テキストでも,基本書でも,実務でも,めちゃくちゃ影薄いけど,永小作権ってどんな権利なの?
本記事は,民法270条の永小作権の内容や,地上権との違いについて解説しています。
事の信頼性
本記事は,4ヶ月の独学で試験に一発合格した当ブログの管理人の伊藤かずまが記載しています。
現在は,現役行政書士として法律に携わる仕事をしています。
参考:独学・働きながら・4ヶ月・一発(202点)で行政書士試験に合格した勉強法
参考:筆者を4ヶ月で合格に導いた超厳選の良書たち
読者さんへの前置き
※赤文字は,試験対策として絶対に知っておくべき単語・用語・概念・考え方,その他重要ポイントです
※太文字は,解説中で大切なポイントです
※本記事は,2020年4月1日施行の民法改正に対応しています
結論:永小作権は,他人の土地で耕作又は牧畜をできる権利
永小作人は、小作料を支払って他人の土地において耕作又は牧畜をする権利を有する。
民法270条 【永小作権の内容】
用益物権のうちのひとつである永小作権は,“小作料を支払って”,他人の土地で耕作や牧畜(農業)ができる権利です。
(行政書士・宅建・公務員試験対策としては憶えなくてよいですが,地上権と永小作権の他人の土地利用の目的という観点では,ざっくり以下の基準で分けられるくらいの認識でOKです。)
- 地上権 :他人の土地で,建物・立木を“単純に”所有する
- 永小作権 :他人の土地で,耕作・牧畜など,農業的な目的で使用する
試験では,用益物権たちの横断理解をよく問われるため,下図の内容は憶えておきましょう。
解説:小作料の支払いは必須
永小作権で押さえておくべきポイントを整理
永小作権は,試験ではあまり問われないマイナー分野です。
仮に出題されても,憶えるべきポイントはほぼ限られていて,主に「他の用益物権たち(地上権・地益権)との微妙な規定の違いは憶えてる?」という知識が問われます。
以下に,ざっくりと横断理解すべきポイントをまとめておきますので,定期的に(または試験直前期に)本記事を見返して,暗記しておきましょう。
地代(小作料)が必須か
永小作権のみ,地代(小作料)の支払いが必須です。
用益物権たち(地上権・永小作権・地役権)の,それぞれの内容を定める条文に,“永小作権のみ『地代(小作料)を支払って』と書かれている”ことが,上図のように理解されている根拠とされています。
地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。
民法265条 【地上権の内容】
永小作人は、小作料を支払って他人の土地において耕作又は牧畜をする権利を有する。
民法270条 【永小作権の内容】
地役権者は、設定行為で定めた目的に従い、他人の土地を自己の土地の便益に供する権利を有する。(以下,略)
民法280条 【地役権の内容】
存続期間
地上権・地役権は永久設定が可能,永小作権のみが永久設定不可です。
※“永”という字がついている永小作権だけが永久設定できない,と憶えましょう。
物権的請求権
物権的請求権において,下図のとおり,“地役権のみ,返還請求権を有しません”。
※地役権のみ,返還請求権を有しない理由は,こちらで解説しています。
抵当権の設定
民法369条2項より,地上権・永小作権は抵当権の目的にできます。
一方で,民法369条2項に書かれていないことから,地役権は抵当権の目的にはできません。
解説はここまでです。 読んで頂きありがとうございました!
※前条の解説はこちらです。
(2022年7月現在 執筆中!)
※次条の解説はこちらです。
参考文献など
参考文献
この記事は以下の書籍を参考にして執筆しています。 より深く理解したい方は以下の基本書を利用して勉強してみてください。 必要な知識が体系的に整理されている良著なので,とてもオススメです。
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最後まで読んでくださり,ありがとうございました。