コラム

国会の種類【臨時?特別?緊急? 名前似すぎ問題の憶え方】

2021年2月18日

伊藤かずま

国際行政書士(第21190957号)
宅地建物取引士合格(未登録)
国際結婚/在留VISA/永住者/定住者/帰化は,是非お気軽にウィステリア国際行政書士事務所までご連絡ください。

事務所HPはこちら

初学者&独学&4ヶ月&一発合格(202点)で行政書士試験に合格しました。
読者さまからのコメントにあった『本当の意味での初学者にとっての解説書』を完成させるべく,本サイトを運営中。

国会は、次の4つの種類の国会が存在します。

  • 通常国会
  • 臨時国会
  • 特別国会
  • 緊急国会

「え? 国会って1個しかないんじゃないの?」と思った方は、三権分立のところの勉強をよくされていると思います。

実は一言で「国会」と言っても2つの意味を持っています。

ひとつ目は、建物・組織としての国会。 これは別の記事でも解説したとおり、法律を作ったりする国会という組織を表していますね。

ふたつ目は、国会という組織が開催する会議のことを同じく「国会」と呼びます。

まぎらわしいですね…。 内閣が開催する会議のことを「閣議」と言うのですが、国会も完全に別の名前にしてくれればわかりやすかったのに…と思います。

さて、一番最初に述べた「国会には4種類あります」というのは、ふたつ目の意味の国会が開催する会議の方の国会のことです。

会議の開催するきっかけで分類して、4種類存在します。

4種類をまとめて国会と呼ぶのですが、正式には◯◯国会というように、種類に応じて呼び方が決まっています。

アイスクリームってまとめた呼び方が有って、その中にハーゲンダッツとかサーティワンとかガリガリ君みたいにアイスの種類によって呼び方が有る感じです。

しかし、種類分けしているものの、臨時・特別・緊急と似たような意味の言葉が並んでて混乱しがちです。

これらを一覧表で憶えようとすると100%混乱します。 

国会の種類は、発生頻度でグループ分けするとすんなりわかります。

それではみていきましょう。

4種類の国会を3つにグループ分け

まず、4種類の国会を発生頻度で3つにグループ分けします。

分け方は次の通りです。

基本グループ(毎年開催グループ)→通常国会・臨時国会

内閣総理大臣を決める特別な会(数年に一度グループ)→特別国会

日本が緊急事態の時の会(日本の歴史が変わるレベルグループ)→緊急国会

順番にみていきましょう。

通常国会・臨時国会

通常国会は名前の通り、最もメインとなる国会です。

毎年必ず1月からスタートして、会期は150日間続き、議題に関して審議・議論します。

会期というのは、開催された会議(国会)を行うことを許された期間です。 会期の間に議論している内容、すなわち議題に結論を出さなければいけません。

150日間というと5ヶ月もの間、議論を続ける訳です。 こんなに長い会議って一体何を話すんだって話ですよね。

通常国会は名前の通り、必ず1月に開催されるメインの会議です。 そこで扱われる議題も、国会という組織が担当するメインの仕事で、次の2つです。

  • 新しい法律を作る
  • 国の年間予算を調整する

新しい法律を作るのが国会の大きなメインな仕事でしたね。

また、内閣が作ってきた予算の内容に問題が無いか、約700人の国会議員たちで議論してチェックすることも国会の大切なメインの仕事です。

以上の2つの大きな仕事をするために通常国会は必ず毎年1月に開催されます。

この通常国会が、全ての国会のメインで中心となる会議です。 この会議中に新しい法律を作り、予算を作り上げて、会期が終了します。

めでたしめでたし…。

て、あれ?

通常国会は150日間でしたよね、残りの7ヶ月の間、国会議員は何してるの?遊んでるの?

その疑問に答えてくれるのが臨時国会です。

臨時国会

臨時と名前がつく通り、不定期に開催される会議です。

役割としては通常国会をフォローする立ち位置の会議です。

あくまでも全ての国会会議のメインは通常国会です。 通常国会の期間以外で必要に迫られたら開催します。

臨時国会を開かなければいけない状況とはどのような状況なのか見てみましょう。

今、世の中はすさまじいスピードで進化してます。 それこそ明日にはドラえもんのタケコプターが開発され、発売されても不思議ではありません。

タケコプターがいきなり発売されたら色々困ることが起こります。

誰でも空飛んでいいの?免許制にする?免許制なら試験官は?事故が起こったら保険どうする? などなど…

色々決まり事=法律を作らなければいけません。

ところが通常国会は会期が150日間しかありません。
タケコプター免許法を作らなきゃ!ってなった時、「ちょうど昨日で通常国会終わっちゃったから7ヶ月待ちやー!」という事もあり得ます。

そうなったら国民は7ヶ月も空を自由に飛ぶことを我慢しなければいけません。 中には我慢できずに勝手にタケコプターで空を飛ぶ人も現れるでしょう。

そんなときに役立つのが臨時国会です。 

一定の条件を満たして、「タケコプター法案を作りたいから会議開いて!」と申請すればタケコプター法を作るための会議を臨時に開催することができます。

この臨時国会が有るおかげで、私たちの身の周りの問題に対して国会という組織はスピーディに対応できるんですね。

臨時国会は開催したら700名以上の国会議員全員が集まらなければいけません。 なのでむやみやたらに乱発して開催するとお金も時間もかかります。

なので臨時国会を開催するために条件が2通り設けられています。 どちらか片方の条件を満たせば開催できます。

臨時国会を開催するための一定の条件が2種類有るので確認しておきましょう。

  1. 内閣が必要だと認めたとき
  2. 衆議院・参議院の総議員の4分の1以上の要求が有ったとき

1.は内閣に属している約15名の大臣達が閣議でミーティングして全員一致で「臨時国会開くよー!みんな集まれー!」と言えばそれだけで臨時国会開催です。

2.は約700人いる国会議員のうちの4分の1以上が「臨時国会開きたい!」と申請すれば臨時国会開催です。

申請を受けて、内閣が「みんな集まれー!」と全ての国会議員に集合を出します。

700名のうちの4分の1ということは約280人以上の国会議員が臨時国会開催を申請しなければいけません。

それに対して内閣はたった10数名の大臣たちのちからだけで臨時国会を開催できます。

どれだけ大臣の権力が強いのかわかりますね。

以上、通常国会と臨時国会の内容です。 この2つの基本の国会だけで、法律作成と予算審議の国会2大仕事をカバーしています。

ですので、ほぼ全ての国会は通常国会と臨時国会が基本だと考えください。

残りの特別国会と緊急国会はかなりのレアケースです。 では、レアケースの2つを見てみましょう。

特別国会

内閣総理大臣を決めるための特別な国会です。

日本の代表である内閣総理大臣を決めるとても大切な国会なので特別国会と呼ばれています。

開催されるレア度はソーシャルゲームのガチャのスーパーレアくらいです。

いつ開催されるかというと、衆議院が解散したあとの総選挙の日から30日以内です。

内閣総理大臣は国会議員の中から選ばれて任期をスタートします。 そして、衆議院が解散した時にその任期を終了するのでしたね。

つまり内閣総理大臣は衆議院と運命共同体です。 というか、(衆議院の方が参議院より人気なので)内閣総理大臣は実質、衆議院議員です。 

よって、衆議院議員である内閣総理大臣も衆議院が解散したら、その役目を終えます。 すなわち、内閣総理大臣は衆議院が存在している間にのみ存在しています。

なので内閣総理大臣を決めるタイミングというのは、必ず衆議院の解散というイベントの後ということになります。 

そして衆議院が解散されたわけですから、その後、衆議院議員の選挙=総選挙が行われるという流れです。 日本の代表である内閣総理大臣になる次の人が長い間未定であるのは非常に不安定なので、選挙後30日以内に開催されるわけです。

「特別国会は、衆議院が解散したあとの総選挙の日から30日以内に開催」と丸暗記しようとするとまるで呪文で心が折れます。

特別国会は新しい内閣総理大臣を決める特別な会議だよ。

新しい内閣総理大臣を決めるということは、衆議院が解散したということだよ。

衆議院が解散しているので新しい衆議院議員の選挙が行われるよ。

次の内閣総理大臣が未定が長く続くと日本が不安定なので、選挙の日から30日以内に急いで特別国会を開くよ。

というストーリーをしっかり頭にイメージして憶えましょう!

参議院の緊急国会

衆議院が解散中に、日本が緊急事態になった時に行う会議です。

緊急事態というのは非常に大きな災害、東日本大震災級の災害のことです。

しかも、その日本の歴史に残るレベルの災害が「衆議院が解散中=衆議院議員がいない」期間を日本が襲った場合に行われる会議です。

衆議院議員は465名、参議院議員は242名の約700名の国会議員がいるわけですが、衆議院議員の465名がいないということは、通常時の3分の1しか国会議員がいないということです。

普段の3分の1の国会議員しかいない状態で天災が日本を襲ってしまった時などに、残っている参議院が

緊急で対策する会議が緊急国会です。

参議院が行う会議なので、「参議院の」とつけて参議院の緊急国会と言います。

ちなみに開催されるレア度はシークレットレアくらいです。

参議院の緊急国会は、他の会議とは違って開催されるというのは日本がかなり危険な状態です。

幸いなことに、今の参議院の緊急国会ルールになってからは、一度も緊急国会は開催されていません。

願わくばこれから先もずっと開催されないことを祈っています。

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

伊藤かずま

国際行政書士(第21190957号)
宅地建物取引士合格(未登録)
国際結婚/在留VISA/永住者/定住者/帰化は,是非お気軽にウィステリア国際行政書士事務所までご連絡ください。

事務所HPはこちら

初学者&独学&4ヶ月&一発合格(202点)で行政書士試験に合格しました。
読者さまからのコメントにあった『本当の意味での初学者にとっての解説書』を完成させるべく,本サイトを運営中。

-コラム
-,