第1節 権利能力

民法3条:権利能力とは?わかりやすく解説【権利能力平等の原則】

2021年2月21日

伊藤かずま

国際行政書士(第21190957号)
宅地建物取引士合格(未登録)
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権利能力っていう能力は何ができるものなの?

本記事は,民法3条に規定されている,権利能力の内容・権利能力を持てる者・権利能力の始期について解説しています。

 

本記事を読むことで,以下を達成できるように執筆しています。

  • 権利能力という概念の内容がわかる
  • 権利能力を持つことできるのは誰かがわかる
  • 権利能力を取得できるタイミングがわかる

 

記事の信頼性

本記事は,4ヶ月の独学で試験に一発合格した当ブログの管理人の伊藤かずまが記載しています。
現在は,現役行政書士として法律に携わる仕事をしています。

参考:独学・働きながら・4ヶ月・一発(202点)で行政書士試験に合格した勉強法
参考:筆者を4ヶ月で合格に導いた超厳選の良書たち

 

読者さんへの前置き

赤文字は,試験対策として絶対に知っておくべき単語・用語・概念・考え方,その他重要ポイントです
太文字は,解説中で大切なポイントです
※本記事は,2020年4月1日施行の民法改正に対応しています

 

今回は民法3条を3分でわかりやすく解説します。

条文の性格:権利能力は,例外なく全国民が持つ

1 私権の享有は、出生に始まる

2 外国人は、法令又は条約の規定により禁止される場合を除き、私権を享有する。

民法 第3条【権利能力】

 

民法3条は、人々に対して権利能力、すなわち、民法上の権利から発生する利益を享受したり義務を負う資格を等しく授ける条文です。(ただし、外国人は少しだけ制限がかかります。)

 

ゲームのRPGで、仙人だったり、精霊だったり、天使あたりの高貴な存在が、主人公に魔法の能力を授けれてくれたりしますが、そんな神聖なイメージですね。

 

3条1項を読むと、生まれた時から私権の享有をするのが”一体誰なのか”については書いてありませんが、私権を享有するのは自然人です。

自然人とは、私たち人間のことです。

 

つまり、民法3条1項は、『私権の享有は、出生に始まる。』という、非常に短い文章ながら以下の2点の趣旨を内包しています。

  1. 権利能力を持つことが出来るのは、生まれた全ての自然人である
  2. 身分の貴賎によって区別もしない

生きて産まれた全員に対して、平等に権利能力を授けるところに、前述しましたが神聖な雰囲気がありますね。

 

解説:生きている間は,権利能力を失うことは絶対に無い

民法3条は非常に短い条文ですが、試験対策上、大切なポイントをいくつも内包しているので確認しておきます。

 

権利能力

権利能力とは、民法上の権利から発生する利益を享受したり義務を負う資格のことです。

この権利能力が認められて初めて、法律上の権利を行使したり、法律上の義務を課されることができるわけです。

 

なので、自然人ではないペットのワンちゃん・猫ちゃんは権利能力を持たないため、契約取引の主体になって権利を行使したり、義務を課されることもありません。

また、自然人は出生した人間のことを言うため、出生する前の胎児におもちゃを売りつけて、売買契約をして、胎児に対して金払えなんて請求をすることも、売買代金を支払う義務を負わせることもできません。

 

※ただし、以下の3つだけは、産まれる前の胎児でも、生まれたものとみなし、権利能力があることにしています。

  • 不法行為による損害賠償請求
  • 相続
  • 遺贈

 

権利能力の始期

民法3条1項を読むと、『私権の享有は、出生に始まる。』とありますが、これは、胎児が母体から完全にでてきた時とされています。(全部露出説)

1 私権の享有は、出生に始まる。

2 外国人は、法令又は条約の規定により禁止される場合を除き、私権を享有する。

民法 第3条【権利能力】

 

胎児が母体から完全にでた事実があれば良く、出生届の提出の有無は関係ありません

届出が有ったか無かったかで、権利が手に入ったり手に入らなかったりは、当人の胎児が自力でなんとかすることもできないので不合理だからです。

 

権利能力の終期

権利能力の始期は前述のとおり、民法にしっかり記載されていますが、実は権利能力の終期=権利能力を失うタイミングは書いてありません。

通説で、死亡した時に権利能力を失うとされています

 

外国人の権利能力

まず、外国人とは日本国籍を有しない人のことです。

外国人は、「法令又は条約に禁止ある場合」は権利能力が認められないことが述べられています。(民法3条2項)

 

例えば、公務員の故意又は過失によって違法に損害を負った場合は、損害を負った日本人は無制限で国に損害賠償請求することが保障されています。

一方で外国人は、その外国人の国が、日本人の国家賠償請求を認めているなら、日本でもその国の外国人には国家賠償請求を認める。としていますので、外国人の権利能力は制限がかかっていることになります。

 

コメント

権利能力を誰にでも平等に授ける条文で、この条文のおかげで誰でも民法上の権利を行使しようと思えばできます。

生まれながらにして民法の加護にいる現代の私たちは実感しにくいですが、過去の歴史上では、貴族にのみ認められている権利が当たり前のように存在するような、不平等な時代・国はたくさんありました。

民法3条1項のたった14文字で、その歴史の反省点を克服しているところがかっこよく見えます。

 

解説はここまでです。 読んで頂きありがとうございました!

 

※前条の解説はこちらです。

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※次条の解説はこちらです。

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参考文献など

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この記事は以下の書籍を参考にして執筆しています。 より深く理解したい方は以下の基本書を利用して勉強してみてください。 必要な知識が体系的に整理されている良著なので,とてもオススメです。

 

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