予備校で4ヶ月合格の短期講座や,ネットとかで「半年で合格!」ってよく見るけど,実際間に合うの?
本記事は,筆者自身が4ヶ月の独学で合格した経験から,短期で行政書士に合格するために必要な覚悟をお伝えしたいと思います。
本記事を読むことで,以下を達成できるように執筆しています。
- 短期合格に必要な覚悟がわかる
- 短期合格を目指すときに襲ってくる不安がわかる
- 短期合格に向けたマインドセットができる
記事の信頼性
本記事は,4ヶ月の独学で試験に一発合格した筆者が記載しています。
現在は,現役行政書士として法律に携わる仕事をしています。
参考:独学・働きながら・4ヶ月・一発(202点)で行政書士試験に合格した勉強法
参考:筆者を4ヶ月で合格に導いた超厳選の良書たち
行政書士に短期合格するには,3つの覚悟が必要
※本記事は,4~5ヶ月の短期合格を目指す人をメインに記載しています。 ただ,今まで勉強を続けてきた方にとっても,残りの数か月の過ごし方のヒントもあると思いますので,是非読んでいってくださると嬉しいです。
行政書士試験は,おそらくキチンと勉強し,時間をかけたのなら,誰でも合格する可能性のある試験と思います。
その意味で,「努力は裏切らない」は嘘ではないと思います。
ただ,実際に4ヶ月でゼロからスタートして合格した経験をした立場からすると,最近の,“あたかも行政書士試験は,4ヶ月くらいの勉強で合格できるのが当たり前”のような表現が用いられているのは,個人的にはどうなんだ?と思っています。
4ヶ月という時間は,ガチの初学者が「合格に必要な知識を頭に詰め込む」という観点では,ギリギリのデッドラインだろうな,とは考えています。
合格に必要な知識を頭に詰め込むという作業は,単純に1+1というような,知識を足し算的に積み上げていく作業ではないことを理解する必要があります。
人間は忘れる生き物だからです。
1+1+1+1+1を暗記して,4を忘れる…。
そんなことの繰り返しです。
そこで,安易な気持ちで短期合格を目指して爆死(お金を無駄に)しないように,私自身が4ヶ月の勉強で試験に合格した経験からお話できる“持つべき3つの覚悟”を,本記事でお伝え出来たらなと思います。
ネットでは「行政書士試験は簡単だ」なんて言われてますが,全体の約10%しか合格できない事実からして,簡単なんてことはありません。
どんな母集団を持ってきたとしても,その中で上位の10%に入るのは優秀な部類に属します。
正直に言って,4~5ヶ月で行政書士試験に挑むには,かなり大変です。
本記事は,不必要に不安を煽ることが目的ではなく,これから短期合格を目指す方に降りかかる苦痛・悩み・不安を事前にお伝えし,合格へのマインドセットを行うことを目的としています。
短期合格を目指して勉強を開始すると,過去に短期合格した事例を目にして「私(僕)は,あの人と同じように合格できるんだろうか…。」など,たくさんの不安が押し寄せてきます。
直前期には,一般知識の足切りが怖くて法令科目の勉強をしていていいのだろうか?という悩みが出てきます。
このように,避けられない不安・悩みが出てくることは確定しているので,それに打ち勝つためのマインドセットを,ここでしておきましょう。
まず,4~5ヶ月の短期で合格を目指そうとする場合は,筆者の経験から,次の3つの覚悟が必要と考えます。
- ①:試験に勝つためには,負け続けなければいけないことを受け入れる覚悟
- ②:周りに遅れをとっている事実に耐える覚悟
- ③:運に頼らない決意と準備をする覚悟
①:試験に勝つためには,負け続けなければいけない
例年11月に行われる行政書士試験の当日,合格点である180点以上を獲得することを“試験に勝つ”と表現します。
では,“試験に勝つ”には,試験日までに何をするかというと,問題に負け続けることをしなければいけません。
とにかく問題を間違えて,忘れて,勘違いをして,解説を読んでも意味が理解できない…。
そんなことを試験日まで繰り返すことになります。
試験日に合格点を獲るためには,絶対にその過程では間違えまくり,負けまくるストレスに耐え忍ぶ必要があるのです。
負けまくることは,物事(勉強)を最高につまらないものにします。
みなさんはゲームをしますか?
市販のゲームでも,ソシャゲでも,最初はチュートリアル的な戦闘が用意されていて,これらは“気持ちよく勝利できるように作られています”。
RPGのような育成ゲームも,序盤はキャラクターがグングン成長して,敵もバンバン倒すことが出来て,それが楽しくて,みんなゲームにハマっていくのです。
それだけ,“勝負に勝つ”というのは,人を夢中にさせる魔力があります。
ところが,行政書士試験を4~5ヶ月で攻略しようと思うなら,悠長にチュートリアルしている時間は残されていません。
最初から難解な概念がぶつかってきて,理解できたつもりでも,ことごとく間違えさせる問題が立ちはだかります。
ようやく正解できたとしても,一週間後には忘れているでしょう。
これがどれくらい辛いことなのかは,難関資格の合格者の多くは理解しているのですが,覚悟なく試験学習を始めると,まず間違いなく,勝てない(問題が解けない)ことがつまらないため,試験日を迎えることも出来ずにドロップアウトしていくことになります。
なので,試験に勝つためには,絶対に負け続ける必要があることを,最初に心に刻み込んでおいてください。
負けて,負けて,負けまくって,その先にようやく試験日の合格が待っているということを忘れないでください。
そして,負けまくることを受け入れる覚悟を,スタートの段階で持っておいてください。
勝つためには,負けなければいけないのです。
問題を間違えて,気分が落ち込んだときは,合格者の誰もが通った道であることを思い出して,ふさぎ込まないようにしてください。
②:周りに遅れをとっている事実に耐える
短期で合格するには,問題を間違えて負けまくるストレスに耐えるだけで足りません。
自分は周りの受験生より大きく遅れをとっている,という事実から来るプレッシャーにも耐える必要があります。
他の受験生たちは,自分が勉強を開始する遥か前から勉強をしている勉強貯金を持っています。
前年170点台で不合格だった人なんて,前年の合格枠にいた人たちがいなくなった分,繰り上がるため,ほぼ確実に合格圏内にいるのです。
その人たちの勉強貯金を乗り越えて,合格圏にいる誰かひとりを引きずり降ろさなければ合格できないということを,明確に認識しておきましょう。
周りの受験生の勉強貯金差をくつがえすには,「今日は頑張った」と自分が思ったところから,さらに勉強をしてください。
勉強貯金が無い事実は変えられないのだから,今日,他者より勉強をして,追い抜いていく必要があるのです。
周りと同じ勉強量では絶対に勝てません。
ただ,スタートが周りより遅いことは,デメリットだけではないこともお伝えしておきます。
私が思うに,短期合格をしようとすることのメリットは2つあると思っています。
- 苦しい期間が短い
- 焦りが勉強効率を向上させてくれる
人生100年時代と言われる現代において,4~5ヶ月という時間は,人生100年のうちのたった0.3~0.4%です。
負けまくるストレスを耐える期間が4~5ヶ月で済むというのは,かなり精神的に楽です。
また,周りより学習が遅れているのは自明なので,いい意味で焦りが生まれ,その焦りが学習効率を大きく向上させる側面があります。
中学・高校の定期テストが近づいてくると,自然と(半強制的に)勉強に向かうことができたと思います。
期限(試験日)が近いという事実は,勉強を捗らせてくれるので,その側面を有利に使用しましょう。
③:運に頼らない決意と準備をする
行政書士試験に対する対策・計画法の記事でも言及していますが,行政書士試験は,「一般知識は24点の,マークシート式のみで180点」を目標にしないと,合格は難しいです。
「一般知識は24点の,マークシート式のみで180点」というには,試験日当日の運が完全に下振れても合格できる,すなわち,運に頼らないで合格をすることを意味します。
試験なので,どうしても運の要素はあります。
しかし,運は上にも下にも振れるものだからこそ「運」なのです。
したがって,上振れたら受かるだろうという自分に都合のいい幻想を見ていると,試験当日に少しでも不安要素が表面化した際,精神的不安定を発生させ,あなたを敗北(不合格)へ引きずり込みはじめます。
短期合格を目指して努力したから,運が味方してくれるものでもありません。
むしろ絶対的に時間が足りないことから,準備不足になりやすく,運は敵になる確率の方が高いと考えるべきです。
ではどうするのかというと,前述の通り,「一般知識は24点の,マークシート式のみで180点」を目標に据え,運が下振れても合格する決意をし,運に頼らないで合格するための準備をするべきです。
運に頼れないのですから,得意不得意の分野があるとか言っている場合ではないのです。
すべて,キチンと頭の中に法理論を叩き込んで,実力で正解を導けるように準備してください。
時間が無いから「滅多に出題されない先取特権は捨てる」ではなく,「直前期に,短い時間で,頭に知識を突っ込んでおく」などの戦略を自分で考えて,運に頼らず点をもぎ取る工夫をするのです。
そのような自分で考えて,実践した工夫が,当日,皆さんを合格に近づけてくれるはずです。
運に頼ることをやめて,運に頼らなくても合格できるよう準備をしてください。
最後に
これから勉強頑張るぞ!という方にとっては,辛い表現ばかりだったかもしれません…。
ただ,これから自分が進もうとしている先に,どのようなことが待っているのか,ロードマップを確認しておくことは有意義な情報であると思います。
4~5ヶ月という期間,専業受験生出来るのなら,潤沢に時間があると思いますが,仕事をしている社会人にとっては,とにかく試験まで時間がありません。
しかし,記事でも触れましたとおり,時間が無いことは決してマイナスなことばかりではありません。
短い期間だからこそ,頑張れる,継続できる,やりきれる,効率が向上する,などのプラスの影響を味方につけて,是非,合格を勝ち取れることを応援しています。
最後に,予備校を利用していても,六法だけは絶対に買ってくださいね。
法律系試験は,条文と,条文から派生した法理論・判例の知識を問う試験です。
条文が無ければ,法律効果は発動しないのですから,テキストに書かれていることは,全て条文が存在しているから書かれています。
立派な六法全書を買うとバカ高いですが,そんな立派な六法は不要なので,4,000円くらいのコンパクトな六法を1冊用意して,自分の学習効率アップのためにしっかり投資しましょう。
こちらの記事でもオススメしてますが,オススメは判例六法です。
コンパクトなのに,条文も判例も1冊で知識整理できるので非常に優れています。
他の六法も見比べたい!って方は,書店に足を運んで,色々見比べて,自分にしっくりくる六法をさがしてみてください。
最後まで読んで頂き,ありがとうございました。
皆さんの努力が実を結ぶこと,心から応援しています!