本記事は,民法164条の,占有喪失による取得時効のリセット(更新)について解説しています。
記事の信頼性
本記事は,4ヶ月の独学で試験に一発合格した当ブログの管理人の伊藤かずまが記載しています。
現在は,現役行政書士として法律に携わる仕事をしています。
参考:独学・働きながら・4ヶ月・一発(202点)で行政書士試験に合格した勉強法
参考:筆者を4ヶ月で合格に導いた超厳選の良書たち
読者さんへの前置き
※赤文字は,試験対策として絶対に知っておくべき単語・用語・概念・考え方,その他重要ポイントです
※太文字は,解説中で大切なポイントです
※本記事は,2020年4月1日施行の民法改正に対応しています
※本ブログでは,記事内容を要約したものを先に【結論】としてまとめ,その後【解説】で詳細に説明をしていますので,読者さまの用途に合わせて柔軟にご利用ください!!
【結論】取得時効は,占有を失うとリセットされる
民法164条 【占有の中止等による取得時効の中断】
第162条の規定による時効は、占有者が任意にその占有を中止し、又は他人によってその占有を奪われたときは、中断する。
↓書き換え!
民法164条 【占有の中止等による取得時効の中断】第162条の規定による時効取得時効は、占有者が任意にその占有を中止し、又は他人によってその占有を奪われたときは、中断更新する。
↓
取得時効は、占有者が任意にその占有を中止し、又は他人によってその占有を奪われたときは、中断更新する。
取得時効の成立には,民法162条に規定されている各要件を満たす必要があります。
その各要件のうち,一定期間の占有継続の要件は,本条民法164条に規定されているとおり,占有が中止されるか奪われた時は,占有期間の進行がリセットされます。
リセットというのは,時効の更新を意味します。
つまり,取得時効の占有期間カウントは最初からやり直しということです。
※取得時効の各要件や推定される・されないについては,こちらの記事で詳しく解説していますので,併せて確認してみてください。
【解説】『中断』という表現が残る,数少ない条文
本条文は非常にシンプルなので,【結論】フェーズでほぼ説明が終わってしまいました...笑
なので条文中の『中断』という表現について,補足しておきます。
2020年の民法大改正において,時効の完成を妨げる事象(『時効障害』と言ったりします)が,“停止・中断”から“完成猶予・更新”に名称変更され,整理し直されました。
あれ? でも民法164条には『中断』って書いてありますよね…?
2020年の改正の際,あらゆる条文たちで“完成猶予・更新”に改正されているのですが,実は以下のとおり,164条と290条のふたつは,なぜか『中断』という表現が残っています。
一応,164条・290条の『中断』は両方とも,“更新”(時効進行がリセットされ,最初から時効期間進行し直す)を意味しているとされています。
解説はここまでです。 読んで頂きありがとうございました!
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※前条の解説はこちらです。
※次条の解説はこちらです。
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参考文献など
参考文献
この記事は以下の書籍を参考にして執筆しています。 より深く理解したい方は以下の基本書を利用して勉強してみてください。 必要な知識が体系的に整理されている良著なので,とてもオススメです。
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