第4節 無効及び取消し

民法123条 -相手方が知らないうちに取り消されるor追認されるのを防ぐ-

2022年1月8日

伊藤かずま

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国際行政書士(第21190957号)
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今回は民法123条を3分でわかりやすく解説します。

※当シリーズは条文が持つ効力を個性として捉えた表現で解説しています
赤文字は,試験対策として絶対に知っておくべき単語・用語・概念・考え方です
太文字は,解説中で大切なポイントです
※本記事は2020年4月1日施行の民法改正に対応しています

取り消すことができる行為の相手方が確定している場合には,その取消し又は追認は,相手方に対する意思表示によってする。

民法 第123条【取消し及び追認の方法】

 

条文の性格

取消権の行使,又は取り消すことのできる行為の追認は,相手方に対して行え,という方法を指定した条文です。

相手方に対して取消又は追認させることで,取り消される側が,取り消されたことを確実に了知できることを確保する趣旨です。

取り消すことができる行為の相手方は,取り消されるかどうかで当該行為が無効になってしまうかもしれない不安定な立場にいます。

したがって,当該行為の行く末については高い関心を示しますし,当該行為が有効か無効か確定したのならば,契約等の当事者なのですから当然に知るべき立場にいます。

取消や追認の方法を定めることで,取り消される側が知らないうちに取り消されてた…という不測の事態を避ける役割を果たします。

この様な,方法すなわち手続きを規定することで,権利を保護するスタンスって行政手続法に似ていますね

123条は,民法という実体法に属する条文ながら,手続法的な立ち位置にいる,ちょっと変わったやつです。

条文の能力

相手方が確定している場合→相手方に対する意思表示

取消す又は追認すべき相手方がわかっているのなら,その相手方に対して意思表示をすることで,取消又は追認の効果が発動します。

この意思表示の方法に指定は無く,口頭でも書面でもOKです。

また,取消行為は単独行為なので,相手方の承諾はいりません。

取消権を持つ者(120条)が,相手方に対して取消又は追認の意思表示をすれば,その意思表示が到達した時点で,取消又は追認行為が完成します。

相手方が確定していない場合→公示送達

123条には『相手方が確定している場合』が規定されていますが,逆に『相手方が確定していない場合』はどうなのでしょうか?

まず,相手方が確定していない場合とは,相手方が誰かわからないような場合のことです。

保護者の知らないうちに,未成年者である小学生の子どもが,「このニンテンドーswitchを1日1万円で貸してくれるってー!」と知らない人から借りてきてしまったとします。

不気味だし,1日1万円はぼったくりだし,放っておくと賃借料も膨大になってしまうので,この賃貸借契約は取り消しておきたいのが通常でしょう。

ところが,上記のように,貸主がどこの誰かわからない…というような場合が,相手方が確定していない場合に当てはまります。

この様な相手方が確定していない場合で,念のために取消権を行使しておきたいときは,公示送達を利用することになります。

コメント

ちなみに,123条の『相手方』とは,取消す又は追認する人から見た契約相手です。

第三者への取消権の行使は無効という判例があります。

たとえば,未成年者A→B→Cと不動産が転売された時,AからCへの取消しの意思表示ではなく,AからBに意思表示する必要があります。

また,同じくA→B→Cと不動産が転売されたが,CがAに対して詐欺を行った第三者詐欺の場合でも,Aから詐欺者Cへの取消しの意思表示ではなく,AからBに意思表示する必要があります。

 

解説はここまでです。 読んで頂きありがとうございました!

※前条の解説はこちらです。

※次条の解説はこちらです。

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