条件が不能なとき,無効になるのか,無条件になるのか,いっつもごっちゃになるんですけど,なんかいい方法ない?
本記事では,民法133条の不能条件の憶え方を,図を用いてわかりやすく解説しています。
本記事を読むことで,以下を達成できるように執筆しています。
- 不能条件の取扱いがわかる
- 不能停止条件=無効,不能解除条件=無条件をド忘れしても大丈夫な解法を身に着けられる
記事の信頼性
本記事は,4ヶ月の独学で試験に一発合格した当ブログの管理人の伊藤かずまが記載しています。
現在は,現役行政書士として法律に携わる仕事をしています。
参考:独学・働きながら・4ヶ月・一発(202点)で行政書士試験に合格した勉強法
参考:筆者を4ヶ月で合格に導いた超厳選の良書たち
読者さんへの前置き
※赤文字は,試験対策として絶対に知っておくべき単語・用語・概念・考え方,その他重要ポイントです
※太文字は,解説中で大切なポイントです
※本記事は,2020年4月1日施行の民法改正に対応しています
結論:不能+停止条件=無効 不能+解除条件=無条件
1 不能の停止条件を付した法律行為は、無効とする。
2 不能の解除条件を付した法律行為は、無条件とする。
民法133条 【不能条件】
法律行為に,条件を付けたはいいものの,その条件が不能(成就する可能性が無い)場合に,どう扱うのかを定めた条文です。
【民法133条1項:不能+停止条件=無効】
停止条件は,条件が達成されるまで,法律行為は効力が停止しています。
その状態で,条件達成が不能ということは,未来永劫,効力開始点が訪れません。
よって,これから先の未来ずっと,法律効果停止状態のため,この停止条件付法律行為は無意味なものとなります。
したがって,不能な停止条件付法律行為は,無効です。
【民法133条2項:不能+解除条件=無条件】
解除条件は,条件が達成されるまで,法律行為の効力は有効に発揮されています。
この状態で,条件達成が不能ということは,未来永劫,効力消滅点が訪れません。
よって,これから先の未来ずっと,効力発動状態が維持されるため,この解除条件付法律行為は,実質的に条件が付されていない,無条件なものとなります。
したがって,不能な解除条件付法律行為は,無条件です。
※本記事で多用される『法律行為』については,こちらの記事で詳細に解説しています!是非あわせて読んでみて下さい!
解説:“不能+条件=無効?無条件?“は,図に書いて理解しよう
本条の理解には,停止条件・解除条件の確実な理解が必須
本条民法133条を理解するには,停止条件と解除条件の確実な理解が必須となります。
停止条件と解除条件の詳細な定義などは,こちらの記事で詳細に解説しておりますので,ここでは簡単に触れておきます。
停止条件
停止条件とは,条件が成就するまで法律効果の発生が停止し続けておく条件のことです。
解除条件
解除条件とは,条件が成就したら法律効果が消滅する条件のことです。
暗記しきれなければ,図で解く方法を身に着けておこう
停止条件と解除条件がごっちゃになりやすいせいで,パッと聞かれたとき,不能条件も,無効と無条件のどっちがどっちなのか混乱しやすいです。
どうしても憶えられない場合に備え,ここでは,図を描いて確実に正解にたどり着く方法を解説したいと思います。
不能+停止条件=無効
まず,停止条件の全体概要は以下の図です。 ここがスタートです。
ここから,条件成就ポイントに向かって進んで行きます。
条件成就ポイントに向かって進んでいる間は,足元が点線であるので,法律効果は常に停止しています。
条件成就ポイントに到達したら,法律効果が発動することになります。
このように,足元が点線である間は,法律効果が停止していますが,条件成就ポイントに到達することで,そこから先の未来は足元が実線矢印になり,法律効果が発動する,という流れを理解しましょう。
この図を書けるようにしておくと,試験本番で知識がごっちゃになっても正解にたどり着くことが出来ます。
では,停止条件が達成不能だった場合,図を用いた解法はどのようになるのか,確認してみましょう。
まず,未来に向かって突き進みますが,その間,法律効果は停止しています。
ところが,停止条件が達成不能であるとすると,未来永劫,ずっと条件成就ポイントにたどり着くことは出来ません。
そうすると,法律効果はずーーーっと停止していることになります。
ずなわち,停止条件が達成不能であると,法律効果が有効になることは絶対にありません。
これは,実質的に,停止条件付法律行為をしていないのと同じことであるため,民法は存在しないもの扱いである“無効”として扱います。(民法133条1項)
1 不能の停止条件を付した法律行為は、無効とする。
民法133条1項 【不能条件】
不能+解除条件=無条件
大きな図の書き方・流れは,前述の不能+停止条件と同じです。
では,解除条件が不能だった場合を確認してみましょう。
解除条件の場合,未来に向かって突き進む間,法律効果は有効です。
この状況で条件達成が不能であるとすると,未来永劫,ずっと条件達成ポイントにたどり着くことがないため,法律効果はずーーーっと有効です。
すなわち,解除条件が達成不能であると,法律効果が解除されることはありません。
これは,実質的に,法律行為に条件を何も付けていないのと同じことであるため,民法は条件無し,すなわち,“無条件”として扱います。(民法133条1項)
2 不能の解除条件を付した法律行為は、無条件とする。
民法133条2項 【不能条件】
解説はここまでです。 読んで頂きありがとうございました!
※前条の解説はこちらです。
(現在準備中です!)
※次条の解説はこちらです。
※本記事で多用される『法律行為』については,こちらの記事で詳細に解説しています!是非あわせて読んでみて下さい!
参考文献など
参考文献
この記事は以下の書籍を参考にして執筆しています。 より深く理解したい方は以下の基本書を利用して勉強してみてください。 必要な知識が体系的に整理されている良著なので,とてもオススメです。
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最後まで読んでくださり,ありがとうございました。