今回は民法121条を3分でわかりやすく解説します。
※当シリーズは条文が持つ効力を個性として捉えた表現で解説しています
※赤文字は,試験対策として絶対に知っておくべき単語・用語です
※太文字は,解説中で大切なポイントです
※本記事は2020年4月1日施行の民法改正に対応しています
取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。
民法 第121条【取消しの効果】
条文の性格
行為を取消した場合に,その効果がどうなるのかを定めた,非常にシンプルな一文の条文です。
無効と取消しがどのような関係なのかを整理しながら理解しましょう。
条文の能力
無効と取消しの関係
法律用語の世界において,似ているが全く違う概念・用語として無効と取消しがあります。
無効とは,外観上では法律行為が存在するが,法律効果を発動すべきでない事情があるために,その効果が発生しないことです。
一方の取消しとは,一旦は法律行為に従った法律効果が発動はするものの,取消し原因が有り,かつ取消権者が取消しの意思表示をした場合に,はじめに遡って無効となることです。
したがって,無効も取消しも,結局のところ,行き着く先は『無効』なのです。
本記事の冒頭で,無効と取消しが似ていると言いましたが,それは,無効でも取消しでも,どちらを経ても最終的な状態は無効である点を言っていたのです。
この点は,以下の状態変化に関する関係から整理・理解できます。
- ①無効: はじめから無効→初めから無効 ※すなわち常に無効
- ②取消し: 有効→(取消し)→初めから無効
民法121条は,上記の②について定めた条文です。
取り消された行為は,初めから無効
取り消された行為は,取消しの意思表示をした時から無効では無く,初めから無効になります。
つまり,取消しの効果は遡及するわけです。
コメント
ちなみに,取消しの意思表示は相手方の承諾を必要としない単独行為です。(相手方のある単独行為)
また,特別な方式が指定されている場合を除いて,取消しの意思表示は口頭でも文書でもOKです。
解説はここまでです。 読んで頂きありがとうございました!
※前条の解説はこちらです。
※次条の解説はこちらです。