第7章 留置権

行政書士・宅建対策!引換給付判決とは一体なにか?わかりやすく解説

2022年4月10日

伊藤かずま

国際行政書士(第21190957号)
宅地建物取引士合格(未登録)
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ウリム

民法の勉強をしていたら留置権あたりで引換給付判決の話がでてきました。 引換給付判決って何? そもそも,なんで引換給付判決の知識を憶えなければいけないの?

本記事は,以上の疑問について解説しています。

 

記事の信頼性

本記事は,4ヶ月の独学で試験に一発合格した当ブログ管理人の伊藤かずまが記載しています。
現在は,現役行政書士として法律に携わる仕事をしています。

参考:独学・働きながら・4ヶ月・一発(202点)で行政書士試験に合格した勉強法
参考:筆者を4ヶ月で合格に導いた超厳選の良書たち

 

読者さんへの前置き

赤文字は,行政書士・宅建・公務員試験対策として絶対に知っておくべき単語・用語・概念・考え方です
太文字は,解説中で大切なポイントです
※本記事は,2020年4月1日施行の民法改正に対応しています

 

結論:引渡給付判決は訴訟経済からの要請

物の引渡しを求める訴訟において,ただ単に引渡し請求を棄却するだけでは事態が何も進展せず,訴訟経済に反するため。

 

解説:棄却することが事態を進展させないことに注目しよう

民事訴訟や刑事訴訟の範囲に片足をつっこむのですが,訴訟経済という考えが存在します

訴訟を行うにあたり,裁判所や当事者たちの労力・時間・お金の負担をできるだけ小さくしようという考えです。

この訴訟経済という考えが,民法の留置権や同時履行の抗弁権と関連してきます。

ある物を相手(被告)が占有していて,それを返して欲しい人(原告)がいて,「返してくれ」と裁判所に訴えたとします。

この返してくれという請求に対して,返してくれと請求されている物について,占有し続ける根拠として留置権(同時履行の抗弁権でもOK)を,被告が持っている場合を考えてみましょう。

留置権も同時履行の抗弁権も,相手が債務の履行をしない場合は,物を手元にキープすることができる権利です。

したがって,被告が留置権(又は同時履行の抗弁権)を有効に保有する場合は,原告の返してくれ請求は認められないので,この請求は棄却されることになります。

棄却とは,原告の訴えについて,裁判所が,理由が無いとして無効の言い渡しをする(原告の敗訴という結果になるという)ことです。

つまり,相手方の留置権(又は同時履行の抗弁権)によって,原告の返してくれ請求は,返してくれという理由がないとして認められないというわけです。

イメージとしては…

裁判所「残念,返してくれという請求できる理由がないから,君の請求は無効ね」

原告「ちくしょー!」

という感じでしょうか。

ここで,このような場合において,訴訟経済を考慮したときに,原告の請求をただ単に棄却することが,裁判所として正しい判断なのかが問題となります。

この点について判断した判例が,最判昭33.3.13です。

判例では,物の引渡しを求める訴訟において,留置権(又は同時履行の抗弁権)の主張が認められる場合は,請求棄却ではなく,その債務の弁済と引き換えに,物の引渡しを命ずるべきものと判断しています

つまり,原告が代金などを支払っていなくて,相手方に留置権が認められているような場合,原告は当該代金債務を被告に支払い,被告は物を原告に引き渡すことを命じる判決を,裁判所はするべきということです。

そして,この物の引き渡しと債務の給付の義務を双方が負担し,同時に履行せよという判決を引換給付判決と言います。

留置権や同時履行の抗弁権の趣旨は,債務の履行を確保し,当事者間の公平を確保することにあります。

裁判所が判決によって,引渡し義務と給付義務を同時に履行することを当事者に課すことで,当事者間の公平が確保できます。

また,ただ単に原告の請求を棄却して終わりにするよりも,引換と給付のお互いの債務の履行を命ずることで,紛争の解決に大きく判決が資することから,当該訴訟においては棄却ではなく,引換給付判決をするべきものとされているのです。

 

参考文献など

この記事は以下の書籍を参考にして執筆しています。 より深く理解したい方は以下の基本書を利用して勉強してみてください。 必要な知識が体系的に整理されている良著なので,とてもオススメです。

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最後まで読んでくださりありがとうございました!

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