今回は民法91条を3分でわかりやすく解説します。
※当シリーズは条文が持つ効力を個性として捉えた表現で解説しています
法律行為の当事者が法令中の公の秩序に関しない規定と異なる意思を表示したときは、その意思に従う。
民法 第91条【任意規定と異なる意思表示】
条文の性格
皆さんは社会の常識やルールに縛られるのは好きですか?
日本は法治国家なので、法やそれ以外にも慣習や道徳的同義に従って生きていかなくてはいけないのは仕方ない部分があります。
ただ、その私達を縛るルールがみんなにとって有意義なものなら良いのですが、全てのルールが納得のいかない「こんなんいらねぇだろ」的なものだったりすることもありますよね。
2021年にAdoさんが歌っている「うっせぇわ」がヒットしました。
その歌詞の中で、不合理で無意味そうな、人々が不満を抱えてそうなルールを例に挙げて糾弾している部分があります。
この歌詞が多くの人の心に響いたのを観ると、人間は納得のいかないルールにがんじがらめに縛られるのにはストレスを感じているのだと教えられます。
さて、今回の民法91条は、条件付きでは有りますが、上記のストレスの原因である納得のいかない民法のルールが有るなら、自分達でルールを変えて良いと言っています。
ルールを定める民法に属する民法91条が、まさかの自分達のルールを守らなくていいと言っている。
まさに異端者的な条文です。
条文の能力
民法91条は、民法の任意規定は国民個人個人でそのルールを好きに変えて良いよ、と言っています。
これを理解するには、次の3つのポイントを抑えておきましょう。
- 私的自治の原則
- 任意規定
- 強行規定
順に見ていきましょう。
私的自治の原則
私的自治の原則とは、私人間の法律関係すなわち権利義務の関係を成立させることは,一切個人の自主的決定にまかせ,国家がこれに干渉してはならないとする原則です。
つまり、国民個人と個人(法人含む)の契約などは、本人達の好きに決めればいいということです。
その私的自治の原則を最大限尊重するための役割を担っているのが民法91条です。
任意規定
任意規定とは、公の秩序に関しない定めで、法律について一定の定めはあるけれど、それと異なる合意や定めをした場合、その合意や定めが優先されるという法律の規定です。
例えば、委任契約では民法上のルールは無報酬ですが、委任契約する当事者達が納得してるなら有償で契約してOKです。(そしてまさにこの当事者同士で合意した行為を有効として許しているのが民法91条です)
委任契約を有償とするか無報酬なんて、公の秩序には影響しません。
本人達の好きにすりゃあええやん、俺(私)には影響無いしって感じですよね。
強行規定
強行規定とは、公の秩序に関するもので、法令の規定に反する当事者間の合意を許さず、必ず法令のルールを適用するとする規定のことです。
例えば、2021年9月現在、男子は18歳女子は16歳でなければ婚姻できません。
なので僕6歳と私5歳は愛し合ってるから婚姻する!と言ってもできません。
なぜなら、婚姻による成年擬制が発生して6歳と5歳の成年が存在するとなると、当の幼児たちは契約の取消権を失ってまだ幼いのにあらゆるリスクにさらされますし、見た目で成年・未成年の判断が不可能になり、「目の前のこいつは成年なのか…?未成年なのか…?」と社会が混乱します。
そのため、婚姻年齢を定める民法731条は公の秩序に大きく影響するルールなので、国民の一存で変えられない強行規定となります。
※参考
男は、18歳に、女は、16歳にならなければ、婚姻をすることができない。
民法 第731条 【婚姻適齢】
コメント
じゃあ、民法のどの条文が任意規定・強行規定なのかというと、実は書いてありません。
これは判例や学説を基にして判断して憶えていくことになります。
ただ、行政書士試験対策として、全ての条文をこれは任意規定、これは強行規定と憶える必要はないです。
勉強を進めていくと、「あ、これは任意規定だろう」みたいな感じで大体予想がつくようになりますので、一歩一歩頑張っていきましょう!