本記事は,民法98条の公示送達制度について解説しています。
記事の信頼性
本記事は,4ヶ月の独学で試験に一発合格した当ブログ管理人の伊藤かずまが記載しています。
現在は,現役行政書士として法律に携わる仕事をしています。
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読者さんへの前置き
※赤文字は,試験対策として絶対に知っておくべき単語・用語・概念・考え方,その他重要ポイントです
※太文字は,解説中で大切なポイントです
※本記事は,2020年4月1日施行の民法改正に対応しています
条文趣旨:公示送達は,相手や相手の所在地がわからない場合に利用できる
1 意思表示は、表意者が相手方を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、公示の方法によってすることができる。
2 前項の公示は、公示送達に関する民事訴訟法(平成8年法律第109号)の規定に従い、裁判所の掲示場に掲示し、かつ、その掲示があったことを官報に少なくとも一回掲載して行う。ただし、裁判所は、相当と認めるときは、官報への掲載に代えて、市役所、区役所、町村役場又はこれらに準ずる施設の掲示場に掲示すべきことを命ずることができる。
3 公示による意思表示は、最後に官報に掲載した日又はその掲載に代わる掲示を始めた日から2週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなす。ただし、表意者が相手方を知らないこと又はその所在を知らないことについて過失があったときは、到達の効力を生じない。
4 公示に関する手続は、相手方を知ることができない場合には表意者の住所地の、相手方の所在を知ることができない場合には相手方の最後の住所地の簡易裁判所の管轄に属する。
5 裁判所は、表意者に、公示に関する費用を予納させなければならない。
民法98条 【公示による意思表示】
↓
1 意思表示は、表意者が相手方を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、公示の方法によってすることができる。
2 前項の公示は、
公示送達に関する民事訴訟法(平成8年法律第109号)の規定に従い、裁判所の掲示場に掲示し、かつ、その掲示があったことを官報に少なくとも一回掲載して行う。ただし、裁判所は、相当と認めるときは、官報への掲載に代えて、市役所、区役所、町村役場又はこれらに準ずる施設の掲示場に掲示すべきことを命ずることができる。3 公示による意思表示は、最後に官報に掲載した日又はその掲載に代わる掲示を始めた日から2週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなす。ただし、表意者が相手方を知らないこと又はその所在を知らないことについて過失があったときは、到達の効力を生じない。
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公示に関する手続は、相手方を知ることができない場合には表意者の住所地の、相手方の所在を知ることができない場合には相手方の最後の住所地の簡易裁判所の管轄に属する。(本記事では略)5
民法98条 【公示による意思表示】裁判所は、表意者に、公示に関する費用を予納させなければならない。(本記事では略)
↓
1 意思表示は、表意者が相手方を知ることができず、又はその所在を知ることができないときは、公示の方法によってすることができる。
2 前項の公示は、裁判所の掲示場に掲示し、かつ、その掲示があったことを官報に少なくとも一回掲載して行う。
3 公示による意思表示は、最後に官報に掲載した日又はその掲載に代わる掲示を始めた日から2週間を経過した時に、相手方に到達したものとみなす。ただし、表意者が相手方を知らないこと又はその所在を知らないことについて過失があったときは、到達の効力を生じない。
4 (本記事では略)
5 (本記事では略)
民法98条 【公示による意思表示】
民法97条によって,日本においては,意思表示は相手方に到達したときに効力が発生する到達主義を採用しています。
これは,裏返せば,意思表示が到達しない限りは法律効果が発動しないことになります。
つまり,意思表示の相手方が誰かわからない,相手方が行方をくらましてどこにいるのかわからない,という状況なると,意思表示を行うことが出来なくなってしまいます。
この状況を回避するための制度が公示送達です。
裁判所の掲示板に掲載し,かつ,その掲示した旨を少なくとも1回官報に掲載した後,2週間を経過することで,相手に有効に意思表示したとみなされます。
ただし,相手がわからない又は相手の所在地が不明であることに,意思表示者に過失がある場合は利用できません。
解説:公示送達は到達主義の欠点を補完するもの
条文趣旨でも前述しましたが,日本では,意思表示が相手方に到達したときに効力が発生する到達主義が採用されています。(民法97条)
よって,意思表示が相手方に到達しないと,法律効果は発動しません。
この到達主義には欠点があります。
意思表示をすべき相手がわからない,意思表示をすべき相手がどこにいるのかわからない場合に,意思表示をすることができないという欠点です。
そうなると,意思表示を受け取る側にとって不利となる法律効果が発生するような場合,たとえば,借金を返せという請求を債務者が受け取るような場合には,債務者は行方をくらましてしまえば,お金を貸した債権者は意思表示ができなくなり,お金を請求することができなくなります。
これでは,逃げた者勝ちとなってしまいます。
そこで,民法は,公示送達という制度を用意しました。
公示送達は,意思表示をする相手方又は相手方の行方が不明なとき,裁判所の掲示板に掲載し,かつ,その掲示をしたことを官報に少なくとも1回掲載した場合,その公示から2週間の経過で意思表示が到達したとみなす制度です。
要件と効果を整理すると,以下のとおりです。
【要件】
- 意思表示すべき相手又は相手の所在が不明である
- 裁判所の掲示板に掲示し,かつ,掲示した旨を少なくとも1回官報に掲載する
- 掲示板への掲示又は官報掲載から2週間を経過する
- 要件“1”( 意思表示すべき相手又は相手の所在が不明である)について,過失がない
【効果】
- 相手方に,意思表示が到達したものとみなす
公示送達は,行方不明者に対する債権の消滅時効の完成を阻止する,などの場面で利用されています。
解説はここまでです。 読んで頂きありがとうございました!
※前条の解説はこちらです。
※次条の解説はこちらです。
参考文献など
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