第5節 不在者の財産の管理及び失踪の宣告

民法:失踪宣告制度の意義 生死不明者の権利能力を失わせるものではない

2022年3月18日

伊藤かずま

国際行政書士(第21190957号)
宅地建物取引士合格(未登録)
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本記事は,無権代理が発生したときに,本人ができることをわかりやすくまとめています。

赤文字は,試験対策として絶対に知っておくべき単語・用語・概念・考え方です

太文字は,解説中で大切なポイントです

※本記事は2020年4月1日施行の民法改正に対応しています

結論

失踪宣告は,生死不明者を法律上死亡させる制度です。

失踪宣告制度の意義は,生死不明者の元所在地近辺の法律関係(相続etc)の整理をすることです。

したがって,『生死不明者を法律上死亡させる』の意味は,生死不明者の権利能力を奪うという意味ではないため,失踪宣告者は生存していれば有効に法律行為が可能です。

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解説

私たち自然人は,多かれ少なかれ財産を保有し,多くの人と身分行為上(婚姻など)・財産上(借金など)で関係を有しています。

これらの関係は,死亡をトリガーとして,相続という制度を介して清算されるのが日本の今の制度です。

つまり,日本においては,死後に財産などの清算を行うためには,人の死亡というきっかけが必要であり,『死亡』が確定しない場合,いつまで経っても清算制度である相続は始まらないことになります。

そうなると,色々と不都合なことが発生します。

生死不明者の家族(配偶者や子ども)は,生死不明者の残した財産を勝手に処分できません

遺されて,生活が苦しくても,生死不明者の財産であるお金などを勝手に使うことは許されないのです。(所有権絶対の原則)

また,遺された配偶者は,いつまで経っても再婚が出来ません。

この様に,生死不明のままの状態を放置することは,非常に不都合なことが多いのです。

したがって,民法は失踪宣告なる制度を用意し,失踪宣告された生死不明者は法律上死んだものとして,強制的に相続を発動する制度を用意しました。

上記の背景から,失踪宣告の意義は,生死不明者の元所在地あたりの法律関係の整理にあります。

よって,失踪宣告により,生死不明者の権利能力を剥奪し,実は生きていても契約など何も出来ないような,生きる屍状態にする制度ではありません

したがって,失踪宣告された者が実は生きていて,その者が失踪宣告後にスーパーで買い物(売買契約)などしていても無効になることはなく,有効扱いとなります。

最後まで読んでくださりありがとうございました。

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