コラム

憲法:国民の三大義務【権利と義務はトレードオフ】

2021年2月18日

伊藤かずま

国際行政書士(第21190957号)
宅地建物取引士合格(未登録)
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憲法の大きな目的のひとつは「国家権力を抑えこみ、国民の権利を守ること」です。

憲法は私たち国民の人権や平等権など、たくさんの権利を守ってくれているんでしたね。

でも実は、憲法は国民にとって良いことだらけの権利だけを定めているわけではありません。

私たち国民に対して「日本国民なら、これは絶対にやらないといけないよ」という義務も日本国憲法は定めています。

義務と聞くとなんだか重い感じがして嫌ですね。 でも安心してください、私たちに課されている義務はたったの3つです。

ものすごい数の権利を守っている憲法が、私たちに義務として課しているのは、たった3つです。

その分、3つの義務はどれも日本という国を支えるとても大切なものです。

今回は国民の3つの義務を整理していきましょう。

①子供に教育を受けさせる義務

もし今、これを読んでいるのが中学生の学生さんだったなら義務教育と呼ばれる段階ですね。

義務教育って言葉だけだと、学生は勉強することが義務のように聞こえますが実は違います。

義務教育という言葉の意味は「親が自分のこどもに小学校入学~中学卒業までは学校に通わせて教育を受けさせなければいけない」です。

なので実は、こどもの教育・勉強に関しては親に責任と義務があるのです。

「おおお!じゃあ勉強を絶対しなくちゃいけないわけじゃないんだ!やったー!」ってはむ助が小学校の頃、本当に思いました笑

そして中学3年生の部活引退まで、部活一筋の学生になっていきました笑

勉強は自分の可能性を広げられるゲームのようなものです。

勉強が出来るというだけで、進学先の高校はぜーんぶの学校から自分が行きたい学校に行けます。 茶髪でも金髪でもピアスしててもOKな学校だって選んで進学できます。

勉強して損をすることはありません。

ぜひ国民の義務だからではなく、自分の未来への投資として勉強に取り組んで欲しいと思います。

②勤労の義務

これは義務教育が終わって以降、進学しない人は何かしら仕事に就いて、労働をしないと

いけない義務です。

みなさんのお父さん・お母さんがお仕事されている家庭も多いと思います。

もちろん、お金を稼がないと生きていけないっていう社会の仕組み的な理由も大きいと思います。

理由はどうであれ、結果的に仕事をしているわけですから立派に国民として義務を果たしています。

お父さん・お母さんはちゃんと国民の義務を果たしている立派な存在なんですよ。

自分のお母さんは主婦だから働いてないけどいいの?って方もいらっしゃると思います。(お父さんの場合は主夫)

結婚している場合は、配偶者のお給料で生活していける・小さな子供がいて働けないなど色々な事情を考慮して主婦(主夫)でもOKです。

家事や育児を担当することで、配偶者が仕事に専念できるサポートをしていることになります。 間接的に仕事をサポートしていることになるからです。

ちなみに配偶者とは、結婚相手のことです。 あなたが女性なら配偶者=旦那さん、あなたが男性なら配偶者=お嫁さんです。

③納税の義務

納税の義務というのは、税金を国へ納める義務です。

税金は、日本という国を運営するために使われるお金です。

国民が稼いだお金から、国民みんなが税金として国にお金を渡して、内閣や国会がそのお金を使って国を発展させるシステムです。

日本にはものすごくたくさんの種類の税金が有ります。

学生でも払うもので1番有名な税は消費税でしょうか。 これは、お金を使ったら支払う税金です。

働いてる人たちで1番身近な税金は所得税でしょうか。 これは、お金を稼いだら支払う税金です。

お金を使っても、稼いでも税金を払う必要があるわけです。 ちょっと納得いきませんよね笑 でも、なんで私たちのお給料に手を突っ込んでまで国は税金を欲しがるのでしょうか?

それは、税金というのは国民みんなが使うものに使われるからです。

学校へ行く時の通学路を少し思い出してみてください。

アスファルトの道、信号機、歩道、ガードレール、橋、横断歩道…、これらは全て税金で作られています。

昨日まで森だったのに、誰も何もしてないのに、いきなり信号機の有る交差点になったりしないですよね。

私たちが便利に暮らせるように、環境を整えることが国の仕事です。 でも、それにはものすごいたくさんのお金が必要なんです。

そこで、税金というかたちで日本国民全員からお金を集めて、そのお金で国民に必要なものを作ったりしているのです。

ちなみに、お給料から国へ払う税金の割合は、大体お給料の10~15%くらいです。

月にお給料が30万円だったら約3万円くらいは税金で国へ渡さないといけません。 た、高い…。

でも実はお金持ちの人はもっと払わないといけません。

約50%くらい、なんとお給料の半分も税金で国に持って行かれてしまいます!

月に3億円お給料貰ったら、1億5,000万円くらいを税金で国へ渡します…。 お金持ちへの道は険しいですね…。

このようにお金をたくさん持っている人からたくさん税金を徴収し、貧しい人からの税金は少なくする仕組みを累進課税制と言うので憶えておきましょう。

権利は義務を果たした人だけが使える?

権利と義務はいつもペアになって語られます。

「権利を主張するなら義務を果たすべき」と言うように、権利と義務は表裏一体です。

よく家庭のマイルールなどである「宿題が終わったら、ゲームしてOK」が有ったとします。(ちなみにはむ助が小学生の頃の、お母さんとのルールがこれでした)

これも宿題という義務を果たしたら、ゲームしてOKという権利を得るので、権利と義務の関係ですね。

一般的には、義務を果たさないと権利は与えられないという考え方が根強いです。 はむ助もこのような権利と義務の考え方に異論はありません。

ところが、憲法における権利と義務の関係だけは少し違います。

「義務を果たせなくても、権利を保証する」というスタンスが、憲法における権利と義務の関係です。

憲法が権利と義務において一般論と異なる理由は次の通りです。

  • 義務を果たしたくても果たせない人が世の中にはいるため
  • 憲法における権利は、人間が生まれ持っているものという考えのため

この2つの理由を順番に見てみましょう。

義務を果たしたくても果たせない人が世の中にはたくさんいる

例えば、交通事故で大ケガしたり、うつ病でしばらく仕事ができなくなってしまった人がいたとします。

つまり、仕事をして勤労の義務を果たしたいのに、義務が果たせないという状況です。 それでは、この人の権利はどうすれば良いでしょうか。

一般論では、義務を果たしていないので権利を持っていないことになります。 すなわち、この働けない人の人権などは保護する必要が無いことになります。

極論言えば人権が無いのですから、この働けない人は殺されても文句言えないわけです。

それはあまりにも残酷な世の中になってしまいます。 ケガや病気になった瞬間に人間扱いされなくなってしまう世界では安心して暮らすことなんてできませんよね。

一般論のみの解釈では、とても生き辛い世の中になってしまうのです。

憲法における権利は、人間が生まれ持っているものと考える

憲法が守っている権利というものは人権や自由権・平等権という、人間が生まれた時から持っている権利たちです。

人間が生まれた時から持っている権利なのですから、後から発生する教育を受けさせる・勤労・納税の義務を守れなかったとしても人間から奪いとることは憲法の役割とは逆の結果になります。

憲法は国民の権利を守ることが目的のひとつです。

その憲法が義務を定めているからと言って、義務を果たせない時に権利を国民から奪ってしまっては憲法の存在意義が無くなってしまいます。

日本国憲法の三大原則のひとつに基本的人権の尊重があります。

つまり、日本国憲法は人間が生まれた時から持っている権利(=基本的人権)を、認めて大切に扱う(=尊重する)という原則を持っています。

ここで一般論で考えてしまうと、この大原則すら無意味になってしまいます。

ここまで見てきた、

  • 義務を果たしたくても果たせない人が世の中にはいるため
  • 憲法における権利は、人間が生まれ持っているものという考えのため

これらの2つの理由によって、日本国憲法においての権利と義務の関係は「義務を果たせなくても、権利を保証する」というスタンスになっています。

ここで大切なのは「義務を果たなくても、権利を保証する」ではありません。

義務を果たなくても、権利を保障する」です。

たった一文字ですが大きく違います。

「果たさなくても」はただの甘えです。

最近、生活保護などの不正受給が問題になっていますが、努力もせずに制度に甘えて義務を果たさないのはダメです。

しかし、一方で「果たせなくても」は、努力をしたという過程を含んでいます。

努力したけど、一生懸命頑張ったけどダメだった…。

そういう人にはたとえ義務を果たせなかったとしても、権利を保護し、救いの手を差し伸べる国家・世の中であって欲しいとはむ助は思い、願っています。

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