連帯債務・連帯保証のような「連帯●●」が有名なのに,民法では分割主義が原則らしいけど...そうなの?
本記事は,民法は427条の【分割債権及び分割債務】について,初学者の方に向けて図を用いてわかりやすく解説しています。
本条の理解のためのポイントは,①分割主義がどのようなものか?・②分割主義が適用されることで着地する”独立”状態がどのようなものか?の2つです。
本記事を読むことで,以下を達成できるように執筆しています。
- 民法が分割主義を原則に採用していることがわかる
- 分割主義がどのようなものか知ることができる
記事の信頼性
本記事は,4ヶ月の独学で行政書士に,2週間の独学で宅建に一発合格した当ブログの管理人の伊藤かずまが記載しています。
現在は,現役行政書士として法律に携わる仕事をしています。
参考:独学・働きながら・4ヶ月・一発(202点)で行政書士試験に合格した勉強法
参考:筆者を4ヶ月で合格に導いた超厳選の良書たち
読者さんへの前置き
※赤文字は,試験対策として絶対に知っておくべき単語・用語・概念・考え方,その他重要ポイントです
※太文字は,解説中で大切なポイントです
※本記事は,2020年4月1日施行の民法改正に対応しています
※本ブログでは,記事内容を要約したものを先に【結論】としてまとめ,その後【解説】で詳細に説明をしていますので,読者さまの用途に合わせて柔軟にご利用ください!!
【結論】民法は分割主義を採用している!
民法427条 【分割債権及び分割債務】
数人の債権者又は債務者がある場合において、別段の意思表示がないときは、各債権者又は各債務者は、それぞれ等しい割合で権利を有し、又は義務を負う。
民法典が,多数当事者の債権債務関係において,分割主義を原則としていることを定める条文です。
分割主義が適用されると,その後は1対1の債権債務関係となり,分割後の各債権債務関係は互いに完全に”独立”し,相互干渉することはありません。
【解説】分割主義適用後は”独立”している!
連帯債務をたくさん勉強するから勘違いしやすいけど...民法=分割主義
本条文は,民法が“①多数当事者の債権債務関係”においては,“②分割主義”を採用していることを規定しています。
まず,①多数当事者の債権債務関係とは,1個の給付について債権者又は債務者が複数人存在する場合をいいます。
次に②分割主義とは,当事者間で何の取り決め(=意思表示)がなければ, 原則として,給付を各債権者又は債務者で等分し,それぞれ“独立に”帰属するルールのことです。
そして冒頭のとおり,民法は,この分割主義を採用しています。
「連帯債務」や「連帯保証」という言葉を普段の生活でよく耳にするけど…民法は分割主義なの?
そのとおり!
資格試験対策や一般の生活では「連帯保証」のように“連帯”関係の方が良く耳にするから勘違いしやすいけど,民法の原則は分割主義なんだ!
そうなのか,勘違いしてた...。
分割主義ではなく,連帯債務・連帯保証のような“連帯”関係を結ぶには,必ず意思表示が必要だから気をつけてね!
意思表示をしない限り,必ず分割主義になるからね!
分割主義適用後は“独立”ということをしっかり意識すること!
※複数人存在するのが債権者でも債務者でも内容に差はありませんので,ここからは債務者が複数人存在するケースを例にして解説します。
分割主義では,給付を各債務者で等分し,それぞれ“独立に”帰属するものですが,この“独立に”ということをしっかりおさえておくことが大切です。
“独立に”というのは,分割した後の債権債務関係は,分割後のそれぞれの債権においては,1対1の関係であり,他の債務者は一切無関係の存在になるということです。
この“独立に”を理解するために,分割主義が適用される流れを図で確認しましょう。
このように,3つの債権者対債務者の債権債務関係ができあがります。
- 債権債務関係Ⅰ: 債権者 対 債務者A
- 債権債務関係Ⅱ: 債権者 対 債務者B
- 債権債務関係Ⅲ: 債権者 対 債務者C
そして,この3つの債権債務関係は完全に独立していて,他の関係に影響を与えることはなく,お互いに全く干渉しません。
あれ...? ”多数当事者の”債権債務関係はどこいった?
分割主義は,“多数当事者の”債権債務関係の分野で出てくる概念なんだけど,分割主義適用後のゴールとしては,単純な1対1の債権者・債務者の関係になるんだ!
なので”独立に”というニュアンスをしっかりおさえておいてね!
解説はここまでです。 読んで頂きありがとうございました!
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※次条の解説はこちらです。
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参考文献など
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最後まで読んでくださり,ありがとうございました。