準消費貸借という契約?が存在するらしいですが,これは消費貸借とはなにが違うんですか?
本記事では,準消費貸借がどのようなものかについて,事例を用いてわかりやすく解説しています。
本記事を読むことで,以下を達成できるように執筆しています。
- 準消費貸借がどのようなものか理解できる
- 準消費貸借が成立する事例を知ることができる
記事の信頼性
本記事は,4ヶ月の独学で試験に一発合格した当ブログの管理人の伊藤かずまが記載しています。
現在は,現役行政書士として法律に携わる仕事をしています。
参考:独学・働きながら・4ヶ月・一発(202点)で行政書士試験に合格した勉強法
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読者さんへの前置き
※赤文字は,試験対策として絶対に知っておくべき単語・用語・概念・考え方,その他重要ポイントです
※太文字は,解説中で大切なポイントです
※本記事は,2020年4月1日施行の民法改正に対応しています
【結論】準消費貸借は"後から消費貸借!"
民法588条 【準消費貸借】
金銭その他の物を給付する義務を負う者がある場合において、当事者がその物を消費貸借の目的とすることを約したときは、消費貸借は、これによって成立したものとみなす。
準消費貸借は,何かしら消費貸借以外の事情で,金銭などを渡さなければならない者がいるとき,後から,当事者たちが渡さなければならない金銭を貸していることにして,消費貸借と同様の法律関係を構築することです。
たとえば,売買契約が成立し,商品の引渡しは終わっているが,商品代金の支払いがまだのとき,その代金を貸していることにして借金に変更するような場合が,準消費貸借です。
※準消費貸借を理解するには消費貸借の理解が前提です。 消費貸借については,こちらで詳しく解説していますので,あわせて読んでみてください!
【解説】準消費貸借と消費貸借は同じもの
準消費貸借は“後から消費貸借!”
準消費貸借は,“準”すなわちサブ的な消費貸借のことです。
なぜサブ的なのかと言うと,本来は消費貸借じゃないのに,後から消費貸借を成立させるからです。
もちろん,この世のどの様な状況も消費貸借にできるわけではありません。
準消費貸借を成立させられる要件は条文に書かれています。
民法588条 【準消費貸借】
①金銭その他の物を給付する義務を負う者がある場合において、②当事者がその物を消費貸借の目的とすることを約したときは、消費貸借は、これによって成立したものとみなす。
すなわち,以下の2つが揃うことが準消費貸借の成立要件です。
- ①:金銭その他の物を給付する義務を負う者がある場合であるとき
- ②:当事者がその物を消費貸借の目的とすることを約したとき
つまり,金銭等を他人に渡す義務を負っている人という存在が必要です(①)。
そして,①を満たした上で,①を負っている義務者と,それに対応する権利者の両名が合意する必要があります(②)。
ちなみに,条文の最後に注目すると,『消費貸借は,これによって成立』と書かれています。
民法588条 【準消費貸借】
金銭その他の物を給付する義務を負う者がある場合において、当事者がその物を消費貸借の目的とすることを約したときは、消費貸借は、これによって成立したものとみなす。
条文の題名は「準消費貸借」とあるのに,条文中には「消費貸借が成立」とあるのですね!
その通りです。
なぜなら,準消費貸借とは,消費貸借と別物なわけではなく,成立する過程が純粋な消費貸借とは違うため,消費貸借と区別するための呼び名なのです。
つまり,準消費貸借=消費貸借であり,両者は全く同じものとなります。
準消費貸借の具体例
ここまでで準消費貸借がどのようなものなのかと,その成立要件を説明してきました。
最後に,準消費貸借の具体例を確認しておきましょう。
準消費貸借の代表的な例は,「売買代金の支払いを,借金に変更する」パターンです。
指輪の売買契約が成立し,指輪が引き渡されたとしましょう。
その場合でも,商品代金請求権は残り続けます。
それはつまり,商品代金を支払う義務は残り続けるということであり,準消費貸借の成立要件①(金銭その他の物を給付する義務を負う者がある場合)に該当します。
そして,その後,買主がお金に困窮してしまったとしましょう。
このとき,両者が支払代金をBからAにお金を貸したことにして,借金に変更する合意をしたとします。
これで,準消費貸借の成立要件②(当事者がその物を消費貸借の目的とすることを約したとき)を満たしたことで,民法588条により準消費貸借が成立します。
解説はここまでです。 読んで頂きありがとうございました!
※前条の解説はこちらです。
※次条の解説はこちらです。
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参考文献など
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