コラム

超強固な日本国憲法

2021年2月17日

伊藤かずま

【告知】夏コミC104出展します!

国際行政書士(第21190957号)
宅地建物取引士合格(未登録)
事務所HPはこちら

初学者&独学&4ヶ月&一発合格(202点)で行政書士試験に合格しました。
読者さまからのコメントにあった『本当の意味での初学者にとっての解説書』を完成させるべく,本サイトを運営中。

私たち、日本に住む人たちの全てのルールをつかさどる日本国憲法ですが、もしも私たちが生活していくうえでどうしても不都合なルールが出てきてしまった場合はどうすればよいのでしょうか。

憲法は日本におけるどんなルールよりの上のランクに位置する親分です。 そんなルールを変更するなんてできるのでしょうか?

実はできます。 憲法に書いてある内容を変更してもOKと、日本国憲法自身が変更OKのルールを定めています。(第96条)

ただ、日本国憲法は日本における全てのルールの頂点に位置しているとっても大切なルールです。 そんな憲法がコロコロと、その時の気分で変更されてしまうと国民の生活は混乱と不安に支配されてしまいます。

日本が戦争をしないと憲法にも書いているからこそ安心、安全に生活しているのに、「やっぱりあの国の領土欲しいから明日から戦争するわ」なんて言い出されたら大混乱です。

なので、日本国憲法は変更できるルール自体は用意していますが、憲法を変えようとしても変えるためには、ものすんごーく大変で難易度の高い条件をクリアしなければいけません。

その難しさはどれくらいかというと、あまりに難しくて2019年で日本国憲法は誕生から73年になりますが、一度も日本国憲法のルールは変わっていません。

このようにルール変更をするのがとても難しい強固な憲法を硬性憲法(こうせいけんぽう)といいます。

一体なにがここまでルール変更を難しくしているのでしょうか?

憶えるべきポイントが4つありますので、今回の記事で憶えてしまいましょう。

超難関 憲法改正への道

日本国憲法の改正、すなわち憲法のルール変更を行うには4つのステップを経て行います。

まずは4つのステップを見てみましょう。

  1. 衆議院・参議院の両方の総議員の3分の2以上の賛成
  2. 国会が憲法の改正を発議
  3. 国民投票を行い、有効投票で過半数の賛成
  4. 天皇が国民の名で公布

憲法改正まで4つのステップがありますが、実はステップ2と4はただの手続きなのでこのステップに到達したら自動的にクリアになります。

よって実際に憲法を改正するために越えなければならない壁はステップ1.と2.の2つのみです。

たった2つの壁ですが、70年以上一度たりとも憲法のルールが変わっていないことから、この2つの壁がいかに強力に憲法を守っているかわかりますね。

さらに言うと、70年以上経ちますが実はステップ1を通過しことすらありません。 2つの壁のうち、1つの壁も壊されていないのです。 進撃の巨人で簡単に壁が破壊されていましたが、こっちはそれ以上です。

ひとつずつ見ていきましょう。

衆議院・参議院の両方の総議員の3分の2以上の賛成

難しく書いてありますが、「国会議員全員の3分の2以上の賛成」です。

私たちが代表として選挙で選んだ人たちの3分の2以上が憲法のルールを変更することに賛成すればステップ1はクリアです。

しかしながら、さっきも書いた通り、このステップさえクリアしたことはありません。

見た目以上にこれは難しい条件なのです

理由のひとつに、偏った政治にならないように国会議員は色んな考えの人たちがバラけて当選しやすいように選挙のルールが工夫されています。 

よって憲法のルールを変更したい国会議員がいても仲間が集めにくいのです。 したがって国会議員全員のうち憲法改正に賛成している人を3分の2以上用意するのはかなり難しいのです。

まだ一度も実現してませんが、ステップ1をクリアしたとして先に進みましょう。

国会が憲法の改正を発議

これはただの手続きです。

「国民みんなが選んだ代表者である国会議員の中では憲法改正で同意できたよ。 変更してもOKか国民投票するからみんなの意見を聞かせてね」と国民に向けて発表するステップです。

国民投票を行い、有効投票で過半数の賛成

憲法のルールを変えても良いか、国民投票を行います。

ここのポイントは有効票のみで判断することです。 「わかりません」や「何も書かずに投票」したものは無効票となり無視されます。

ここの国民投票において、有効票の中で過半数が憲法のルール変更に賛成した場合に、憲法のルールが変更されることが確定されます。

天皇が国民の名で公布

ここも単純な手続きです。

天皇が国民の代表として、公布して正式に新しい憲法の誕生です。

まとめ

以上の4ステップが憲法改正の手順です。

流れは短く、簡単ですが見た目以上に難易度が高いのが特徴です。

しかし、70年で一度も変更されないくらい難易度が高い変更ルールを用意するくらいなら最初から変更なんて認めなければ良いのでは?という疑問を抱くかもしれません。

しかし、憲法が時代に合わせて進化できるための仕組みを用意しておくことが大切なのです。

日本国憲法が誕生した70年前はどんな時代でしょうか。 テレビも無ければ、スマホもありません。 YouTubeも無いし、TickTokもありません。 当然SNSもありません。

日本国憲法誕生の時にはプライバシーなんて言葉もありませんでした。

憲法に書かれていることは変わりませんが、時代はものすごい勢いで進化しています。 このまま時間だけが過ぎていくといつかは憲法が時代に取り残されてしまう可能性もあり得るのです。

よって日本国憲法は自分自身を時代に合わせて進化できる可能性を残しているのです。

最後に、憲法とは私たちの安心・安全を権力から守ってくれている大切な存在です。

国の権力者に都合の良いように憲法を改正するのではなく、憲法を変更するときが来た時は、憲法を時代に合った、より国民によりそった憲法へ進化するために憲法を変更するときであって欲しいですね。

  • この記事を書いた人
  • 最新記事

伊藤かずま

【告知】夏コミC104出展します!

国際行政書士(第21190957号)
宅地建物取引士合格(未登録)
事務所HPはこちら

初学者&独学&4ヶ月&一発合格(202点)で行政書士試験に合格しました。
読者さまからのコメントにあった『本当の意味での初学者にとっての解説書』を完成させるべく,本サイトを運営中。

-コラム
-