囲繞地通行権って一体になに?
なんでそんなよくわからん権利があるの?
本記事は,民法210条の囲繞地通行権と,その存在理由を解説しています。
記事の信頼性
本記事は,4ヶ月の独学で試験に一発合格した当ブログの管理人が記載しています。
現在は,現役行政書士として法律に携わる仕事をしています。
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読者さんへの前置き
※赤文字は,試験対策として絶対に知っておくべき単語・用語・概念・考え方,その他重要ポイントです
※太文字は,解説中で大切なポイントです
※本記事は,2020年4月1日施行の民法改正に対応しています
結論:他人の土地を通行しないと入れない土地の価値を護る
1 他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができる。
2 池沼、河川、水路若しくは海を通らなければ公道に至ることができないとき、又は崖があって土地と公道とに著しい高低差があるときも、前項と同様とする。
民法210条 【公道に至るための他の土地の通行権】
囲繞地通行権は,周りを他人の土地で囲まれて公道に接していない土地(下図のA)の所有者は,公道に出るために周りの他人の土地を通行できる権利のことです。
図のDを通行して公道に出る赤矢印が囲繞地通行権です。
囲繞地通行権が認められる理由は,囲繞地通行権を認めないと,公道に接しない土地の利用・資産価値が大きく低下してしまうので,有限である日本の土地の有効活用が阻害されるためです。
解説:囲繞地通行権は,利用不可能な土地を生み出さないための所有権の効力により認められる
ある人の土地に,赤の他人が足を踏み入れることは許されません。
その土地を利用できるのは,その土地の所有者のみだからです。(民法206条)
ところが,土地は,基本的に他の土地と接している特性を持つことから,その周り全てが他人の土地に囲まれてしまっている…なんて状態も起こりうるのです。
下図で言うところのAの土地です。
この場合,Aの土地の持ち主は,どうやってこの土地に立ち入れば良いでしょうか?
「ジャンプすればよくね?」「地下道掘れば入れるくね?」と思っても,残念ながら民法207によって,上空・地下に対しても所有権の効力が及ぶので,ジャンプも地下道も解決策になり得ません。
そうなると,周りを他人の土地に囲まれて土地の価値はどうなるでしょうか?
自分の土地なのに,近づくこともできないため,その利用価値はゼロに等しいことになります。
すると,誰もそんな土地を欲しがらないので,全く持って価値の無い存在となってしまいます。
日本の国土も有限であるため,そんな無価値な土地があちこちで乱立してしまうことは,かなりの経済的損失を生み出します。
そこで民法は,本来は他人の土地を利用することはできませんが,特別に“公道に出るために必要な通行”のためならば,他人の土地を通ってOKという制度を用意しました。
これを囲繞地通行権と言います。
これは相隣関係の一種であり,他人の土地に囲まれた土地の利用のため,周りの土地の所有権の効力を一部制限することで,利害関係の調整を行っているのです。
※前条の解説はこちらです。
※次条の解説はこちらです。
参考文献など
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