aさんは,Bさんに対して100万円を請求することができます

民法130条1項・妨害による条件成就擬制
民法130条1項・妨害による条件成就擬制

 

民法130条2項:不正に条件を達成したら,条件未達成として扱う

先ほどの事例と同じく,「Aさんが行政書士試験に合格したら,Bさんが100万円をお祝い金としてプレゼントする」という,停止条件付契約が交わされているとします。

停止条件付法律行為
停止条件付法律行為

 

この場合,行政書士試験に合格するという条件が達成された場合に,利益を受けるのは,100万円をGetするAさんです。

このAさんが,資格欲しさ&100万円欲しさに,カンニングをして試験を受けて,不正に合格をしたとします。

2 条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる。

民法130条2項 【条件の成就の妨害等】
民法130条2項・条件不正成就
民法130条2項・条件不正成就

  

ウリム

Aさんも,やべーヤツだった...。

 

この場合,Aさんは事実として合格をしていますが,Bさんは「行政書士試験に不合格だった」とみなし,条件未達成と扱うことができます。

2 条件が成就することによって利益を受ける当事者が不正にその条件を成就させたときは、相手方は、その条件が成就しなかったものとみなすことができる。

民法130条2項 【条件の成就の妨害等】

したがって,Bさんは,Aさんからの100万円の引渡し請求を拒否できます

民法130条2項・不正による条件未成就擬制
民法130条2項・不正による条件未成就擬制

 

解説はここまでです。 読んで頂きありがとうございました!

 

※前条の解説はこちらです。

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※次条の解説はこちらです。

(現在準備中です!)

 

参考文献など

参考文献

この記事は以下の書籍を参考にして執筆しています。 より深く理解したい方は以下の基本書を利用して勉強してみてください。 必要な知識が体系的に整理されている良著なので,とてもオススメです。

 

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