第2節 意思能力

【法律行為を円滑にする潤滑油】民法3条の2:意思能力とは?わかりやすく解説

2021年2月22日

伊藤かずま

国際行政書士(第21190957号)
宅地建物取引士合格(未登録)
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私たちは,民法から権利能力・行為能力・意思能力の3つの能力を授けられていると聞いたことがあります。

そのうちの,意思能力とはどのようなものなのでしょうか?

今回は意思能力を定めている民法3条の2を、3分でわかりやすく解説します。

 

記事の信頼性

本記事は,4ヶ月の独学で試験に一発合格した当ブログの管理人が記載しています。
現在は,現役行政書士として法律に携わる仕事をしています。

参考:独学・働きながら・4ヶ月・一発(202点)で行政書士試験に合格した勉強法
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読者さんへの前置き

赤文字は,試験対策として絶対に知っておくべき単語・用語・概念・考え方,その他重要ポイントです
太文字は,解説中で大切なポイントです
※本記事は,2020年4月1日施行の民法改正に対応しています

 

条文の性格:意思能力なき法律行為は無効

法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。

民法 第3条の2【意思能力】

一個前の民法3条により、権利能力を有する者のみが、法律行為によって発生する権利・義務の主体になることができます

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権利は、ただ持っているだけでは宝の持ち腐れです。

他人に要求することではじめて、権利は、その真価を発揮します。

 

この民法3条の2は、その権利行使をするための意思表示をする際には、意思能力を有していなければいけないというルールを定めています

 

条文の能力:法律行為の危険性が判断できない人を守る条文

民法3条の2は、以下の赤字のとおり、難しい法学用語をたくさん含んでいます。

法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。

民法 第3条の2【意思能力】

以下のシチュエーションを例に、法律行為・意思表示・意思能力を少し解説します。

 

シチュエーション

母の法子さんは、3歳の娘である律子ちゃんを連れて、お昼ご飯のおにぎりを買いにコンビニに来ました。

法子さんは100円のおにぎり4個(総計400円)をレジに持って行き「これください」と店員さんに差し出し、お会計を済ませました。

帰ろうとした時、お母さんをマネしたのか、律子ちゃんがレジ前に置いてあった高級缶コーヒー1,500円を「これください」と店員さん差し出しました。

 

法律行為

法律行為とは、法的権利や法的義務を発せさせる行為のことです。

 

シチュエーションの、おにぎりの売り買いである売買契約が法律行為にあたります。

この売買契約という法律行為によって、母の法子さんはおにぎりを引き渡せと要求する権利を得て、逆に代金を支払わなければならないという義務を負うことになります

このように、権利を得たり、義務を負ったりする行為が、法律行為に該当します。

 

意思表示

意思表示とは、人が法律効果(法的権利や法的義務)の発生を欲し、かつ、そのこと発表・表明することです。

 

シチュエーションの、売主のコンビニ店員に対して、母の法子さんが「これください」と、おにぎりの売買契約の買主になるという自分の意思を表示している行為が意思表示にあたります。

「これください(=これ買います)」と、意思を表明することで、売買契約という法律行為の買主になること欲している旨を、相手に伝えることになります。

これに対し、売主のコンビニ店員さんが了承すれば、無事に売買契約(法律行為)が成立し,法律効果が発動します。

 

意思能力

意思能力とは、法律行為をした時に、自分の権利や義務がどのように変動するか理解できる能力のことです。

 

シチュエーションの、売買契約によって、おにぎり4個が手に入る権利を得るのに対し、400円払わなければいけない義務を負うことを理解できる能力のことが、意思能力です。

 

法子さんは育児もこなす大人なので、意思能力は問題なく有しているでしょう。

 

一方で、3歳の律子ちゃんはどうでしょうか。

3歳児が缶コーヒーを飲むとは思えないので、高級缶コーヒーを手に入れることの利益を享受できるとも思えませんし、1,500円の経済的価値を理解できるとも思えません。

そのため、律子ちゃんは意思能力はないと言えるでしょう

 

その他、意思表示を有しない例としては、泥酔者や認知症患者が該当します。

  

シチュエーションを3条の2にあてはめてみる

法子さんは、法律行為・意思表示・意思能力のすべて成立しているので、シチュエーションの売買契約成立は有効で間違いないでしょう。

 

一方で、律子ちゃんはどうでしょうか?

商品を差し出して「これください」と言っているため、法律行為・意思表示までは問題なく成立しています

ところが、前述のとおり律子ちゃんは意思能力は有していないため、民法3条の2『法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。』に該当し、律子ちゃんの缶コーヒーの売買契約は無効となります

 

長々と書きましたが、結局,民法3条の2は「自分がやろうとしている法律行為の内容が理解できない人がした法律行為は認めません!」ってことです。

 

解説はここまでです。 読んで頂きありがとうございました!

 

※前条の解説はこちらです。

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※次条の解説はこちらです。

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参考文献など

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この記事は以下の書籍を参考にして執筆しています。 より深く理解したい方は以下の基本書を利用して勉強してみてください。 必要な知識が体系的に整理されている良著なので,とてもオススメです。

 

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